【書評/要約】百年後の日本人(苫米地英人 著)(★5) ~ 未来に今の常識は通用しない。どう備え、生きるかを考えさせられる一冊
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100年の自分を考えたことがありますか?

多くの人が「生きてないよ」と思ったのではないでしょうか。しかし、認知科学者の苫米地英人さんは「果たしてそうでしょうか?」と問います。

このまま、加速的に技術が進めば、あなたが生きている時代においても120歳、150歳、いやそれ以上、生きるのが当たり前になる時代が来る。その時、国家・通貨のあり方は変わり、今の常識とは全く異なる未来が待っています。

そんな時代の到来を知って生きるか、知らずに生きるかで、人生には大きな差が出るのは当然でしょう。

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今回紹介の「百年後の日本人」は、100年後をどう生き抜くか、科学技術の進歩とともに変わる国家・通貨、人々の暮らしを予測し、未来の生き方についてアドバイスする本です。

正直、真面目な人にはトンデモ本と映る記述もあるかもしれません。しかし、百年後を考えることは、今を知ることであり、明日を考えることです。このような視点に立って読めば、今現在の常識にとらわれず、どんな未来図があり得るのか、広く知っておくことの重要性に気づかされるはずです。

今回は、「百年後の日本人」から、今後の世界経済、そして、自分の生き方を考える上で、重要な視点を書評としてまとめます。

変わる国家・お金・国籍

:百年後の日本人(苫米地英人 著)

苫米地さんは、百年後には「日本」も「米国」も「中国」も、国家というものは今の形では存続していないと言います。

人口=国力という見方が変わる

現在の経済では「国力=人口」。日本は今後人口が著しく低下するため、GDPは大きく低下し国力も衰退することが危惧されています。しかし、このようなモノの見方は転換が必要だと苫米地さんは指摘します。

GDPは「工業が主体」の時代の指標

現在、GDPはその国がどういう国かを説明する最もわかりやすい指標として使われています。しかし、GDPは「工業が主体」の時代に考案された指標です。「工業が主体」の場合、生産力である「人口」は重要であり、「人口=国力」でした。

しかし、今は「サービス業が主体」。世界で大儲けをしている企業は、沢山の人を雇用しているいわゆるメーカーではなく、フェイスブックやグーグルなど、従業員は少なく、サーバーやAIが主体となって稼働する企業です。コストがかかる人間(人口)が少ない企業の方がリッチです。

ロボット・AIが主体になって生産が進むこれからの時代、このロジックは、国家にも当てはまります。つまり、「人口の多さはその国にとって負担」となってしまうのです。

国家は分裂する

人口が少ない方が国家運営がしやすいとなると、裕福なエリアから、国家が分断・分断していくというのが苫米地さんの考えです。例えば、中国の北京や上海。北京や上海に住む人は、農村部と切り離してもらった方が嬉しいはずです。

そもそも国家を動かしているのも基本的に裕福な人たちです。二極化は進み、富裕層・資産家がさらに有利な資産を得るようになる。これが「歴史の事実」です。これは、狩猟から農耕(蓄えが可能な時代)に移行して以降、変わることはありません。

変わるお金

現在、グローバルでキャッシュレス化が進んでいます。日本はむしろキャッシュレス後進国です。

グローバル経済に通用するデジタルマネーといえば、現在は、ビットコインなどに代表される仮想通貨です。今後、たとえ、ビットコインがその役目を終えたとしても、新たに登場する複数の仮想通貨が、私たちの生活に浸透していくことになります。

さて、ここで、国のお金の管理機構といえば、日本なら日本銀行、米国ならFRBですが、両者とも中央銀行を名乗りながら純然たる国の機関ではありません。FRBの場合、設立の背景いたのはロックフェラー家やロスチャイルド家など巨大な金融資本家で、その力は今も揺るいでいません。彼らは、今後の新たに登場するグローバル通貨においても、大きな力を持つ立場になるでしょう。

変わる国籍

国家は分断し、お金もグローバル通貨が世界を飛び回るとなると、「国籍」の存在も変わってきます。苫米地さんは、50年以内には国籍を自由に買えるようになり、しかも、複数の国籍が持てるようになっていくだろうと予測します。

