【書評/要約】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(佐々木 俊尚 著)(★5) いかに読み、血肉にするか。即役立つ実践的読書術

現代は、ネットで誰もが膨大な「知」に到達できる時代。だからこそ、「読む力」が決定的に重要

単に「良質な情報」な触れるだけでなく、きちんと読み解き、理解を深め、「世界を見つめる力」を高めるられるか――。
多彩な視点を身につけ、最終的にはそれらを自分の「血肉」にできるか――

今回紹介する、佐々木 俊尚さんの著書「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全」は、インターネットをフルに駆使して「読む力」「知識」「視点」を身につけるための実践書。

スマホからの情報が止むことのない現代では、「集中すること自体が難しい」と受け入れた受けで、それを逆活用する「全く新しい読み方」を教えてくれます。

非常に学びが多く、すぐにマネ・実践できるノウハウが満載の良書です。読了後、実践できれば、確実にスキルUPが加速します。

今回は、佐々木 俊尚さんの著書「読む力 最新スキル大全」からの学びの一部を紹介します。

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まずは現代の知的生産に必須の「5つの大前提」を知る

【書評/要約】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(佐々木 俊尚 著)

スマホで「気が散る」時代。集中するためにスマホを遠ざけろと言われても、なかなか難しいのが現状です。そこで、佐々木さんが提案するのは、細切れ時間を味方につけた「新しい読み方」です。

断片的な時間で、断片的な知識・情報を血肉に変えていくには、まず最初に、情報の収集の仕方を見直しす必要があります。以下は、その大前提となる5つのポイントです。

❶まずメディアを「4つのタイプ」に分類する・2つの軸でメディアを4つに分類
・横軸:表面的だけど広いメディアか、奥深く掘り込んだメディア※か
 ※Nスぺ・クロ現、東洋経済オンライン現代ビジネス
  シノドス、専門家のブログ・SNS
・縦軸:中立的か、とがっているか(ものの見方が偏っているか否か)
❷大別したメディアから「ニュースを読み解く流れ」を作る・1本の記事では「断片」しか理解できない。
 一記事で「全部わかった」と満足してはいけない
いくつもの視点を作ることで、ようやく「ニューズの全体像」が見える
・ニュースを読み解く流れを作る(アウトライン → 視点 → 全体像)
❸読む目的は「たくさんの視点を獲得すること」と肝に銘じる・本当の意味で「知る」とは、
 その出来事について「たくさんの視点」を獲得し、
 「全方位からその出来事を見る」こと
・知に向き合う謙虚さを持ち、
 自分とは異なる意見も「そんな考えもあるのか!」と受け入れる
❹読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にすることが最終目標・まず、多くの情報に触れた上で
 ⇒「知識」や「視点」を獲得する
 ⇒「視点」から「概念」をつかむ
 ⇒「概念」を集めて「世界観」をつくる
 ⇒「世界観」から、自分のための「知肉」を育てる
❺無理に集中しようとするのではなく、あえて「散漫力」を逆活用するスマホは我々の「第二の脳」、大きな武器
・しかし、我々に飽きっぽさ、集中力低下という悪影響ももたらした
スマホを遠ざけるのではなく、受け入れ、散漫力を逆活用する
 如何に、知的生産に結び付けるかを考える

以下では、この5つの前提に沿った、読み方・学び方を紹介していきます。

いかに情報を収集するか

【書評/要約】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(佐々木 俊尚 著)

細切れ時間(短い集中力)で効率的に情報を収集するには、情報収集の改善が欠かせません。やみくもに読めば、情報の洪水に溺れ、弊害情報も入ってきます。

まず、「読むべきもの」を選別する

「SNSより新聞」と言われますが、あくまで一般論。SNSには極めて有益な情報もあるし、政治的に左派的・右派的な新聞もあれば、事件や事故、裁判、不祥事からイベントなどを取材する社会部の記事は専門性に薄く薄っぺらいものが多くあります。

メディアの特性を知らないで情報に接すると、知らないうちに落とし穴にはまってしまう

まずは、隔たりが強いメディア・弊害のあるメディアを知り、避けることが大事。本書では、元記者である佐々木さんが、「偏りが強いメディアを見抜くポイント」「SNS・新聞の落とし穴」「SNSとの付き合い方」「著者が読んでいる新聞」など、具体的なメディアとの接し方を紹介されています。

どう情報を収集するか:プッシュ情報とプル情報

情報の受け取り方には、❶勝手に流れてくる「プッシュ情報」と❷自分が能動的に集めていく「プル情報」の2つがあります。

プッシュ情報は世の中の動きを教えてくれますが、受け身すぎると情報洪水に押し流され自分を見失います。「自分のためになるか」という明確な基準を持って「良質なプル情報」を自ら取りに行くことが大事です。

