【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(和田秀樹 著)(★4) 「明るい」は最高の人生戦略

人生人それぞれ、山あり谷ありで、成功もあれば失敗もありますが、そうだとしても、総じて「人生楽しく幸せそうなタイプ」と「人生不幸で辛そうなタイプ」がいます。

ここに大きく関わっているのが「明るさ」です。

気持ちが明るくなったり、暗くなったりするのは、 すべてあなたの「主観」。考え方や見方ひとつで、物ごとの受け止め方は変えられます。

和田秀樹さんの『なぜか人生がうまく「明るい人」の科学』は、その具体的な方法を、精神医学や心理学といった「科学」の観点から、わかりやすく学べる本です。

今回は、本書からの学びを紹介します。

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明るい人はなぜ人生がうまくいくのか?

【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(和田秀樹 著)

笑顔はなぜ大事か:笑顔の5大効果

笑顔の5大効果

①気持ちに余裕が生まれる
②相手に心を開いているサインになる
③生き生きした印象を与えられる
④免疫力が上がる
⑤精神的に安定する

笑顔の人と一緒にいると、自然に笑顔が増えます。これは脳内で働く神経伝達物質のひとつ「エンドルフィン」が分泌されて「幸福感」が感じられるからです。エンドルフィンは、「体内で分泌される脳内麻薬」。モルヒネの数倍の鎮痛効果があると考えられるほどです。

健康面でも笑顔は大事

上記の通り、笑顔には健康面でも大きな効果があります。

イキイキした表情は表情筋も鍛えられアンチエイジングにもなります。また、笑うことでリンパ球の一種であるNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化され、 免疫力が高まり病気の予防にもなります。

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌で、安らぎや安心感も得られ、ストレスが軽減します。声を上げて笑うと、肺や心臓が刺激されて脈拍や血圧が安定して、リラックスしたり、自律神経も整い、また、全身の筋肉が動くことで代謝もUPします。

面白くなくても「作り笑顔」でも同じ効果が得られるので、とにかく笑いましょう。不機嫌には何のメリットもないどころか「罪」です。

人に嫌われないより、「好印象を与える」ことが大事

多くの人は、人に嫌われないことを意識して行動しています。しかし、「好印象を与える」方が大事です。

日本人には、古来から、笑顔の人や愛想がいい人を「ヘラヘラしている」と否定的に見る傾向があります。しかし、トップセールスマンといわれる人は、トークだけでなく、表情がいい人が大半です。仏頂面の肩書がある人が「威厳がある人」と見られたのは、もはや過去の話です。好印象を持たれていれば、少しくらいミスをしても、周りの人も寛容になってくれます。

ただし、好印象ために、無理に優しさをアピールしても逆効果。キーワードは「傾聴・受容・共感」。相手に合わせるのではなく、相手のことを真剣にわかろうとする姿勢が大事です。

傾聴相手の話を真剣に聞く
話し方や表情、姿勢、仕草にも注意を払い、相手を理解しようと努める
受容相手が話す内容を受け入れる
共感話の内容に心から同意する

どう生きると幸せ、かつ、成功できるか

「人生がうまくいく明るい人」とは?

・笑顔で人に接して「いい環境」をつくれる人
・どんなことでも試してみる人
・打数を増やしてヒットの可能性を高めている人
・「今よりよくなりたい」と思っている人
・「実験」をやり続けている人

人生を楽しく生きて、幸福を感じるための一番のカギは「いろいろなことを試してみる」 という前向きな姿勢です。

ビジネスの世界の成功者に限らず、人生が最終的にうまくいく人は、いろいろなことを「めげずに試し続けた人」です。人生、山あり谷あり。勝ちもあれば、負けもあります。しかし、結局は勝つことでしか前には進めません。賢い人は「失敗」を避ける傾向があります。実際に試してみる前に「勝手な正解」を作り上げ、それが正しいと思い込んで何もやらないでは、失敗はないかもしれませんが、楽しく成功した人生は遠のきます。

「向上心」より「いろいろ試す」が大事

ビジネスの世界では「向上心」が大事にされます。しかし、「いろいろ試す=試行錯誤」する方が、人生は豊かになります。

向上心は、「今より出世したい」など、定石レールに従い、直線的&短期間で達成を目指すことを基本とします。しかし、人生で大事なのは、ジグザグの「試行錯誤」を繰り返した「ステップアップ」です。

