【書評/要約】結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(伊庭 正康 著)(★4) ~特別な才能・感情より「しつこさ」が人生を決める 人生攻略

しつこい人」と聞いて、ネガティブなイメージを 思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

しかし、しつこさ」とは、それが自分に向けられるものであるとき、「あきらめずに継続する」「どんなことでも徹底する」「コツコツと地道にやり抜く」といったポジティブワード。 何度も何度もアタックする気持ちのことであり、スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスクなど、一流の成功者に共通することでもあります。

今回紹介の、『結局「しつこい人」がすべてを手に入れる』は、 たとえ意志が弱くても、 特別な才能や技術がなくても、 ちょっとした工夫と、想像力を膨らませるだけで、 誰でも、「何度もチャレンジできる人」になる方法を紹介する一冊。

今回は、著書『結局「しつこい人」がすべてを手に入れる』から 「しつこさ」を武器にして、 たった1回の人生であなたの望むものを 手に入れるために大事なことを学びます。

人生の成功は、しつこさで9割決まる

人生の成功は、しつこさで9割決まる:結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(伊庭 正康 著)

「成功と失敗の一番の違いは、途中であきらめるかどうか」と言ったのは、スティーブ・ジョブズ。

成功するまでやり続けるのは「いいしつこさ」。しつこさに気合や根性は必要ありません。意味クールに、どうやったら続けられるか考え、仕組み化・習慣化する姿勢を持つことです。

GRID:やり続ける力

GRIDという言葉をご存じでしょうか。

GRIDとは、困難な状態でもめげることなく、自ら目標に向かって最後までやり抜く力のこと。ベストセラーとなったアンジェラ・ダックワースの著書「GRID:やり抜く力」がその火付け役です。

GRIDの4要素

Guts(度胸)    :困難なことに立ち向かう
Resilience(復元力):失敗してもあきらめずに続ける
Initiative(自発性) :自分で目標を見据える
Tenacity(執念)  :最後までやり遂げる

どの要素も、特別な能力や学力は不要。成功や幸せは、生まれつき備わった知能や才能によるのではなく、「いいしつこさ」を身につければ必ず手に入れられるものであることは、心理学も証明されています。

愚直に続けるために必要なこと

いわゆるその道の成功者と言われる人たちは、決めたことを愚直にやり続けます。愚直に発信し続けることが、信頼を高め、その他大勢からの突破につながります。

愚直に続けるために大事なことは「好きなこと」を見つけることです。自分が好きでなければ徹底的にやり続けることはできません。義務でもなく、お金のためでもなく、自分がこれと思ったもの、楽しいと思うものを、ブレずに続けられます。

ただし、ここには、「相手軸」での行動が必要です。相手のことを思ったコミュニケーションではない「相手無視・自分本位」な行動は、「悪いしつこさ」となり、これも続けることはできません。

しつこく続けられないのはなぜか?

人生の成功は、しつこさで9割決まる:結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(伊庭 正康 著)

では、私たちは、なぜしつこくやり続けることができないのでしょうか?

しつこくできる人/できない人を分つもの

しつこくできないのは、 おそらく、次のどれかです

❶面倒くさいから/苦痛だから
❷飽きっぽいから ・忙しい
❸相手に嫌われないか心配

❶❷でつまずいてしまうのは、自分が心から好きなことではないからです。「やらされ感」を持っている限り、継続はできません。

また、❸のように思うのは、「自分軸で考えて行動している」からです。「相手軸」なら嫌われることはありません。
さらにもう一つは、「セルフエフィカシーが高いかいなか」。セルフエフィカシーは「自分はできる」という自分への信頼感で、成功に不可欠な要素です。

しつこくできない人の4つのタイプ

前項にも関係しますが、しつこくやり続けられない人は、4つに大別できます。自分の悪い癖を自覚すれば、行動を変えるスタートラインに立てます。

❶そもそも習慣化が続かない「三日坊主型」
「開始期」で離脱してしまうタイプ。アクセルを踏むけどエンジンがかからない

❷だんだんやらなくなる「へこたれ型」
「成長期」で離脱してしまうタイプ。本当に続ける意味があるのかと、途中で懐疑的になる

❸スランプに陥ってやめてしまう「スランプ型」
「プラトー期」で離脱するタイプです。一本調子にやり続けて頭打ちになる

❹続けても飽きてしまう「うんざり型」
「成熟期」での離脱する。わかった気になってそこで満足して辞めてしまう。「井の中の蛙」になりやすい

❶❷の人は、マインドの持ち方に問題があります。また、❷は、「効果を確認する」の見直しも必要です。
❸はやり方を変えないままに続けたり、何でも自分ひとりで抱え込んでしまうときに陥りがち。❸❹は「楽しく」の見直しが重要となります。また、スランプを打破する力も必要になります。

しつこさを身につけるための「TKKの法則」を実践しよう

「TKKの法則」を実践:結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(伊庭 正康 著)