【良質なプル情報収集】にはRSSリーダーを使いこなす

RSSリーダーフィードリー(Feedly)を使いこなすと、情報収集力が格段にUPします。
コツは、3点。具体的にどう使いこなすか、どんなメディアを読むべきかなど、非常にわかりやすく紹介されています。

・読むレベル(必ず読む、忙しい時は読み飛ばす、暇なときに読む)別に3つに分類
・記事選択の予備段階になる「キュレーションサイト」を活用
・カテゴリーに合わせてlフィードリーの表示を変更

当ブログもfeedlyでフォローしていただけると嬉しいです🙏

選んだ記事をどう読み、整理し、保存するか

記事をどう読み、どう整理・保存するか―― 佐々木さんは、記事の見出しを読む時間と、本文をじっくり読む時間を分けて読むことをすすめます。

理由の1つ目は「処理する頭が別」だから。効率的な情報収取のためです。

2つ目の理由は、「効率的な情報整理」のためです。「本文をあとで読む」ためのアプリ「ポケット(pocket)」を利用してブックマークして読めば、タグづけして、後で検索して活用することも容易になるからです。

すぐに役に立たない記事が「半年後に突然役に立つ」ことはよくあります。このような時に、Pocketに貯えたアーカイブを使えば、短時間で情報にアクセスできます。なお、「永久保存だ」と判断した記事は、「メモアプリ」にも保存。 元サイトの記事削除で読めなくなる心配もなくなり、ひと手間の結果、脳の記憶にも残りやすくなります。

本書では、ネットツールとその活用の仕方も紹介されています。
メモアプリ例:Microsoft OneNoteGoogle keepEvernoteNotion

情報から多様な視点を手に入れ、価値観・概念・世界観を作る

情報はただ収集しただけでは価値が薄いままです。その情報が持っている意味や価値観・概念を自分の中に蓄積していくことが大事です。ひとつひとつの情報が持っている意味は小さくても、チリも積もれば山となり、新たな価値観・世界観を作り出します。

そのためには、「情報をいかに整理しておくか」「一時的に整理した情報に、いかに簡単にアクセスできるようにしておくか」は極めて大事です。

本は「何を」「どう」読めばいいか

【書評/要約】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(佐々木 俊尚 著)

情報は、「メディア」と「本」に大別できます。この2つは、どちらが欠けてもいけません。ここからは、「本」の活用法を見ていきましょう。

本は「物事の全体像を知るガイド」

「本」の最大のメリットは、そのテーマについての全体像をつかみやすいことです。名著・良書は、「物事についての全体像を知る」うえで最も良質なガイドです。 1冊で「多様な視点」を与えてくれます。

本書では、様々な飲み方ノウハウを教えてくれます。佐々木さんの書棚(とその本の整理術)も写真で公開されています。どれも、本の読み方をアップデートしてくれるノウハウです。

・電子書籍と紙の本の使い分け。保管の仕方
・リアル書店の活用法
・本の紹介記事を活用する
・いま読むべき本の選び方
・名著・難解な本・実用書・ビジネス書・自己啓発書を読むコツ 他

私は、本が好きで、様々な本で読書術を学び、学びを書評にまとめ、実践もしてきました。
過去の記事にかぶる内容は、過去にブログ紹介してきた読書術&書評 をご確認ください。

以下では、私がまだ、実践できていないなと思った読み方のコツを3つ紹介します。

【本の読み方ののコツ①】何にピンと来たかをより具体的に記録

多読をしていると、「この解説は、前に読んだ本にも出てきた」「これは△ニュースに関係している」といったことに気づくことが多々あります。このような気づきを大切にして、具体的に記録をとどめることが大事です。

私は、ピンとくることがあったとき、読書ノート代わりとしているこのブログの記事を検索し、読み返すようにしています。この時、ただ見返すだけでなく、記事に一言追記するようにしようと思います。

【本の読み方ののコツ②】抽象的で難しそうな部分こそ、丁寧に熟読

(次の切に関係しますが)これまで私は、抽象的で難しいと思ったところは、さらっと読み飛ばしていました。この部分を熟読することが大切だったのですね。なるほど。

【本の読み方ののコツ③】名著・難解な本の読み方

名著は「多様な視点」を学ぶ良質な素材です。名著を読む目的は「名著読破」ではありません。読破が目的なら、それは単なる自己満足です。

大事なのは、名著を素材に「偉大な文豪の視点」をわが物にすることであり、文豪が世界をどう認識していたのか「世界を学ぶ」ことです。ただ読んで面白いだけでなく、「血肉」にできるかが大事です。読み継がれる良書からは、このような学びが得られます。