「いろいろ試す」に大事なのは、打数。打数が増えればヒットの可能性は高くなります。打率よりも打数が大事です。人は世の中の成功を打数では見ていませんヒットの数で判断しています。

分かりやすいのが野球のイチロー選手と大谷選手。イチローさんは高打率で選手寿命も長かった超一流選手ですが、全米人気は大谷選手の方が上です。それは、二刀流なだけでなく「ホームラン」を狙って大胆にバットを振るからです。

現状維持ではダメ、今よりもっとよく

いろいろなことを試すし、ヒットの数が増えれば、毎日が楽しくなる好循環が生まれます。

しかし、日本人は「変化を怖がって、無難を探す」という思考の癖を持っています。現状維持で満足している限り成長はありません。むしろ、現状維持では、周囲の人はその間に成長するので、自分は後退します。

「今よりよくなりたい」 という気持ちを持ち続けることが大事です。社会的に成功した人は、この気持ちを持ち続けて行動したからです。トヨタ式「カイゼン」スタイルで、小さなことでもいいので、現状に満足せず、前に進みましょう。

「不安」にならない仕組みをつくる

【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(和田秀樹 著):「不安」にならない仕組みをつくる

日本人は「変化を嫌う」思考以外に、「予想不安」で心配になる思考の癖も持っています。 予期不安とは、自分で勝手に先々を不安視して、不安や恐怖に悩まされる感情のことです。

予期不安の一番の原因は「情報不足」

「予期不安」をはじめ、必要以上に不安になる一番の原因は、簡単に言えば「情報不足」です。知らない、分からないから心配になります。必要以上に予期不安を抱かないように、不安にならないコツを知っておくことが出維持です。

予期不安を軽減す3つの方法

①何ごとも「案ずるより産むが易し」と考える
②解決策を用意しておく
③不安が的中する「確率」を計算する

まず、最初に、不安の9割は起こりません。多くの場合、「案ずるより産むが易し」です。

また、不安になっても、最悪を見積もれば、「漠然とした不安」はなくなります。また、あり得るパターンを「いい」から「悪い」まで段階的に見積もることができれば、それは「不安」→「具体的な課題」となり対処策も見えてきます。また、不安が起こる確率を意識し、「無視できる確率」の事象は割り切って無視すれば、気持ちはかなり楽になります。

「ストレス」との上手な向き方

同じ問題に遭遇しても、「物ごとの受け止め方」でストレスは大きく変わります。そうは言っても、元来マイナス思考の人は、簡単にプラス思考にはなりません。しかし、あきらめる必要はありません。ストレスを軽減するコツはあります。

ストレスを減らすコツ

①物ごとの「受け止め方」を変える
②人の嫌な発言は「聞き流す」
③同じような環境の人に「愚痴」をこぼす
④合わない人に無理して合わせない
⑤思い込みが強い相手には「適当」に合わせる
⑥最終的には「逃げる」という選択肢も

ネガティブ・マイナス思考の人は、大体「最悪の結果」しか想定していません。。想定できる結果を「最悪の結果」、「中くらいの結果」、「いい結果」など段階別に分けてイメージしましょう。これで、不安を具体的な問題に変えられます。アクションが見えれば「漠然とした不安」から解放されます。

うまくいっている人の考え方 21のコツ

【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(和田秀樹 著):うまくいっている人の考え方 21のコツ

ネガティブな人は、マイナス思考な人は、「変えられないものは諦めて、変えられるものを変えていく」という考えを持つだけで、非常に生きるのが楽になります。

効果的なのは、「考え方」「表情」「視点」「口癖」「習慣」を”少し”変えることです。

考え方・人生は「実験」の連続だと考える
・「今よりよくなりたい」と思う
・一度の失敗でめげない
・プロセスではなく「結果」を重視する
・自分の生きたいように生きる
表情・できるだけ「笑顔」を心がける 
・日ごろから「愛想」をよくする
・「不機嫌」に思われないようにする
視点・人に「いい印象」を与えることを意識する 
・自分から「好意」を示す 
・意識して「お人好し」になる
・人から「どう見られているか」を知っておく 
・見た目との「ギャップ」を利用する
口癖・「どうせ…」を「とりあえず…」に変える
・「まぁ、いいか」はメンタルに優しい言葉
・「それもそうだね」は便利なフレーズ
習慣・「勝ち負け思考」から抜け出す
・物ごとを悲観的に考えない
・不安を先に「シミュレーション」する
・ネットの嫌な「書き込み」は読まない
・仕事に詰まったら他の仕事をやる