世界中からセレブが集まるモナコを例に挙げれば、現在のモナコには3つの国籍レベルがあります。本当のモナコ国民と、建前上のモナコ国民、そして、外国国籍を持ちモナコで商売して生きている人たちです。リモナコのように国籍が買えるとなれば、たとえ物価が高かろうが、裕福な人たちは特権を求めて、魅力的な国の国籍を取得することになるでしょう。

セレブが集う国家では治安は極めて重要です。事実、モナコは世界一治安がいいと言われる国です。また、アメリカの高級住宅エリアなどでは、ゲート(門)を設け周囲を塀で囲むなどして、住民以外の敷地内への出入りを制限し、監視をつけるなど、民間自治を行っています。こんな民間自治・民間軍事会社の存在なども今後重要になってきます。

科学技術で変わる人間の暮らし・生き方

科学技術で変わる人間の暮らし・生き方:百年後の日本人(苫米地英人 著)

ここからは、科学の進歩によって大きく変わるライフスタイルについて見ていきます。

遺伝子書き換え:200歳が当たり前!?

人間の脳寿命は200年もあることをご存じですか?現在の人間の身体の寿命はせいぜい120年ですが、それより脳寿命が長いのは、脳には可動部品はなく、電気信号を発するだけなので、擦り切れるということがないからです。

さて、ここで、遺伝子書き換え技術が進むとどうなるか?

遺伝子書き換えで身体をメンテナンスすれば、脳の寿命ギリギリの200歳ぐらいまでは生きられることになります。クーロンは倫理的な問題をはらみますがそれでも研究を行っている人は必ずいます。

怖い話ですが、2017年のノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロさんの小説「私を離さないで」のようなクローンによる臓器提供は倫理的になかったとしても、数十年先には、遺伝子書き換えは病気治療のためならOKとなる可能性は十分あります。

これがさらに進化、さらに、スタートレックやスターウォーズのようなワープエンジン技術も開発されれ(NASAなどが開発中)ば、酸素濃度の低い惑星でも生きられように遺伝子書き換えることだって、技術的にできるようになってしまう。そんな未来が100年以内にやってくると予想されています。

脳の電脳化:人間のこにゅにケーションも変わる

現在の社会では、脳はネットに直接接続した状態にはありません。しかし、100年先を予測すれば、脳はネットと直結。脳内にチップを埋め込むことで、脳はネットワークにつながり、今、PCやスマホで行っているグーグル検索が、脳内で行えるようなります。

この電脳化によって脳は大量の情報と直結。さらに、常温超電導の実現で、脳を行きかう情報が電磁的にやり取りされるようになれば、隣の人との会話においても発話する必要がなくなります。

さらには、すべてが電脳でつながれば、情報のやり取りがその場にしてできるので、「移動」すら必要なくなります。思考を丸ごと伝送してもらうのはもちろん、相手が今、目で見ている情報を送ってもらう、つまり、目を借りるようなことすら実現します。

このような時代では、「旅行」は贅沢な嗜好品コストが安いデジタルに対して、リアルの方がコストがかかるため貴重性が増し、富裕層の贅沢となっていきます。このような変化が起こるのは、旅行だけに限ったことではないでしょう。産業構造も今と全く違ってしまうことが簡単に予想できます。

知能共有で変わる個性

人の脳が簡単に共有できるようになると、人間は、全員が同じ知識を無限に共有することができるようになります。

知識や思考が隣人と一体化し、身体の一部は同じコンピューターに繋がり、さらに首から下は同じバーチャル空間に存在しているとしたら、人間の個性はどこで差が出るのでしょうか? もしかしたら、200年、300年先の世界では、「個人」という概念も薄らぐのかもしれません。この時代には、医療はさらに進み、生まれ持ったオリジナルの脳細胞はゼロかもしれません。

こんな時に決定的な差となるのは「知能」のみ。「IQ差」が個性となり、それをいかに上手に利用するかが差となっていきます。ただし、IQが担う重要な部分とは組み合わせや最適化であり、これはAIが得意とするところなので、「本当のIQだけ」しか勝負できないことになります。

ただ、どんなに技術が進化しようが、頭がいい方が優位であることは変わらないでしょう。さらに未来には二極化が進むので、今以上に下層から上層への移動は益々難しくなります。

なかなか死なない人類、新たに生まれる弊害

:百年後の日本人(苫米地英人 著)

