【書評/要約】お金をかけない「老後の楽しみ方」(保坂 隆 著)(★3) ~定年前の生活ダウンサイジングのすすめ

老後の不安は何か質問すると「お金」を第一に挙げる人が多い。
しかし、「いくらあるか不安がなくなるのですか? 」と質問しても、ほとんどの人は答えられない。

最も大事な心配事にも関わらず、どの答えは持ち合わせていません。計算を試みたこともありません。ただ、不安で心を悩ませているだけなのです。
不安だらけの人生は楽しいでしょうか?

不安だと思うから不安になる。それが「不安の正体」です。必要以上に不安になると人生損をします。

本書、『お金をかけない「老後の楽しみ方」』は、老後資金を残す・減らさないための節約本ではありません。人生の後半戦を迎える世代に、節約は「自分らしさ」を追求するための、奥深い知性であることを教てくれます。また、必要なものだけがある暮らし、あるものだけで満ち足りた暮らしをするヒントを与えてくれます。

今回は、精神科医が考える心を安らかに老後を過ごすための方法を『お金をかけない「老後の楽しみ方」』からの学びを紹介します。

[スポンサーリンク]
Audible 2か月体験無料
聴き放題対象本:おすすめビジネス書・自己啓発書  おすすめ小説

老後のお金の使い方を考える

【書評/要約】お金をかけない「老後の楽しみ方」(保坂 隆 著)

現在、高齢者の中心になっている層は、戦後の高度成長期を引っ張ってきた団塊の世代、或いは、その少し前の世代です。

今、老後を過ごす人たち

団塊の世代、或いは、その少し前の世代の人たちは、「消費」は美徳だった時代を生きた世代であり、結果、消費することで幸福感を感じてきた世代です。

しかし、老後を迎えた今、「消費は美徳」から「節約を美徳」へと価値観を変えていくことが求められます。

老いてからの「節約」とは?

リタイア生活になると、通常、収入は「年金」のみ。働いていた時代のような収入はなくなるわけですから、お金の不安を感じやすくなります。

しかしです。

人生は案外うまくできていて、歳をとりお金を稼ぐ力が小さくなってくるころには、必要なお金も徐々に減ってくるものです。

人生の後半戦になって目指す節約生活とは、「自分らしいお金の使い方」を追求することです。

お金の使い方に自分なりの価値観で優先順位をつけ、
順位の高くないものにはできるだけ出費を抑え、
その分を優先順位の高いものに振り分ける。

そんな自分らしい節約であれば、お金をかけずに老後を楽しめます。

節約はみすぼらしいことではない

節約生活というと、みみっちいみすぼらしい暮らしを想像する方もいるかもしれません。しかし、それは違います。

目指すのは、無駄をそぎ落としていく暮らし。

より具体的に言うなら、「もったいない」と言う気持ちを取り戻していく、日本人らしい品性のある暮らしです。所有欲、物欲から解放されると心身がすっきり軽くなります。

老後の資金不安を考える

【書評/要約】お金をかけない「老後の楽しみ方」(保坂 隆 著):老後の資金不安を考える

では、経済的な不安をどう乗り越えればいいでしょうか。

生活をダウンサイジングする

一つの方法は、定年を前に、生活のダウンサイジングを実施することです。
我々は多くのものに囲まれて暮らしていますが、人が生きていくにはそれほどたくさんのものは必要ありません。それがわかると将来への不安は徐々に薄らぎます。

どんなに追い詰められた状態でも、人生そこで終わりと言うことはありません。人生は必ずその先へ、先へと続いていきます。何とかなっていくのです。

しがらみを捨てるとどんど生きやすくなります。ミニマルに身軽に過ごすには以下の本も参考になります。

「私」について深く考える時間を持つ

老後は、会社員だった時と違い時間はたっぷりあります。安らかな最期を迎えるためにも、自分について深く考える時間を持つことが大事。
エンディングノートを活用し、自分の最後に臨むことや残された遺族が困らない情報をまとめておくことが大切です。

例えば、病気になったとき延命治療を望むのか、遺族にどんな葬式でともらってもらいたいのかなど、残された人のことも考えて、自分なりに調べたり考えたりしてみるべきです。

まず、エンディングノートを書いてみましょう。最初は、何も書き出せないことに戸惑ってしまうかもしれません。しかし、それが、きっかけとなり、自分の老後の生き方・死について考えるきっかけになります。死ぬ前にやっておかなければならないことが山ほどあることがわかります。

そして、それを解決するまで死ねない!と生きる希望にもなります。

おすすめエンディングノート

書いたことを家族に話す

エンディングノートは書いて自己満足してはいけません。
折をみつけて、エンディングノートに書いたことを配偶者や子供たちに話しておくことが大事です。

少なくとも子どもたちは、親に対して、病気に際しどんな治療を望むのか、どんな葬式を望むのかなど、自分から切り出して話をするのはしにくいものです。

遺族のためにも、自分の死に対する備えをし、「自分の思い・考え」を伝える。そうすれば、子供もあなたの意見を尊重し、今後の対応を考えてくれます。

葬式は小さくていいとか、どんな人を葬式に呼んでほしいとか、遺産はどうしたいかなど、話しておくと、心配事は減っておきます。話す前には、ご自身でも葬式について理解するために、葬儀の規模と費用を簡単でもいいので調べておきましょう。

そうすると、話は早く進みます。
【全国対応】小さなお葬式 費用を調べる

最後に

今回は、著書『お金をかけない「老後の楽しみ方」』の要点を紹介しました。
まずは、「自分の終い方」を考えるところから始めましょう。