【書評/要約】損する結婚 儲かる離婚(藤沢数希 著)(★5) 離婚で「金は」どう動くのか。身もフタもない結婚・離婚のマネーゲームの真相に驚愕...

大人の男女にとって最大のリスクは「結婚相手」
実際の結婚と離婚でどう金が動くのか―――
ゼロサムゲーム=お互い食うか食われるか、身もフタもない男女のマネーゲームがそこにはある!

結婚・離婚についてあまりに無知だった私にとっては衝撃的な一冊。

離婚するカップルが着実に増えている昨今。「恋だ・愛だ」といって甘い結婚のみを夢見て結婚してはいけません。「離婚」という万一=人生のリスクを考慮して適切な結婚相手の選び方を選ばないと、生涯にわたって後悔することになる。

1冊読み終えると、結婚の際には、ベンチャー・キャピタルが投資を決定するときのように、結婚相手との関係のデューデリジェンス(収益性やリスクなどを総合的かつ詳細な調査)、及び、適切なタイミングでの結婚届提出が極めて大事であることが腹落ちしてわかります。

本書では、適切な結婚相手の選び方が、具体的なケースをもとに解き明かされています。また、少子化が進む先進国において、結婚・子供の扶養はどうあるべきかの考えも、非常に面白く有益です。

今回は、藤沢数希さんの『損する結婚 儲かる離婚』からの学びを紹介します。

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とある男性を襲った不幸

【書評/要約】損する結婚 儲かる離婚(藤沢数希 著)

本書では、まず、ある男性に襲った不幸が紹介されます。

男性を襲った不幸

金融系会社員と専業主婦の離婚騒動

・専業主婦の妻が不倫
・長い離婚裁判の上、最終的に夫が離婚を勝ち取るも、かかった時間は2年間
・裁判判定が出るまで、どこに住んでいるかも知らない妻に払った費用は月37万円✕2年間
・離婚裁判の最中、和解。解決金は3,000万円
合計支払額3,888万円+弁護士費用
 これに弁護士代を含め、離婚騒動開始時にほぼ全財産に相当する額を失う

もちろん、夫の収入次第で金額は変わりますが、相手が特に専業主婦で財産も持たない場合、まともな所得のあるビジネスマン男性が「離婚裁判」に巻き込まれれば、同様の状態に陥るのです。自分の財産の半分程度ではまず離婚できません。

正しく理解されていない離婚訴訟・裁判

有名人の離婚・不倫騒動はマスコミ などで騒がれますが、慰謝料1億円といった報道には大きな間違いがあります。

巷でよく聞く以下のような話は誤りです。正確性に大きく欠く、或いは、全くの嘘と言えるものもあります。

・離婚すると財産の半分を支払う
・相手が浮気をしたら裁判で簡単に離婚できる
・不貞行為をした相手からは莫大な慰謝料が取れる

いわゆる一般家庭における離婚の実態について、そのマネー闘争が赤裸々に語られることはあまりありません。もちろん 専門家である弁護士は、離婚のマネー 闘争について 赤裸々に語ることはありません。

結果、誤った情報だけが、巷を騒がしているのです。

離婚の真実:金はどう動くのか

【書評/要約】損する結婚 儲かる離婚(藤沢数希 著)

離婚で繰り広げられるマネーゲーム。それは、結婚前から始まります。結婚は、或る意味、「金融商品の取引」と同じ。フローとストック、リスクとリターンの世界です。

結婚と離婚で動3つの金

結婚と離婚で動く金は、基本的には、慰謝料、財産分与、婚姻費用(通称「コンピ」)の3つ。子供がいればこれに養育費がかかりますが、養育費は「離婚成立後」のお話です。

慰謝料精神的な苦痛に対する損害賠償金
浮気など離婚の原因を作ったほうが支払うもの
日本ではせいぜい100~200万円
共有財産結婚してから形成された共有財産の分割
婚姻費用
(コンピ)
夫婦間でより稼いでいる方が、そうでない方に毎月一定の金額を支払う義務
民法の規定による、夫婦が同じレベルで生活を維持するための負担

