【書評/要約】とてつもない未来を引き寄せる予見力(苫米地英人 著)(★4) 未来を見出す力を高める方法を学ぶ

未来を見る目をもっと引き上げられないのか?

そう考えて読んでみたのが、苫米地英人さんの著書「予見力」。

予見力とは、『現在の状況、今まさに起こっている出来事の意味を正しく見る力』であり、『現在を正しく見ることで、現在の中にある未来を見いだす力』のことです。

少しでも予見力が高くなれば、ビジネスでも投資で先手を打ってアクションを起こすことができるようになります。

今回は、本書から、予見力を身につけるために大事な思考、および、予見力を高めるトレーニング方法を学びます。

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予見力:まずは、脳の特性を知る

【書評/要約】とてつもない未来を引き寄せる予見力(苫米地英人 著):

日々、膨大な情報が押し寄せる現代。ただやみくもに情報を追っていては、情報に溺れ、「未来」に自分が向かうべき場所はおろか、「現在」自分がいる場所さえ見失います。漂流者にならないために必要なのが「予見力」です。

予見力とは「未来から現在を見る力」

予見力は、超情報化社会を安全かつ的確に航海するための地図・コンパスであり、航海術です。

見知らぬ土地に行くとき、私たちは地図を持って出かけますが、将来については「そもそも先行きは見えないものだ」と思い込んでいます。また、迷ったとき、歩いてきた道から現在地を考えてもよくわからないのに、未来予測については「過去から現在、現在から未来」を理解しようとします。

これでは、現在を正しく見極めることはできません。

まずは、「未来は予測できると考え」、「未来から現在を見る」ことが大切です。

これを理解するに当たっては、まず、脳の性質を理解する必要があります。

自分の重要度で情報を振り分ける「脳」

そもそも、人間の脳は、自分が重要だと思うものしか認識していません。

人体で最もエネルギーを消費しているのは「脳」です。仮に見えていることをすべてを認識しようとして脳がフル回転をしたら、莫大なエネルギーを無駄に消耗します。

そこで、脳は「RAS(Reticular Activating System:脳の基底部にある、網様体賦活系という脳の活性化ネットワーク)」で、五感情報などをもとに自分にとっての重要度に基づき、目の前の情報の要・不要を切り分けています。

問題は「何が重要かの判断基準」

ここで問題となるのが、情報切り分けにおいて「何が重要かいう判断の基準がどこにあるか」です。

この基準は、あなたの「過去」の認識や記憶によって判断されます。

世の中は時々刻々とアップデートし続けているのに、あなたの判断基準は、あなた自身の過去の認識・記憶からしか成立していません

特に「先行きが不安」「未来が見えない」と思っている人ほど、過去にこだわり、過去の認識や記憶だけで現在をとらえます。このような見方で現在を分析したところで、「未来」が見えてくるはずはありません。

大事なのは、「未来の視点から、現在を正確に見つめる」ことです。未来の視点から眺めることで、今日の前で起こっている現象の中に未来の兆しがはっきりと立ち上がってくると苫米地さんはアドバイスします。

過去は、変わることのない出来事?

普通、私たちは「時間は、過去から現在、未来へと流れている」と思っています。過去に原因があり、その結果、現在や未来をがあると考えます。

しかし、過去とは、「その人の記憶の中にある、起こった出来事に対する現在の解釈」に過ぎません。

例えば、ある事実を知って、いいと思っていたことの評価が下がったり、逆に、辛くて嫌な経験が「貴重な体験だった」と書き換わった経験はないでしょうか?

過去はいくらでも書き変わる。「過去は、変えることのできない出来事」ではないのです。

故、苫米地さんは、現在の認識によっていくらでも形を変える「不確かな過去」を基準にしても、正しく現在の状況を分析したり、未来を予見したりすることはできないと言います。だからこそ、「未来からの視点が必要」と述べるのです。

予見力:未来の視点から現在を見る

【書評/要約】とてつもない未来を引き寄せる予見力(苫米地英人 著):

予見力をさらに深くいていきます。実は、動物の中には予見力的な力で、危険を察知しているものがいます。

動物に見る予見力

・沈没を察知して事前に逃げ出す船中のネズミ
・地震を予知する能力を持つというナマズ

彼らは、人間とは違う方法で現在の時間や空間を取られていると考えられます。例えば、ナマズは人間には感じられない低周波の電流、あるいは電磁波、微震動などを感じ、人間よりも先に地震の到来を知覚すると考えられています。

ナマズのような感性で現在の状況を認識することができれば、「現在の中に未来の兆しを発見」することが可能となります。

未来の視点から、現在を見ることで手に入れられる世界

では、「未来の視点から現在を見るには」どうしたらいいのか。まずは、「未来はすでに起こっている」と考え方を改めよと、苫米地さんはアドバイスします。

自分なりに臨場感を持って未来を思い描くと、以下のような連鎖が起こり始めます。

 その未来と現状の乖離を埋めるために脳が活性化する
⇒脳は五感をフル稼働させて、現在の中に隠れている未来の情報を収集しはじめる
⇒その未来を実現するためにやるべきことが見えてくる
⇒目の前の世界の見え方が変わる
⇒今まで見えなかったことが見えるようになる

こうして、以前は見えなかった「現在」が見えるようになるのです。臨場感を持って未来を思い描くことで、世界の見方を変え、自分の進む道をも変えていくことができるようになります。

