幸せは成功に先行する

世界で最も「成功」と「幸せ」について考えてきた大学、ハーバード。
ハーバードといえば、成功の象徴。一方で、大きな成功を手に入れたにもかかわらず幸せにはなれなかった人が大勢いる。いわゆる“成功の罠”にはまってしまったのだ。

本書は、「成功の罠」に陥らず「本当の成功」ひいては「本物の幸せ」を手に入れるには、どうすればいいか」、ワークスタイルデザイナーである著者が、幸福についての科学的な研究やハーバード関係者の発言をまとめた本です。幸せに関する理論だけでなく、行動に落とし込むところまで導いてくれる一冊です。サイエンス・オブ・ハピネスの知見を踏まえて、実践的なメソッドが提案されています。

著者は、【キャリアを重ねることは、本物の幸せへと続く道を歩むことに他ならない】と断言します。仕事をとおして、「幸せになる技術」について、キャリアを核とする以下の5つの切り口から紹介しています。

1.幸せを導く「成功の技術」
2.幸せを殖やす「お金の技術」
3.ソウルワークと出会う「キャリアの技術」
4.幸せな人生を築く「目標の技術」
5.幸せを創る「行動習慣の技術」

読みやすく、すぐに実践できるアクションまで落とし込み解説されています。「幸せ」になりたい人は、是非、本書を手に持ってみよう。

そもそも幸せとは

ベン・シャハ―の著書「Happier]によると、幸せは、1.未来の利益/不利益、2.現在の利益/不利益を軸に、「ラットレース型」「享楽型」「ニヒリズム型」「ハピネス型」の4つに分けられる。
現在の利益をもたらす活動は、私たちに喜びをもたらす一方、「未来の利益」をもたらす目標には意味があり、達成感や充実感をもたらす。現在と未来の利益、「日々の喜び」と「人生の意味」を同時に感じることが「本物の幸せ」です。

幸せを増やす「お金との付き合い方」とは

我々が幸せのために掲げる目標は、ともすると「年収1000万円を目指す」とか「マネージャーに昇格する」というような経済的成功や社会的成功にかかわるものになりがちです。
このような成功が目標になると「ラットレース型」の幸せモデルに陥り、「本物の幸せ」から遠ざかってしまいます。

経済・物質主義を優先すると、「人生には、もっと意味と喜びに満ちたものがあること」を見落とすため、幸せになりにくくなってしまいます。

経済的な幸せを実現するには以下のような3つの習慣を心がけることが大切です。
・友達やパートナーとの休暇や外出といった経験を買う
・自分のモノを買うためだけでなく、他人のためにお金を使う
・お金による日常の心配を減らすような、初期設定を行う

また、他人と自分の幸せを比較して、周りの価値観に従って、競争して勝とうとします。たとえば、学生が明確な動機も持たず大企業に就職したがるのも、外的基準による目標の典型的な例です。

幸せになるための「目標」とは

そもそも、なぜ「目標」を持つことが大切なのでしょうか?
理由は、脳は目標が明確になると、これを達成するためにフル稼働し始めるから。目標を持つと、それに関する情報が目に飛び込んでくるのもその機能の一つです。これは、脳科学によっても解明されている脳の動きです。

優れた目標は4つの条件を満たすといわれます。
1.具体的で、2.実現可能で、3.期限があり、4.達成水準を評価または測定できる。

その上で、以下のような目標を持ちましょう。
・自分で選んだ目標であること
・回避目標よりも接近目標であること
・新しい活動に挑む目標であること

報酬をもらえなくてもやりたいことは何か?

目標は達成できなくても、単に努力しているだけでより幸せになることができます。
そもそも努力には2種類あります。「勤勉」と「徒労」の2種類です。
「勤勉」は心から追求したいと願う「意味ある目標」を目指し、努力しているだけでより幸せになれるものです。一方、徒労は、外的基準や社会的比較に基づく目標を目指し、努力すればするほど疲弊します。

幸せのためには行動が必要

幸せは理論を理解したうえで、実際に活動を起こすことが大切です。

科学的な根拠のある「幸せ活動」として、著者は、以下を紹介しています。

リュボミアスキーによる「12の行動習慣」
1.恩恵に感謝し、感謝を伝える
2.楽観性を養う
3.考えすぎや社会的比較を避ける
4.親切な行いを実践する
5.人間関係をはぐくむ
6.ストレスやトラウマへの対処法を身につける
7.赦すことを学ぶ
8.夢中になれる活動を増やす
9.人生の喜びをじっくりと味わう
10.目標達成に打ち込む
11.精神的または宗教的な活動にかかわる
12.健康に注意を払う

11のハピネスプラクティス(から5つを紹介)
・感謝の日記
・無造作の親切活動・行動
・アクティブリスニング
・3つの好いこと
・マインドフルネス呼吸法
・最高の自己

例えば、「感謝」はすぐにでも実践できることの一つです。
感謝をする人は、そうでない人より、ポジティブな人生を味わえます。
10-15分の時間をとって、1週間でありがたいと思ったことを3~5つ書き出し
それについてじっくり考えてみると、幸せ度が増します。

本書では、これらそれぞれについて、幸せになるための具体的な行動が記載されていて参考になります。

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