【書評/要約】コーヒーの科学 (旦部 幸博 著)(★4) 徹底的に”おいしさ”を科学するコーヒー本

私たちの生活にとって欠かすことのできないコーヒー。

カフェインが脳を覚醒し眠気を解消してくれる一方で、香りがリラックスを与えてくれる素敵な飲み物です。これ以外にもダイエット健康など、正しく飲めば様々な効果をもたらします。

今回の紹介する旦部 幸博さんの本「コーヒーの科学」は、科学をあなたのポケットにがキャッチコピーの「ブルーバックス出版」の本。さすが、ブルーバックス本ということもあり、コーヒーを徹底的に科学的側面から解説。著者の旦部さん自身が、がんに関する遺伝子学、微生物学を専門とする大学講師です。

今回は、本書からの学びを紹介します。

コーヒーを科学する

【書評/要約】コーヒーの科学 (旦部 幸博 著)

冒頭でも述べた通り、本書は、コーヒーのおいしさを科学的に紹介することにこだわったコーヒー本です。

私は複数のコーヒー本を読んできましたが、「コーヒーのおいしさ」についてまとめられた多くの本は、入れ方本、焙煎本、コーヒー豆の種類本、コーヒーの抽出器などの紹介が一般的。紙面も写真が多くてサラサラ読めるものが多いですが、本書はそのような本ではありません。

大学講師・研究者がまとめた本らしく、コーヒーをいろんな角度から科学し、「おいしさの感じ方」までもが数値を用いて分析的にまとめられています。手軽なコーヒー本ではありませんが、それゆえに、ふむ🤔と思わせる学びもあります。取り扱われる内容は以下の通り幅広いです。

本書の章構成

1.コーヒーってなんだろう?
2.コーヒーノキとコーヒー豆
3.コーヒーの歴史
4.コーヒーの「おいしさ」
5.おいしさを生み出すコーヒーの成分
6.焙煎の科学
7.コーヒーの抽出
8.コーヒーと健康

脳に効く飲み方、健康に効く飲み方

健康的な飲み方:【書評/要約】コーヒーの科学 (旦部 幸博 著)

コーヒーの効果

コーヒーには、一般的に以下のような効果があると言われます。

・眠気覚まし、脳の活性化
・リラックス効果
・老化防止
・ダイエット効果

「脳の活性化・覚醒作用」と「リラックス効果」という、相反する効果を合わせ持つのが特徴的です。

コーヒーは飲み方が大事

コーヒーは毎日3杯ぐらいなら、健康にもよい飲み物です。ただし、カフェインを含むため、「飲み方(飲むタイミング)」が大事です。

同じコーヒーを同じ量飲んでも、飲む時間によっては悪く作用します。ちなみに、「朝起きがけの1杯のコーヒー」も健康や脳の側面から見るとよろしくありません。

健康にも脳にも効くコーヒーの飲み方」については、別の本の書評にて紹介してるのでそちらを参照してください。

良い睡眠のために、夜は「デカフェ」

夕方以降は、よい睡眠をとるために、カフェインが含まれるコーヒーはおすすめできません。とはいっても、夕食後にコーヒーを飲みたい方は多いはず。そんな方は、デカフェカフェインレス・コーヒー)に切り替えましょう。

私は、デカフェに切り替えて、確実に寝つきがよくなりました。

自分が「おいしいコーヒー」を知る

【書評/要約】コーヒーの科学 (旦部 幸博 著)

私が本書を読んで、最も大きな気づきとなったのは「おいしいコーヒー」と「よいコーヒー」は違うということです。

「よいコーヒー」と「おいしいコーヒー」

よいコーヒーを決定づけるのは「品質」です。欠点豆を除いた良質な生豆を適正に焙煎し、新鮮なうちにおいしく抽出されたコーヒーのことです。

一方、 おいしいコーヒーを決めるのは「嗜好」です。嗜好は人それぞれ。定義できるものではありません。

コーヒーの風味に対する「おいしい、まずい」という主観的な嗜好と、品質に対する「よい、悪い」という客観的な評価を混同してはいけません。

ただし、「悪いコーヒー=品質がよろしくないコーヒー」は、必ず「まずいコーヒー」になります。品質の悪いコーヒー豆で淹れればまずいですし、また、品質のよいコーヒー豆で淹れたコーヒーも、抽出から時間が経てば、鮮度が悪くなり(=品質が落ちて)まずくなります。

「苦味」が好みか、「酸味」が好みか

自分が好きなコーヒーを知るために大事なことは、「苦味」が好みか、「酸味」が好みか、その方向性を知ることです。

これをよく理解せずに適当にコーヒーを飲んでいると、おいしいコーヒーを堪能できていないことになります。

コーヒーのおいしさにはいろんな要素が絡み合っていますが、コーヒーの基本となる味、味わいの代表は「苦味」「酸味」「コク」です。

「苦味」が好みか、「酸味」が好み、方向性がわかったうえで、複数のコーヒーを飲み比べてみると、焙煎度合いによる味の違い、コクの深さなど、細かい違いが分かってくるのようなります。コーヒー豆のパッケージを開けて、香りを嗅いだだけで、好きなコーヒーかどうかがわかるようになります。

コーヒーマップをチェックして、味わおう

コーヒーマップをチェックしよう

私が考える好きなコーヒーを知る第一ステップは、「コーヒーマップ」をみて、コーヒーを飲み比べてみることです。

上図はスターバックスのコーヒーマップです。ブランドによって2軸の表現の仕方は異なりますが、大体は「風味(すっきり:酸味、深み:苦味)」「コク(軽やか、しっかり)」で分類されています。

私のお気に入りのコーヒー

ちなみに私は「苦味」と「コク」がしっかりある深煎りコーヒー派。上の図であれば、一番右下にある「カフェベロナ(ダークロースト)」が好み。コーヒー豆のパッケージを開けると、甘くて香ばしい香りがして、幸せな気持ちになります。チョコレートとの相性も抜群です。

わざわざスタバ店頭に出向かずとも、スーパーで売っている流通品です。味に深みがあるので、ラテにして飲んでも、アイスコーヒーにして飲んでもおいしいです。

ただ、コーヒーはフルーツ。本来は酸味を味わむものだと、コーヒーハンターの川島良助さんの本に記載があり、ちょっとショックを受けたことがあります。

最後に

今回は、旦部 幸博さんの本「コーヒーの科学」からの学びを紹介しました。
コーヒーを毎日何杯も飲んでいるのに、「本当に自分が好きなコーヒーの味わい」を知らないとしたら、人生損しています。

おいしさについて知るためにも、是非、本書を読んでみてください。

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