本書では、難解かつ長編な小説 ドルトエフスキーの『罪と罰』を例に、読みこなすコツがわかりやすく解説されていて、非常に参考になりました。

古典名著におすすめな「光文社古典新訳文庫」

古典名著を読む場合は、「光文社古典新訳文庫」がおすすめです。他のシリーズより訳されて日が浅いので、訳された期日が浅いので読みやすいのが理由です。同じことは、齋藤孝さんの著書「本には読む順番がある」でも紹介されていました。

ワタシ個人は、光文社古典新訳文庫はKindle本の読み放題サービスKindleUnlimited対象本が非常に多いことも気に入っています。格安で良質な本に触れたい方には超おすすめです。

知識や情報を活用する:いかに「血肉」を育てるか

【書評/要約】現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全(佐々木 俊尚 著)

いくら読書をしても、血肉にできなければ意味はありません。ここで大事なのが「情報の保存の仕方」です。

「2つの保存先」を使い分ける

読書を血肉するためのコツは、情報の保管を、その情報の性質によって、「頭の中」と「頭の外=コンピューター」に分けることです。

頭の中    :情報を「概念化」して蓄積できる
コンピューター:容量に限界がない、決して忘れない、その都度、必要な情報を取り出せる

「概念化」するとは、頭の中で乱雑な情報をつなぎ直して、1つの小説のように再構成することです。一方で、 人間の頭は記憶容量は小さく忘れます。だから、頭とコンピューターの2つを組み合わせて使うことが大切です。

最近はなんでもググって片づける人が増えていますが、これでは、「情報を血肉化」することはできません。血肉化された知識があって、はじめてクリエイティブな頭が機能します。

知識を血肉にする流れ

「知識の知肉化」とは、筋トレのように、知識を仕事に活かしたり、生きる指針にしたり、自分の行動原理にするなど、「自分だけの活用方法を育てていく」ことです。

この血肉化は一発でなし得るものではありません。ステップを踏む必要があります。

血肉化のステップ

書籍を読む → 「さまざまな知識や視点」を得ることで「さまざまな概念」をつかむ → 「世界観」が見えてくる → 「知肉」へ

一つの情報・一冊の本だけでは、世界観は見えてきません。様々な情報に触れ、視点を獲得していくことではじめて、より深く広い「世界観」が見えてくるようになります。そして、世界観が徐々に深まることで、仕事・生活に役立つ血肉となっていくのです。

知と知を結びつける:無意識の活用

本を多読していると、ある瞬間、一気にパタパタと知識がつながっていく瞬間が時々訪れます。世界観を深めるに当たって大事なのが、この「ふとした思い出し」です。

この時、脳では、何かの情報・出来事・思考をきっかけに、無意識化で「複数の概念」が頭に思い浮かび、結びつき、「新たな世界観」がつくられています。

お風呂やトイレなどに入っているときに、「ふと閃き💡が降りてきた!」ということがありますが、これは、自己意識のあずかり知らない「無意識の領域」で、複数の概念が結びついて、新たな考え(世界)が舞い降りてきたということです。

この閃き💡をよくするには、知識を頭に保存しておくだけでなく、普段から「脳のノイズを減らしてクリアな脳」でいることが欠かせません。本書には、「脳のノイズを減らしてクリアな脳にするための仕事術」「短時間の集中力で、細切れでも質の高い仕事をする方法」もいろいろ紹介されています。

当ブログでもいろいろ無意識に関する本からの学びを紹介しているので、そちらもご参考に。

最後に

今回は、佐々木 俊尚さんの著書「読む力 最新スキル大全」からの学びの一部を紹介しました。

「学び」の本質は、さまざまな知識を自分の頭の中で「統合」して、血肉化していくことです。知識がたくさんあっても、統合されていなければ「雑学」や「ウンチク」 でしかありません。統合されてはじめて「教養」になる、それが腹落ちしてよくわかりました。

自分が好きなことを学び、それを仕事にできれば、もっとも血肉化が加速できます。佐々木さんのこの本も「好きなことを仕事に!」の中で蓄積されたノウハウをまとめたものであり、それが成果物となって、さらに多くの人に恩恵を与えています。

本書には、「情報の入手・整理・保管・概念化・血肉化」だけでなく、仕事と生活の壁をぶち抜き、集中力UP・効率効率化・ストレス低下する方法についても、がっちり解説されています。本書一冊を通じて、非常に実践的で、即利用開始可能な便利なツール・ノウハウなどの紹介も多数あります。それを血肉にするには継続が必要ですが、まずは、真似して(行動して)みることが大事です。

私も読了後、本書で紹介のツール・方法を早速取り入れました。今後、自分にしっくりくる方法を模索してみたいと思います。また、余分なこと・非効率なことの排除のために「自分が日々、パソコンに向き合って何をしているのか」改めて考えてみたいと思います。