不倫報道では「慰謝料1億円」と言われたりしますが、これは間違い。離婚で支払われるお金の大部分は、じつは所得で決まる婚姻費用と財産分与がほとんどです。つまり、離婚劇において、浮気・暴力などはマネーゲームでははした金です。お金を持っている方が、バカをみる世界なのです。

離婚マネーの真実

親が金持ちの無職のボンボンと結婚しても、結婚前にボンボンが親から受け継いだ財産は離婚の共有財産の対象外。つまり、奥さんはそこから1円も取れません。

また、離婚を争う期間が長くなり、夫婦間の所得に大きな格差があれば、婚姻費用=コンビは非常に大きくなります。

離婚騒動が勃発した後に、妻が家庭裁判所で婚姻費用の審判を申請した場合、夫を裁判所に呼び出され、目の前でコンビを算定され、支払命令書を受け取ることになります。この紙切れは最強で、コンピが滞った途端に、預金や給料など、なんでも差し押さえが可能になります。会社員なら、会社に連絡されて給料を差し押さえられるわけです。逃げられません。

例えば、年収1000万円の会社員、妻:専業主婦、子なし → コンピは 14~16万円/月 程度になります。

ココからわかるのは、離婚原因が、暴力、浮気、何であろうが、男女のマネー闘争には大きな問題ではなく、大事なのは、婚姻期間中に夫妻間のフローの差額(同期間にフローをもとにストック化したものも含む)。フローを持つ側には、地獄が待っているということです。怖すぎる…

結婚とは「所得連動型の債券」の譲渡契約

このような結婚の金銭の授受の権利義務関係に対し、藤沢さんは、【結婚とは「所得連動型の債券」という金融商品だ】と述べています。

結婚債券の価値=離婚成立までの婚姻費用の総額+離婚時の財産分与額+慰謝料(+養育費)

確かに、コンピは「毎月分配型の特殊な債券」です…しかも、その期間は最短2年~最長10年です。そして、満期=離婚成立時を迎えると、共有財産(±慰謝料)がついてきます。

離婚裁判が泥沼になる理由

これを勝ち取るため、或いは、自分の財産を守るため、離婚裁判に至った男女は、相手の非を最大限アピールしてお互いを傷つけあう闘争を繰り広げることになるわけです。お金を持たない奥さんは、とにかく、裁判を長引かせた方が勝ちです。

本書には、基礎年収、及び、それを元に、コンピ及び養育費がいくらぐらいになるかいくつかのパターンの練習問題がついています。既に結婚されている方は、「今、自分の肩に乗っているる「金銭リスク」がいくらか」を知るためにもチェックしておいた方がいいでしょう。

離婚裁判の実態

【書評/要約】損する結婚 儲かる離婚(藤沢数希 著)

男女平等が近代国家の法の精神です。そこにあるのは男女の差ではなく、お金を持っているかどうかの差です。

長いほど妻に都合がいい離婚裁判

離婚裁判にはとにかく時間がかかる。財産・所得を持つ側は、とにかくこの状況に陥らないことが大切です。

実際には日本の離婚の約9割は、裁判所を経ない協議離婚。正直、金を持たない相手なら、法廷闘争をする経済的合理性がありません。そして、事実、9割はそういう離婚です。

しかし、医師や弁護士、大企業のサラリーマン、ある程度の規模の会社経営者など、まとも&比較的高額な所得を得ている場合は、話が違ってきます。

算定表で決まる婚姻費用

夫の方がお金を持つ側なら、まず、別居中の奥さんから、婚姻費用分担請求の調停か審判が家庭裁判所に申し立てられ、家庭裁判所で双方に納得いく仕送り金額を話し合いをすることになります。

