【書評】いま君に伝えたいお金の話(村上 世彰 著)(★3.5)

子供お金のことなんか考えなくていい、そう考える大人がこの国は少なくありません。
“お金=汚いもの” “お金=悪いもの” という感覚が広く根づいています。メディアでも、お金をたくさん稼ぐことが “悪いこと” のように報じられることが多々あります。

このような状況に警鐘を鳴らすのは、本書の著者 村上世彰さん「もの言う株主」と言われ恐れられた村上ファンドの村上さんといえば、お分かりの方も多いでしょう。

村上さんは、2006年にニッポン放送株式のインサイダー取引の容疑で逮捕された過去があるため、「お金に関するダークなイメージがある人」とお思いの方も多いかもしれません。

しかし、今、村上さんは、シンガーポールに在住していますが、たまに日本に戻ってきたとき、子ども向けに「お金の授業」を行っています。

それはなぜか?

タイトルの通り、子どもたちに小さい時からお金について学んでほしい。「いま君に伝えたいお金の話」があるからです。

お金でしなくていい苦労を減らすためにも「お金の勉強」は大事

私は今、現職ではありませんが、FPの資格を持っています。もともともきっかけは、生きていくために知っているべきお金について学ぶ機会がなかったことに気づいたからです。

なぜ、社会人になったら知っているべき税金のこと、そしてお金を増やすために知っておくべき知識を学ぶ機会が、義務教育にはないのだろうと常々疑問視していました。

著者の村上さんも、日本の学校ではお金のことをほとんど教えていないことを疑問視し、「お金の勉強するのに早すぎると言う事は無い。むしろできるだけ早いうちにお金について考える習慣をつければ、その分、お金に関してしなくてもない苦労が減るはずだ」との考えを持っています。

だからこそ、本書はには、以下の内容が中学生でも読みこなせるような平素な言葉で書かれています。しかし、子供以上に、大人の方が先に読むべきだと思わされる内容です。

もし、本書に書かれている内容が十分理解できているなら、多くの日本人がこれほどまでお金に悩み苦しむ生活をする必要などなかったでしょうから。

1章 お金って何だろう?
2章 お金と世の中の関係
3章 君がお金を手にする方法
4章 働き方が大きく変わる
5章 稼いだお金を貯めて増やす
6章 お金と向き合うための覚悟
7章 とっておきのお金の使い方

お金の魔力~値段に騙されるな

人間は前段が高いものには何か高い価値があるように錯覚してしまいがちです。値段が高いと言うだけで、それを何か凄いものと思い込みがちです。理由は、お金には「魔力」があるのです。

でも、高価なものを見て、どうしても欲しいと思った時、その商品には自分にとってその値段に見合うだけの意味や価値があるかどうか考えてください。

お金とうまく付き合うには、日々の暮らしの中で、その金額が自分にとって意味と価値があるかどうかの判断が必要することが大切です。それがあなたの何日/何時間分の働きと交換の上で買うのか考えてみてください。

いま君に伝えたいお金の話

お金のセンスを磨く

どうしてこっちの商品の方があっちの商品よりも高いのか?
自分はどうしてこの商品が欲しいのか?
値段と自分が得る幸せのバランスが取れているか?

こういうことを考えると、値段に騙されることがなくなるばかりか、物欲以上にその背景にある、経済の成り立ちが見えてきて、お金のセンスが磨かれます。無駄遣いもなくなります。

村上さんは、者を買うこと以上に、このような経済の仕組みを考えることが楽しかったそうです。

センスを磨く、ゴチゲーム

ぐるナイの「ゴチ」というお食事代当てゲームをご存知でしょうか?
食事の内容、食材、店の雰囲気をもとに、食した料理の食事代を当てるテレビ番組です。村上家では家族で食事に行った際にゴチゲームをするそうです。

理由は、値段に慣れ親しみ、食事やサービスの質と価格の関係を考えることができるから。そして自分にとって値段に見合う価値があるのかどうかをきちんと考えるのです。家族と議論したりみんなで考えたりすることもでき、ゲームを家族で楽しみながらお金に強くなるためのトレーニングができるのです。

村上家流ゴチゲームは、ぐるナイのゴチよりちょっとだけ高度なルールになっています。本書でご確認を。

もはや会社員は気楽な環境ではない

時代は変わりました。もはや会社員は気楽な稼業ではありません。世界を見渡すと日本の他にそんな甘い認識のある国はほとんどありません。

組織属さず、「個人VS世界」というような仕事の仕方は今後ますます可能になってくると、毎月決まった給料もらって暮らす状況もどんどん変わっていくでしょう。

好きなことのために仕事をすると言う選択はしやすくなっています。しかし、夢を追いかける時こそお金が大事。好きなことが出来るならお金が稼げなくても良いと簡単に口にしてしまう人がいます。その考え自体を否定するつもりはありません。しかし、大切なのは本当に覚悟ができているかです。中途半端な気持ちではダメなのです。

いま君に伝えたいお金の話

投資に大事な「期待値」

村上さんが株式投資をする上で、最重要視するのが「期待値」

期待値とは、儲かる確率のこと。100円である株を買ったときに、将来それが300円になる可能性はどれぐらいか、逆に50円になってしまう可能性はどれくらいか、ということを自分なりに考えて、期待値を割り出します。

感覚で投資してはいけません。

期待値の感覚を鍛える

どうすると勝つ確率を最大化できるか考え、戦略を立てる。期待値で物事を判断、戦略に取り入れ勝負で勝つには訓練が必要です。

この期待値の感覚を鍛えるゲームのやり方が本書内に紹介されています。
・ポーカー
・じゃんけんゲーム
・31ゲーム
・七並べ など

遊びとしてのゲームも「勝負事」です。上記のようなゲームでも、確率を考える、人の顔色・雰囲気を読むなどすることで、勝負事に強くなるスキルを強化することができます。

賢い人は、単なる遊びもこんな風に戦略的に考えて対戦してるのね、と思わされました。やっぱり、凡人と成功者との日常における差をまざまざと見せつけられた感じです。

いま君に伝えたいお金の話