【書評】本の「使い方」(出口治明 著)(★3)
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本を読むならできるだけ、その本を自分の血肉にしたいとお思いの方は多いのではないでしょうか?

その場合、どんな本をどんなふうに読めばいいのか?

そんな読書に対する姿勢へのヒントを与えてくれるのが、出口治明さんの本の「使い方」。自分の読書の仕方を改めさせてくれるヒントが詰まっています。

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そもそもなぜ読書をする必要がある?

今の時代、同じことをやっていても進化はありません。自ら考え動くことが必須な時代です。

では、どうすれば自分の頭で考える力を養えるのでしょうか。

「考える力」はゼロから生まれるものではありません。最初は、先人の考える方、発想のパターンを真似ること。これら思考パターンを学ぶために最良なのが「読書」です。中でも「古典」が最適です。

教養と教育の違いは何か

皆さんは教育と教養の違いを言葉で表現できますか?出口さんは次のようにまとめます。

教育:
生きていくために必要な最低限の武器を与えること

教養:
より良い生活を送るために、思考の材料となる情報を広くかつある程度まで深く身につけること。「知識」×「考える力」が必要

ストックしてある知識や情報の量が多ければ多いほど、思考や直感などの脳の活動の精度は高くなります。だから私たちはたくさんの教養を身につけておくことが必要なのです。

教養得るための効率的なツール

教養を学ぶ方法には、「人」「本」「旅」の3つがあります。この三3つの中で最も効率的に強要を得られるのが「本」です。

では、本が優れる点は何なのか?出口さんが考える本が持つ優位性を以下のように述べます。

本の5つの優位性

①何百年も読み継がれたもの(古典)は当たり外れが少ない
②コストと時間がかからない
③場所を選ばずどこでも情報が手に入る
④時間軸(歴史)と空間軸(地理)が圧倒的に広くて深い
⑤実体験にも勝イメージが得られる

優れた本が持つ「毒」

優れた本は、読後に、「毒」を飲んだような強い印象を残します。「ああ、面白かった」とスッキリして終わるのではなく、何かが、頭の中に引っかかります。本の魅力に毒され、溺ぼれ、取り憑かれて、鮮明にいつまでも頭の中に残ります。 毒が回らない本は、読んで忘れてそれでおしまいです。何の印象にも残りません。

本の読み方

古典を読む意義

新聞、ネット、本の使い分け方

今の時代、情報を得る方法には、新聞・ネット・本の3つがありますが、上手に使い分けをしているでしょうか。使い分けるにはその特性をしっかり把握する必要があります。

情報入手の使い分け方

新聞 :価値の序列をつけて文脈を伝えるツール
ネット:速報性と検索性に優れたツール
本  :時間軸、空間軸が広く、全体的な知識を伝えるツール

まとまった知識は本から得る。直近のニュースは新聞で得る。そして百科事典の代わりにネットを使う。これが出口さんの基本的な使い分け方です。

古典を読む意義

ビジネス書を十冊読むよりも古典を1冊読む方がはるかに得るものが大きい。その理由は4つあります。

古典を読む4つの意義

①時代を超えて残ったものは無条件に正しい
②人間の基本的、普遍的な喜怒哀楽が学べる
③ケーススタディとして勉強になる(人間と人間社会に対する認識を比較的簡単に得られる)
④自分の頭で考える力を鍛錬できる

このためには、解説書ではなく「原書」を読むことが大事です。

どうして古典が難しく感じるのか

出口さんは「古典」の有用性を強く説きますが、多くの人は、非常に難しくとっつきにくいと感じているのではないでしょうか?

その理由は、時代背景が違うから。同じ言葉であっても、その意味するところが異なるからです。

ビジネス書との距離の取り方

ビジネス書との距離の取り方

出口さんはビジネス書はあまり読まないと言います。それには2つの理由があります。

①ビジネス書が後出しジャンケンである
成功者が後から自分を振り返って「こうしたから成功した」と述べたところで、それが次の成功をもたらす保証がどこにあるのか?成功者の本を読み彼と同じように行動したからといってビジネスがうまくいくとは限りません。
一方、失敗には多くの学びがありますが、ビジネス書には一般的に失敗についてはあまり書かれていません。

②ビジネス書は抽象化されすぎている
ビジネス書の理論は、極度に抽象化一般化されていますが、人間の生き方も考え方も能力も千差万別です。すなわちビジネスにおける正解は一つではなく、全てが応用問題です。

人間と人間がつくる社会を相手にしているのですから、「人間とはどういう動物なのか」を理解することを優先することが大事です。 それが「人間社会の本質」です。その本質は小説や歴史書から学ぶほうが有益なのです。

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最後に

以上、今回は「本の「使い方」」を紹介しました。ビジネス書ばかり読む弊害については納得。見城徹さんの著書「読書という荒野」にも、 「ビジネス書や実用書だけではだめ。そこには結論しかない。本来は、優れたビジネス戦略の裏には、当事者が胸をかきむしりながら思考し、汗水を流しながら実行するプロセスがあるのです。そこには、理論やノウハウではない人間の格闘があるのに、その部分については語られていない」との指摘がありました。

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最近、坂口安吾の「堕落論」と「白痴」を読んだのですが、なんだか咀嚼しきれずに、スッキリしないのだけれど、非常に後に残るという経験をしましたが、その理由がわかりませんでした。特に「白痴」については、人間の心の二面性がひどく頭にこびりついて離れませんでした。

本書を読んで、それが「読了後に残る良書の【毒】」だったのだと分かって、なるほど、スッキリしました。古典に「人間の本質を見た」例だと思います。

私は古典を読み始めて日が浅いですが、こんな経験を増やしていけたらと思います。

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