調停で妥結するか、それとも離婚裁判をするか?いずれにしても、支払金額は、ほぼ自動的に婚姻費用算定表を使って、金額が導きだされます。

夫側は、精神的に疲弊、少しでも自分のお金を守りたい。だから、夫は、早く決着をつけたいと思うでしょう。

しかし、奥さんには、相手が十分なお金を持っているなら、離婚裁判を長引かせるインセンティブがあります。たとえ、離婚したいと思っても、相手と違う主張=離婚したくない!と訴えます。こうして、婚姻費用を搾り取られている側は、相手が離婚してくれるまで、離婚裁判をひたすら繰り返していくことになります。

裁判所で認められる5つの離婚原因

そもそも日本の法律ではいかなる場合に離婚が認められるのか? それは民法770条1項に書かれています。

1.配偶者に不貞な行為があったとき不倫。肉体関係があるか。
法的にはプラトニックは不貞行為ではない。
1夜限りより、継続的だと罪が大きい
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき家庭を全く顧みない
家を出ていき、育児放棄、養育放棄など
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき特に強力な離婚理由になるのは暴力

証明が難しいものも多く、とにかく、なんだかんだと理由をつけて、裁判官に相手の非を認めさせるのが離婚裁判です。

ただ、現在は、有責主義から破綻主義へ、つまり、実質的に破綻している夫婦であるならば、片方がどうしても離婚したいと言っているなら、離婚を認めてやろうじゃないか、という方向に進んでいるそうです。といっても離婚裁判は数年かかります。

有名人の離婚

【書評/要約】損する結婚 儲かる離婚(藤沢数希 著)

本書では、離婚という名のマネー闘争をより多くの人に理解してもらいやすくするために、ワイドショーを賑わわせた離婚が複数解説されています。

離婚は個々人のことであり、特定有名人を挙げるのは藤沢さんお本意ではないと述べられていますが、確かに、理解が進みます。以下では、なるほど…と思ったケースをいくつかピックアップします。

人気商売のタレントとブレーク前のタレントの離婚

浮気報道で人気タレントが芸能活動自粛となった場合は、所得はほぼゼロ→婚姻費用もゼロに。
幸か不幸か、婚姻費用の源泉を断ち切ることは、離婚係争を終結させる戦略になる
ビジネスの世界で、敵対的買収をしかけられたときに、経営者が自社の重要な資産や収益性の高い事業を第三者に譲渡・分社化することで、企業価値を大きく下げて、買収者の買収意欲を大きく削ぐことを目的とする戦略にも通ずる。

絶頂期のスポーツ選手の結婚

モテの絶頂期の結婚。既に一財産築いた後、結婚すれば、財産分与対象となる資産は減る。
逆に、モテ絶頂期での略奪愛を成功させた相手は、マヌケということになる(その後、離婚しても、分与財産は小さくなる)

最も怖い起業家の離婚

創業前に結婚し、苦楽を共にしたカップル。その後、事業が成功し、上場!そして、離婚。このパターンが最も怖い。

誰も見向きもしないベンチャーに投資して、当たりくじを引いたパターン。離婚に至れば、持ち株の半分を相手に持っていかれる。
なお、誰もが知る米国企業家が、事実婚に近い状態のお相手と、株式公開直後に結婚したのはなぜか。そこに、リーガル・チームの優秀さが垣間見える。

結婚相手にはデューデリが大事

ここまで読んでくると、主に所得が高い男性の結婚は、大きなリスクを抱えているということがよくわかったと思います。

だからこそ、ベンチャーキャピタルのように結婚前に緻密なデューデリし、タイミングを考慮して結婚する必要があるのです。
藤沢さんは、結婚は金融商品の中でも、ゼロサムゲーム度合いが、デリバティブ商品に相似していると言います。

オプションや先物などのデリバティブ商品と結婚・離婚の相違

・一つひとつの取引は完全にゼロサムゲーム
・満期に、最初に定められた条件にしたがって、契約をした二者のどちらかがもう片方に金銭を支払う。
 つまり、自分の損失(利益)が相手の利益(損失)になる

では、いかに相手を選ぶのか。

長くなるので、今回はここまで。次回?後半を紹介したいと思います。