少しずつ変えることを繰り返していけばいい。ポイントは、「何事も楽しんでやってみる」「今より良くなりたい」という気持ちを持って取り組むことです。

日本人は変化を嫌いますが、変わらないでOKな人は「今が順風満帆な人だけ」です。今、お金・人間関係に恵まれていないのに、現状維持ではそれが一生ずっと続くだけ。しかも、現状維持では、今よりもっと悪くなっていきます。この当たり前の事実に気が付きましょう。

ポジティブな感情を引き出す6つの方法

【書評/要約】なぜか人生がうまくいく「明るい人」の科学(和田秀樹 著):ポジティブな感情を引き出す6つの方法

ポジティブな感情を持つことが苦手な方はいます。最後の章では、私たちが明るい気持ちで毎日を過ごすための「ポジティブな感情」を引き出すコツが紹介されています。

「ポジティブな感情」を引き出す7つのポイント

❶どんなものでも「いい面」を探してみる
❷食べたいものを食べる
❸意識して「感情コンディション」を整える(特に感情を乱すものを「排除」する
❹「今日がダメでも、明日もダメとは限らない」と考える
❺ネガティブな感情は「仕方がない」と受け入れる
❻「パーフェクト」な自分を求めない

「二分割思考」で考えない

繰り返しになりますが、物事は考え方次第です。物ごとには、どんなものにも「いい面」と「悪い面」がありますが、気持ちが暗くなりやすい人は、「二分割思考」で 物ごとや他人の悪い面ばかりに目が向きがちです。まずは、この部分を直すことが大事です。

二分割思考とは、白と黒と言ったように、物事を2分割で考える思考を指しますが、この考え方の人は「悪い方向」で極端になりやすく、不満・不安が増長します。これでは、世の中はほとんどが「嫌なこと」だらけになってしまいます。「完璧主義」も二分割思考で、自分を生きづらくします。その他にも以下のような思考は要注意です。

べき思考~すべき、~ねばならない
レッテル貼り勝ち組、負け組などのレッテルを貼って人を判断
これっきり思考これしかないと思い込み、別の可能性を考えない
決めつけあの人は敵に違いない、できるはずがない など

このような人は、良い側面を見て、面白がってみる―。日常の中でそれを繰り返していけば、ほんの少しでも機嫌がよくなっている自分に気づけます。

健康を大切にする

意外と忘れがちですが、ポジティブな感情は「健康」あってこそ。「体調不良」はもちろん、「疲労」「寝不足」でも、気持ちは暗くなり、思考もネガティブになります。

美味しいモノを食べて寝る!これ、とても、良好なメンタルを保つために大事です。

ネガティブ感情と上手に付き合う

不安、怒り、焦り、悲しみ、罪悪感、羞恥心、孤独、悲観…. ネガティブな感情は山ほどありあります。このうち、「不安」「怒り」は、 脳が「このままでは過剰なストレスが発生する」という危機感を察知して発信する「警報アラーム」です。

「ネガティブな感情」というのは、それをなくそうと努めると、泥沼にはまります。「ネガティブな感情」をなくそうとするのではなく、「その感情があるなりにどうすればいいかを考える」ことが大事です。

できないことを考え続けても、深みにハマるだけ。時には「もう仕方がない」と割り切って、「次善の策」を考えましょう。

最後に

今回は、和田秀樹さんの『なぜか人生がうまく「明るい人」の科学』からの学びを紹介しました。本書には、上記で記した以外にも、明るく生きるヒントがいろいろ紹介されています。

本書の最終章には、あらゆることが面倒臭くなり、健康面にも不安が出てきて明るさを維持するのが難しくなる「老い」についても解説されています。「加齢」「アンチエイジング」との向き合い方がわかりやすくまとめられています。

この部分については、和田秀樹さんの本「老いの品格」も合わせて読んでみることをおすすめします。結局のところ、老後を楽しく品よく生きるためにも大事なのは、若いうちからの「明るい考え方・生き方」です。余裕なく、不機嫌に生きていいことはまるでありません。明るく生きましょう!