著者は 「しつこさ」を身につける法則として、楽しく、簡単に、効果を見える化しながら進む「TKKの法則を実践しようとアドバイスします。

Tの法則:楽しく

楽しさが継続のもとになることは先にも述べた通りですが、人によっては、集中すべきとわかっていても「楽しく取り組めない仕事」もあります。

そんなときは、「仕事の意義を確認する」ことです。偉大な仕事の一部をしてると思うとモチベーションが上がります。さらに、「工夫を足しする」。工夫することで、仕事に自発的になり、モチベーションも上がります。さらに、「ハイパフォーマンスな人と交流する」ようにすれば、より大きく気づきが得られ、やる気につながります。

Kの法則:簡単に

しつこくやるには、「簡単さ」は極めて重要です。簡単であれば簡単であるほどいいです。

❶フォーマットを使う
❷手間を省く(ツールを使うなど)
❸判断を減らす

などを意識し行動すれば、行動を起こすためのエネルギーが減らせます。ジョブス氏の服装が「黒のウェアにジーンズ」と決まっていたのも、無駄なことに時間・判断力を使わないためです。「If thenプランニング」で、「もし〜したら〜をする」と決めておけば、思考・判断を介入させずに前に進めます。

また、やりたい気持ちを促すには、「MustをWillに転換させる」ことが大事。或いは、「MustのなかにもWillを見つけ出す」ことにより、やらされ感は減らせます。

Kの法則:効果を見える化する

効果の見える化とは「進捗確認」です。自分が取った行動に対する結果が見えるようになると、脳は「もっとやりたい」という気持ちになります。結果、自身の進捗を確認できる頻度が増せば増すほど、創造的な仕事の生産性を長期的に高めることができます。

進捗をメモ、記録する癖をつけましょう。

「TKKの法則」をさらに補強する

「TKKの法則」をさらに補強する:結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(伊庭 正康 著)

ここからは「TKKの法則」をさらに補強する方法を見ていきましょう。

タスクを今一度確認

まず最初に確認すべきは、「やり続けるべきタスクでいっぱいいっぱいになっていないか」ということです。

人の脳は構造上、複数のタスクを同時にこなす「マルチタスク」は不得手です。一つだけを行う「シングルタスク」の方が集中力が持続し、トータル効率がよくなります。

また、意志力には限界があり、使うと減ります。だから、しつこくやり続けるためにも、「やることは1つに集中する」ことが大事です。

そのためには、優先順位を決める。単に「やることを決める」だけでなく、「不要なものを捨てる」ことが大事です。緊急でも重要でもないタスクはどんどん減らし、緊急だけど重要でないタスクもほんとうに必要かどうか、検討してから取り掛かりましょう。

人と比べず、強みを活かす、好奇心を持つ

人には、周囲を見てその場の環境や雰囲気を感じ取り、「みんながやっているから」という意識で行動を決定してしまうという習性があります。しかし、これでは、タスクは分散します。

人と比べないことが大事。人と比べるのではなく、「自分の強みを生かす」。人よりうまくできることなら、活力も沸きます。

ただ、好奇心を持つことは大事です。自分のやり方に固執しては、発展が狭まるからです。好奇心を持って、人を観察すると、生かせる(盗める)部分も見つかるはずです。

マイナス思考を減らす

なんでもかんでも悪いほうへ考えてしまう「マイナス思考」は思考の癖。「できない」「うまくいかない」「続かない」といったマイナス思考が、しつこくやり続けることを阻害しているケースが多いです。

「もうダメだ」と思ったときでも肉体的な限界を迎えていないケースがほとんど。脳がエネルギーの消費量が多い前頭前皮質の活動にブレーキをかけている、つまり、「自分の意志によってストップをかけている」ことが大半です。

限界を感じたときは、以下の2つの質問を自分に問いかけましょう。
・このチャレンジを成し遂げたらどんないいことがあるか
・このチャレンジが成功したら誰か喜んでくれるか

感情と切り離して課題を浮き彫りにする

「好き」「嫌い」「面倒だ」「プライドが許さない」といったその場の感情が問題になることも多々あります。これらの感情はいったん脇において、「問題」「課題」「対策」を考えることが大事です。また、「問題」と「課題」がごちゃ混ぜになって区別できない人も恐ろしいほど多いです。

「問題」から解決すべき「課題」をあぶりださなければ対策を打つことはできません。

例えば、
問題:彼女との関係がうまくいっていないこと
課題:相手の気持ちを知ること
対策:仕事終わりにお茶に誘い、話を聞いてみること

といった具合に、問題が発生したら、感情と切り離して課題を浮き彫りにするよう心がけるクセをつけると、人間関係や仕事でよい結果が出やすくなり、しつこく続けることができるようになります。

最後に

今回は、『結局「しつこい人」がすべてを手に入れる』から、人生の9割をも決める「しつこさ」のメリットと、その効果的な利用方法を要約紹介しました。

本書にはこれ以外に、様々な対処法が、わかりやすく紹介されています。
是非、手に取って読んでみることで、人生を成功に導くノウハウを自分のものにしてください。