人生の悩み事の多くを占める「お金」。
90%近くの考え事、悩み事はお金に関連しているのが実態です。

本書の著者はランドマーク税理士法人の代表弁護士(所長)。相続・事業継承対策支援、資産税コンサルタント、決算、確定申告など、1万人以上の資産家から相談を受けてきた実績を持ちます。

ビジネスを通じて清田さんが分かったことは、「億単位の資産を持つ人は、「お金の残し方」に不安を抱いている」ということです。資産を持っていない庶民は、今の資産で生活していけるかを悩み、あとのことを考えていませんが、このようなお金持ちが持つお金の不安、例えば節税などは、庶民が資産を形成していくうえでも大いに役立ちます。むしろ、意識してないからこそ、意識して資産形成を行うことで、資産形成のスピードも速まります。

また、相続対策を一切行っていない一般庶民ほど、親の小さな資産を目当てに醜く争うことが多々あります。事前に基本的な知識をしっているだけで、このような「相続・争族」からあなたを守ることができます。

今回は、著書「お金持ちはどうやって資産を残しているのか」から、お金持ちが節税でお金を「残す」方法、および、次の世代に財産を継承するという意味の「遺す」方法について、ポイントを要約します。

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2015年相続税法改正

本書の前提は、2015年に相続税が改正され、親から相続されるであろう土地(特に東京などの首都圏)を持っている人たちが大幅な増税対象になることが前提となっています。これにより、基礎控除額が大きく変更となりました。

基礎控除額の変更

2014年末までの基礎控除額:5,000万円+1,000万円×法定相続人数
2015年からの基礎控除額 :3,000万円+600万円×法定相続人数

つまり、夫婦2人と子ども2人のご家庭でお父さんに万一のことがあった場合、以下の通り、8,000万円から4,800万円に、実に4割も控除できる金額が少なくなってしまうのです。
2014年末までの基礎控除額:5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
2015年からの基礎控除額 :3,000万円+600万円×3人=4,800万円

さらに、相続税の最高税率が50%→55%へ(各法定相続人の取得金額6億円超の場合)変更になりました。この部分は、庶民にはあまり関係がありませんが、基礎控除額の変更はかなりなインパクトを及ぼします。

本書ではこのような税制改正を背景に
「どうすれば、税金を安くできるのか」
「どうすれば、財産を減らさずに次の世代に受け継がせることができるのか」
「どうすれば、自分が育てた事業を継続させていくことができるのか」
について、解説してきます。

いくら持っていればお金持ち?

皆さんは、「お金持ち」といったらどんな人を思い浮かべるでしょうか?
多くの人は「年収」を1つの基準として、「年収1000万円」を目指しますよね。

資産額で見た場合、一般的に、保有資産ランクは5段階に分けられます。この中で、いわゆるお金持ちは、「富裕層」と「超富裕層」に該当します。

保有資産ランクの5段階

超富裕層   :5億円以上
富裕層    :1億円以上、5億円未満

準富裕層   :5000万円以上、1億円未満
アッパーマス層:3000万円以上、5000万円未満
マス層    :3000万円未満

なお、NRIが2016年11月に発表したデータでは、日本には、1億円以上5億円未満の富裕層が114.4万世帯あり、これは全世帯の2.16%。つまり、50世帯に1世帯が富裕層です。
意外にいるなと思いませんか?

より詳細は以下にてご確認を。

お金持ちの4つのタイプ

さて、著者によると、お金持ちのタイプは大きく4つに分類できます。

お金持ちの4つのタイプ

1.地主系
2.投資家系
3.事業系
4.キャッシュリッチ系

彼らはそれぞれ、自分に合った方法で節税をしないと資産を守ることはできません。特に一度に資産が移動する相続税は問題です。そもそも、相続税の目的は「お金持ち」に富が集中するのを防ぐことにあるからです。

しかし、彼らは、特に、「所得税」「相続税」「贈与税」が嫌いです。

地主系リッチの特徴

地主系は、資産の大半が先代から引き継いだ「土地(不動産)」。現預金や有価証券はさほど持っていません。そのため、資産を減らさないように「現状維持」を目指すタイプが多いです。

ただし、節税を兼ねた、アパート経営、タワーマンション投資=節税を行う積極派もいます。時価が高く、評価額が低い物件を所有するれば、相続税を安くすることができます。

投資系リッチの特徴

投資系リッチは、債券や株式、不動産など資産価格の上昇(キャピタルゲイン)により富豪になったタイプです。特に、コロナショック以降は、このタイプが多いでしょう。

事業系リッチの特徴

事業系リッチは、会社経営者。事業所得でお金を得ているタイプです。会社の業績が順調な限り、投資系よりもリッチになる場合も。

なお、中小企業の経営オヤジがお金を持っているように見える理由も、彼らは、給料(報酬)以外に、会社の経費という財布を持っているからにほかなりません。

普通、年収500万円のサラリーマンは、所得税が約10%、住民税が10%、社会保険料(健康保険料約8%、厚生年金保険15%)など、合計40%前後が天引きされてしまいます。しかし、オーナー社長なら、報酬を少なくし、あらゆる個人の支出を経費として落とすことで、税金をほとんど払わないようにすることができるからです。

キャッシュリッチ系の特徴

キャッシュリッチは、そのまま、現金や預金など、流動瀬の高い資産を持っている方。有価証券を持っているというケースも多いでしょう。

保険による節税対策

一般庶民にとっては、「保険」は病気や死亡への備えというのが一般的でしょう。しかし、会社役員なら、社長の退職金の準備、円滑な事業承継、生前相続・二次相続への備え…等、様々な用途に利用できます。保険という形で会社の利益を外部留保すると様々なメリットが得られます。

また、保険は、保険料を支払う際の損金処理や資産計上や、途中で意図的に解約して資金を還流させることが可能。「益出し」「損出し」を自在に行い、様々なリスクに備えられます。

本書では、もと具体的な節税対策法について紹介されています。

最後に

今回は、清田幸弘さんの「お金持ちはどうやって資産を残しているのか」を紹介しました。

冒頭でも述べましたが、相続は資産家だけの問題ではありません。むしろ、相続対策を一切行っていない一般庶民程、親の小さな資産を目当てに醜く争うことが多々あります。税に対する知識はあなたを守ることにつながります。このような平素な本で学んでおくと、みすみす損することを避けられますよ。