【書評】なぜ「それ」が買われるのか? 情報爆発時代に「選ばれる」商品の法則(博報堂買物研究所 著)(★5)

お洋服、コスメ、小物、家具 等、かつては楽しかった買い物。
しかし、最近はとにかく面倒。歳をとったせいかなと思ってあきらめていました。

しかし、歳をとったことだけが理由じゃない。今回紹介する『なぜ「それ」が買われるのか?情報爆発時代に「選ばれる」商品の法則』を読んでなるほどと納得しました。

現在は、選択肢がありすぎる時代。

賢く情報収集しなければいけないというプレッシャー。もっと安い商品、得なショップがあったと知る後悔。しまいには、比較選択に疲れ果て、何が本当に欲しいものなのかわからなくなる――

多くの人が、値段より、スペックより、選ぶストレスを感じ、何が本当に欲しいのかわからなくなっているそうです。

こんな買物に疲れ果てた現代人にどうやってモノを売るか?博報堂買物研究所の最新マーケティング理論が学べる、売る側にも買う側にとっても気づきの多い一冊です。オススメ!

安ければ買ってもらえる時代の終焉

できるだけ良いものを安く買いたい!

これまでは、良い商品、サービスを安く届けるコストパフォーマンス=コスパが重要でした。

しかし、情報爆発時代の今、単に、「お金」だけがコストではなくなり、「物を選ぶ労力というコスト」が急激に高まっています。

増え続ける情報自体が買い物したい気持ちを失わせるほどのストレスになっているのです。

なぜ、買い物疲れ現象が起きているのか?

買い物疲れ現象はなぜ起きたか?その理由は買い物を取り巻く3つの環境変化です。

①情報の信じられない増加
特にスマートフォンが普及してからというもの、人々は24時間どこでも止まることのない情報のシャーにさらされるようになりました。いつ何時でも商品情報がやってくるのです。

②買い方の多様化
新品を店舗やインターネットで買うだけでなく、メルカリのように中古品も簡単に売買できるため、どこで買うと最もお得か調べようと思うと膨大な時間を必要とするようになりました。どこで買うかを決めることすらストレスになっています。

③買い物かけられる時間がない
時短アイテムが増える一方、1人でやらやるべきことがは増加中。かつてのように買い物に時間や労力をかける余裕がなくなりました。

上記の結果、「買い物欲はあるのに買えない」という新たな現象が起きているのです。

選ぶのは面倒、しかし、選びたい欲求はある

買い物欲はあるのに買うのが面倒と感じている生活者に、どうしたら物を買ってもらえるのでしょうか?

注意したいのは、生活者が「選ぶ労力をゼロにしたい」と単純に思っているわけではないということだ。生活者は買い物全部を誰かにお任せしたいのではなく、「私から選ぶのは面倒だけど、選ぶ楽しみも手放したくない」のです。

自分で選びたいもの、誰かに選んでほしいもの

かつて買い物に幸せはあった。しかし今は買い物が幸せとは言えなくなっています。では、どんな時に幸せを感じているのか?

どうやら現代人は、自分で選びたいものと、選びたくない=誰かに選んでほしいと思っているものを無意識に選別しているようなのです。以下は、横軸:自分で選びたいか、縦軸:関心度でモノ・サービスを分類したマトリクスです。

なぜ「それ」が買われるのか? 「自分で選びたいもの、レコメンドして欲しいものマトリクス」

このマトリクスが示すこと、わかりますか?
ここに、商品を売る企業には販売戦略のヒントが、消費者は自分は買い物で変なストレスを自らに課さないようにするヒントがあるのです。

デザート・車は自分で選びたい。家電・金融商品は誰かに選んでほしい

では、マトリクスを見てきましょう。

①関心高く、自分で選びたい
この領域にあるものは、自分で積極的に選びたいもの。買い物は面倒でもデザートは自分で選びたいし、マイホームや車は自分で情報収取して選びたいのです。

②関心高いが、面倒・お任せしたい
この領域にあるものは、自分では選択が難しいもの。商品やサービスが複雑だったり、情報収集に手間がかかるのです。
家電芸人なる人たちがいますが、彼らが人気なのは、自分では決めかねる商品にレコメンドしてくれて、買い物の面倒を省いてくれるからです。

③関心は低いが、自分で選びたい
毎日でのスーパーでの買い物、アルコール等、確かに積極的に情報収集するわけでないですが、人には選んでほしくないですよね。

④関心薄いし、面倒・お任せしたい

この領域にあるもの、サプリや洗剤。なんとなく、CMや店頭のポップを見て適当に選んでいませんか?

企業がとるべき戦略は何か

これまで見てきた最近の消費者動向をふまえて企業がとるべき戦略は何か?

それは、消費者の選ぶ労力を削減しつつ、その人にとって魅力的な商品、サービスに絞られた「枠」内から商品を吟味する楽しみを同時に提供する仕組みです。

つまり、パーソナライズな戦略です。本書では、「枠作り戦略」と名付けています。

進化し続けるパーソナライズ技術「枠づくり」の意味

買い物に疲れた消費者は、あらかじめ自分の趣味にマッチしそうな絞り込まれた範囲からものを買うようになります。この絞り込まれた範囲が「枠」であり、膨大な情報と商品の中から自分に合いそう商品を効率的に見つけるための絞り込み装置となるのです。

①自分の好みに縛られたものがありそうだと期待できる存在
②自分好みにお買い物を短時間で実現してくれる存在
③枠により買い物が効率化されるが、枠ができるまでの時間は長い

AIDMAの法則はもう古い

かつて、買い物までの生活者の行動として積極的に意識された購買行動モデルAIDMAの法則
消費者が商品の存在を認知し、購入に至るまでの一連の購買決定プロセスをモデル化してもので、人は、『Attention(注意)』、『Interest(関心)』、『Desire(欲求)』、『Memory(記憶)』、『Action(行動)』で購買に至るとするものです。

しかし、つまり、個人の購買動向に基づいたパーソナルな枠情報が事前に提供される結果、『Desire(欲求)』→『Action(行動)』で済むほど購買行動モデルはシンプルになるのではないかと提言しています。

まとめ

買い物疲れした消費者に届けられるパーソナルな購買の「枠情報」。
google検索でも、自分に関心の高い情報のみが目に付くようにサマライズされて情報が届くように、買い物情報も、今以上にパーソナライズ化されていくことになるのでしょう。

企業がよりこの方向で物売りを始めれば、確かに買い物疲れは減るかのしれません。

しかし、一方で、自分が知らない情報には非常にリーチがしづらい状況になってくと言うことでもあります。

本書を読んで思ったことは、賢い消費者で居続けるためには、企業のマーケティング戦略の裏も認識して、買い物をする必要がありそうだということ。売りたいものを持つビジネスマン、その情報を受け取る消費者、双方に気づきがあるので、より詳細は本書でご確認を!

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