現状の延長線上の未来を予想してはダメ

臨場感を持って未来を思い描く際に大事なことがあります。それは、「現状の外側にある未来」を思い描くことです。「現状の延長線上の未来」は、単に、「過去の奴隷」になっているにすぐません。自分の将来の夢を語っても、「現状の延長線上の未来」でしかなければ、それは過去の奴隷です。

真の未来は、常に現状の外側で起こることを意識して、未来を思い描くことが大事です。

なぜ、我々は未来が見えないのか

【書評/要約】とてつもない未来を引き寄せる予見力(苫米地英人 著):予見力トレーニング

前節では、「未来の情報は、現在の中」にあり、「未来はすでに起こっている」という強い臨場感を持って現在を見つめれば、未来の兆しを予見できることを学びました。しかし、実践はなかなか難しい。そこには3つの問題があると言います。

3つの問題

3つの問題とは次のようなものです。

❶スコトーマの問題
人間の認識には、見ているようでいて、実は見ていない。未知の経験に遭遇したとき、過去の経験で判断する

❷フレームの問題
現状の枠組み=フレーム(ジンクス)で物事を判断してしまう。⇒いったん解体して、新たなフレームで見る必要がある

❸抽象度の問題
物事を見る「抽象度」が低すぎる

簡単にいうと、過去の視点・認識にとらわれている限り、未来を予見することはできません。これを打破するには「過去の価値観を否定して、反対に行動してみる」必要があります。

❶❷を解決:当たり前を疑い、現状認識フレームを書き換える

過去の価値観を否定して、反対に行動してみると、自分が、今、 当たり前に「正しい」と思ってことの多くが、過去の認識・記憶によって仕掛けられていることに気がつきます。その結果、フレームが再構築され、スコトーマも変化します。

これは、常識にとらわれずに行動を起こす「天才」や「成功者」の生き方を手に入れるということとも言えるかもしれません。過去の当たり前を疑い、現在を認識するためのフレームを変えましょう。

❸の解決策:高い天才の視座からモノを見る

私たちには、世界は混沌として秩序がないように見えます。しかし、視座の高いところから世界・宇宙を見る人は、混沌(ランダム)の中に「法則(ルール)」を見出します。

例えば、宗教ならブッダであり、科学ならアインシュタイン。ブッダは人類の真の生き方を見出し、アインシュタインは相対性理論を発見ししました。彼らは、宇宙全体を見渡すような俯瞰的な視点を持ち、抽象度を極限まで高めて「悟り」を開きました

予見力を高めるトレーニング

【書評/要約】とてつもない未来を引き寄せる予見力(苫米地英人 著):予見力を高めるトレーニング

最後に、具体的にどのようにすれば予見力を高められるのか、そのトレーニング法を紹介します。

抽象度を上げて物事を見る方法

前節では、「抽象度を高める」必要があることを説明しましたが。この抽象度を高めるのに効果的なのが「物事を立体的に見る」 トレーニングです。

例えば、私たちは、普通は空を見たときに「今日はいい天気だな」と思う程度だと思いますが、

・今、宇宙では人工衛星がいくつ飛んでいるんだろう
・今は昼間で見えないけど、この空の先には無数の星が存在しているんだな
・その星の中には、生物が住んでいる星もあるかもしれないな
・この宇宙に、自分がいる地球が誕生したのはいつごろだろう
・そもそも宇宙が誕生したのはいつなのだろう

と、あれこれ考えてみる方法です。この世界に存在するすべての人やモノ、現象には、私たちが物理空間で体感する以上の膨大な情報が含まれています。これらを、想像力を膨らましてしてみてみる訓練です。

トレーニングで得られる効果

上記トレーニングを行い、世の中を見渡していると、目の前の世界は「予測不可能なことばかりが起こる、先行き不透明な世界」ではなく、「ある一定の法則に基づいて動いている、整合性のある世界」と見えてくると言います。

私の感覚的な経験ではありますが、毎日の多読の積み上げで、少なくとも3年前に比べて、1冊の本から広がる思考も広くなり、「ある一定の法則っぽいもの」が見えてくるようになりました。その結果、手に入れたのは「(過去と比較して)動じない心」です。わかりやすく、投資を例にすれば、大きなルールを見て動けば、日々の値動きに心がブレずに済みます。

なお、この予見力トレーニングにおいては、「五感を使って体感を強く想起しながら未来をイメージする」と、より高い臨場感を持って、未来が予見できるようになるとアドバイスして言います。五感というものをあまり意識したことがなかったので、ちょっと意識してみたいと思います。

最後に

今回は、苫米地英人さんの著書「とてつもない未来を引き寄せる予見力」から、未来を見出す力を高める思考法・トレーニング法を学びました。

当ブログで紹介した内容は本書のごく一部の内容に過ぎません。

本書では、「苫米地さんが思い描く未来」について紹介されていますが、こちらについては、以下の記事が参考になると思います。

また、物理空間と情報空間に対する内容は、多くの人が難解だと感じるであろう内容です。宇宙法則や、仏教の「空の世界」に通ずる話です。この部分については、以下の2冊を読む方が、理解しやすいかもしれません(私はまだ十分咀嚼できていません…)

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私の頭では一足飛びに腹落ちできそうもないので、段階を経て、徐々に理解していきたいと思います。