寿命が長くなることは1個人としてはよいことですが、「人類という種」でみた場合、大きな問題が生じてきます。

:住む場所がなくなる

寿命が200歳になると、人口は増え、地球は人であふれることになります。そうなると、食料、住居などの問題が出てきます。

住む場所に関しては、一部は宇宙空間に活路を見出すかもしれません。建物の高層化も間違いなく進みます。しかし、それでもあぶれる人はどこに行くのか?それは「地底」です。

苫米地さんは、富裕層は「地上」の安全な場所に住み、貧困層は「地下」に住むことになると予測します。これって、まさに、ウェルズの「タイムマシン」の未来の人類そのものではないか!ただし、この世界では、地上に住む種は、貧困の地底人に狙われるため必ずしも「地上は楽園」ではありません…人間が思いつくことはいずれ実現するとは言われますが、なかなか恐ろしい未来です。

人類滅亡の危機

遺伝子書き換えで人は死ななくなると、人類という種は永劫存続しそうに思えます。しかし、苫米地さんはそうならないと言います。むしろ、人類滅亡の危機を招くと指摘します。

まず、子孫を残したいと思っても、法律が邪魔をして生めなくなります。中国の一人っ子政策より厳しいルールが課されることになるからです。ある意味、子供を持つにも「お金」がモノを言う世界になるかもしれません。

さらに、ダーウィンの「種の起源」げ提唱するような、生物の進化も起こりにくくなります。死なないので、変化に適用する進化が起きにくくなるからです。これが続くと、いずれ、人類は自然淘汰に負けてしまうことになります。

100年後の未来:総括

100年後の未来:総括:百年後の日本人(苫米地英人 著)

さて、ここまで、技術進化で変わる未来を見てきましたが、「百年後はどうなるか」を総論でまとめます。

身分の差はお金で決まる時代が来る

100年後の未来はどうなるか。苫米地さんは、総括して、「身分の差はお金で決まる時代が来る」「こうした構図がはっきりした時代が来る」と指摘します。

なんだかんだ言っても、資本主義は、裏では圧倒的な一握りの富裕層がマネーを握り、世界を牛耳っています。世界の富の80%以上は1%の富裕層に偏在しています。

今後、そして、最新の科学技術に触れられるのも上層部の人たちであり、「お金」による階層はより固定化されていきます。身分の差がお金で決まる時代には、「日本」の最上位層の人たちは、もはや「日本人」でない可能性もあります。彼らは国籍だって買えますし、どこにでも行けるからです。

未来だけでなく歴史で日本人を知ることも大事

日本人は平和で優しいと思っている人は多いと思います。しかし、それは、今の時代がそうなだけです。

例えば、今のNHKの大河ドラマを見ていても、そもそも武士が生まれたのは自分たちの土地を守るためだし、鎌倉殿が御家人が崇めるのは御家人の領地の支配を認めてくれるからであり、自分の権益を侵すものは、他人はもちろん、親族だって殺します。決して日本人は、平和で優しい民族ではない。既存の価値の中で何が良くて何が悪いか、特に人間の上下関係で誰が偉いか誰が偉くないかを簡単に変化させる民族です。

そんな損得で動く人種ですから、今の時代の価値観だけで生きているのは危ない。多様な視点を持って、どんな時代にも臨機応変に生きられるように、知識を蓄え、変化していくしかないのだと、個人的には思っています。

そのためには、未来と同時に歴史から日本人の行く末を考えらうことも大事です。

ちなみに、日本を歴史から学ぶには以下の本はとてもおすすめ。日本という国がどう変化してきたのか、「天皇」「宗教」「土地」「軍事」「地域」「女性」「経済」の7つのテーマから、日本を論じており、ものすごく面白いです。

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ちなみに同じく本郷先生の本。こちらも面白い!大河ドラマでは、承久の乱も近くなってきているので、予習に読んでおくと面白いかと。
結局、鎌倉時代も「お金(土地)がすべて」です。日本人だけに限った話ではありませんが、人は、「お金」「覇権」のためには人をも殺します。

最後に

今回は、苫米地英人さんの「百年後の日本人」からの学びを書評としてまとめました。

常識にとらわれた生き方は危険です。常識と思っていたものは、知らないうちにどんどん変化していきます。幸せに生きるには先回りして賢く適用することが欠かせません。

常識を疑い、常に変化しながら生きる!

多くのことを学ばされた一冊となりました。

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