【書評/要約】ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス): GAFA時代の人生戦略 (スコット・ギャロウェイ 著)(★3.5)

ありふれた成功法則に惑うな。
幸せに続く道はシンプルな原則でできている。

という強いメッセージで始まる本書「ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス): GAFA時代の人生戦略」は、2018年に「ビジネス書グランプリ」「ビジネス書大賞読者賞」ダブル受賞作した世界的ベストセラー『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』著者スコット・ギャロウェイ氏の最新作。

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ニューヨーク大学で教鞭をとるギャロウェイ氏の授業「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の計算式)」は、5000人が受講、WEB公開後わずか10日で100万人が視聴した「伝説の授業」を書籍化したものです。

さて、この書籍、タイトル通り、「Happiness=幸せ」をテーマとしていますが、そのポイントは、「アルジェブラ・オブ・ハピネス(幸福の数式)」。幸せになる方法をシンプルな「数式」で表すとどうなるかを語った本であるという点です。

大学の授業受講者に対し、40歳、50歳、80歳になったとき後悔しないために、いま何をするべきなのか。後悔しないための「人生戦略」とは何なのかを定義しています。

その定義の内容はというと、ソクラテスが言うような「善く生きるための法則」ではなく、「現代の資本主義社会(特に、アメリカ社会)の中で、如何に効率的に幸せを獲得するか」、現代版の幸せのつかみ方である。スコット・ギャロウェイ氏自身、本書を通じて、歯に衣着せぬストレートな語り口であるが故、かなり厳しく残酷なメッセージも含まれていますが、それがまた新鮮です。

以下では、ギャロウェイ氏の「幸福の計算式」の中から印象的なものをいくつかピックアップして解説します。

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前半で現代社会に特徴的な幸せ、後半で普遍的幸せを語る

まず、本書の構成から「幸福の計算式」の全体像を見てきましょう。本書は4部構成になっています。

本書の構成

第1講:幸福の講義 – 激変する世界で幸せになる
第2講:成功の講義 – 格差が広がる世界でお金を手にする
第3講:愛の講義 – 残酷な世界を生き抜く
第4講:健康の講義 – 無慈悲な世界で活力を保つ

1,2講は実際的な具体的なテーマ、3,4講は時代を経て変わらない真理がテーマとなっています。

スコット・ギャロウェイ氏自身の経歴

本書で特徴があるのは1,2講ですが、この部分を読む前に、まず、スコット・ギャロウェイ氏自身がどのような人生を歩み、どんな功績を上げてきたかを理解しておくと、より内容にうなづけます。

スコット・ギャロウェイ(Scott Galloway)氏:経歴

・ニューヨーク大学スターン経営大学院教授
・MBAコースでブランド戦略とデジタルマーケティングを教える
・連続起業家(シリアル・アントレプレナー)として9つの会社を起業
・ニューヨークタイムズ、ゲートウェイコンピュータなどの役員も歴任
・2012年「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出
※裏帯経歴より

上記の通り、まさに、ビジネスエリートであり、今の資本主義社会で「幸福の証」と呼ばれる資産・名誉・成果などを、最速で手に入れた人だということです。

幸福の計算式

それでは、具体的な「幸福の計算式」についていくつか見てきたいと思います。

「情熱+価値観+金=パートナー^2」と「学歴+大都市=お金」

本書で最も大事な方程式 ※本書を貫くテーマ

①情熱+価値観+金=パートナー^2
②学歴+大都市=お金

本書のなかで本書を貫く重要な「幸福の方程式」を、私は上記2つと考えます。
この式の要点は3点にまとめられます。

・若いうちに学歴を手に入れ、チャンスが多い大都市に出よ
・若いうちはワークライフバランスよりとにかく情熱をもって働け
・価値観(特に金銭感覚)の合う、最良のパートナーを見つけて、家族と良質な人間関係を築け

上記を手に入れれば、金銭的にも愛情的にも満たされた幸福な人生を送れる確率は高いという意味です。

自由な国の代表ともいえるアメリカですが、実際のアメリカ社会には「教育カースト」が存在しています。さらに、経済成長は一握りの巨大都市に集中する傾向があります、だから、チャンスを手に入れるためにも高学歴と大都市は必須。

大学を中退しても大成功を収めるスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのような人は存在します。しかし、このような人はごく一部であり、それはあなたではありません。

ギャロウェイ氏は、厳しい現実を突きつけ、幸せを手に入れる確率を高める方程式を指南しているのです。

成功者のアドバイスは無視しろ

大学の卒業式のスピーチでは、「自らの情熱に従うべき」、或いは、「決して諦めるな」と話す人がたくさんいます。

しかし、ギャロウェイ氏はこれらの話は真に受けてはいけないと述べます。

その理由は、上記のような発言をする人たちは、既に金持ちな人たちだから。

裕福な人はあまりお金について考えていないというのはたわごとです。むしろ、彼らはお金に取りつかれている。お金持ちがお金のことを考えないというのは、格差社会の下流組の嫉妬を避けるためです。

「自らの情熱に従え」という人は、むしろ、長い間、成功に取りつかれて必至で働き、その結果として「成功・お金」を手にした人たちです。彼らはひらめきに導かれたとアピールすることで、世の中にインパクトを与えようとしますが、実際は、自分の資産を驚くほど細かく把握し、頻繁に計算しています。それは、すばやく動けるようにしておかないと、大損を被ることになるからです。

ギャロウェイ氏は、大学を卒業後、大手投資銀行で働いた経験を持ち、投資についても心得があります。それ故、きれいごとではでは成功・お金を手にするのは難しいと述べているのです。

若いうちの頑張り>老いてからの頑張り

ワークライフバランスという言葉がありますが、ギャロウェイ氏のアドバイスはそれとは真逆、「若いうちは働け」というのが、仕事に関する大きなアドバイスです。

若いうちの頑張りと老いてからの頑張りでは同じ努力でも得られるものが大きく違います。だからこそ、若いうちは、ワークライフバランスなど気にせず働きなさいとアドバイスします。

「金を稼げない」と「幸せ」は遠ざかります。故、「お金で買える幸せはさっさと買い、他に目を向けろ」とさえ、アドバイスしています。早く、成功の糸口をつかむことが大事なのです。

最後に

今回は、スコット・ギャロウェイ氏の「ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス): GAFA時代の人生戦略」のポイントをまとめました。

さて、本書のタイトルには「GAFA時代の人生戦略」とありますが、残念ながら、「GAFA時代」に特化した人生戦略は見受けられませんでした。「弱肉強食の資本主義時代の人生戦略」とした方が、本書の内容に合っていると思います。ただ、今の時代の生き方戦術書であることは間違いありません。

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