【書評/要約】医師のつくった「頭のよさ」テスト(本田真美 著)(★5) 目と耳どちらどちらからの情報入力&処理が得意かで、天職は異なる!

世間一般での「頭のよさ」と「勉強ができること」。学歴・偏差値などです。
しかし、社会に出てしまうと、成績のよいことが「頭のよさ」につながらないことを思い知ります。

仕事ができると一目置かれる人は、自らの「認知特性」を生かした仕事に就いていると語るのは、医師の本田真美さん。

私たちは、外界からの情報を、視覚・聴覚で受けとり、それをもとに情報整理・記憶・表現を行いますが、人それぞれ得意な方法があります。これを認知特性と呼びますが、自分の特性を知っていると、能力を発揮しやすくなります。

今回紹介の本は、認知特性のタイプを知り、仕事に活かすためのアドバイス本。タイプ判定テストで自分を理化すると同時に、得意な認知特性や能力の増やし方・鍛え方まで学ぶことができます。

今回は、本田真美さんの『医師のつくった「頭のよさ」テスト』からの学びを紹介します。

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「感覚」は大事:外界からの情報の読み取りセンサー

【書評/要約】医師のつくった「頭のよさ」テスト(本田真美 著)

人の能力には得手不得手があります。この能力のベースとなるのが「感覚」です。これは子供の成長過程でベースが出来上がります。

感覚をベースとする能力が学習・仕事にも影響

私たちの能力のベースとして大事な 視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、固有覚、平衡感覚、内臓感覚などの「感覚」。感覚は、外界からの情報の読み取りセンサーです。

感覚センサーの感度が悪い、或いは、敏感だと、外界からの情報を頭の中で理解したり、整理したり、記憶したり、表現したりする「認知能力」にも障害が出ます。

例えば、聴覚の場合、感覚が鈍いと話を聞きとる段階で既に問題が発生しますし、一方で、過敏すぎると、音が気になって集中力に障害が出たりします。

子供の感覚を鍛えるときの注意

感覚が発育するのは子供の時です。故、子どもの能力を伸ばしたければ、子どもに発育に役立つ刺激(経験など)を与えて上げることが大事です。

ただし、弱い感覚を鍛えようと、子どもに無理をさせてはいけません。

大人もストレスに弱いですが、子どもはもっと弱い。脳はストレスに反応するとコルチゾールを分泌しますが、このホルモンは脳細胞を攻撃し、脳の一部の発達を阻害します。

なぜ、同じモノを見ても同じに理解しないのか

【書評/要約】医師のつくった「頭のよさ」テスト(本田真美 著)

さて、では、なぜ、人は同じモノを見ても同じに理解しないのでしょうか。それは、人には「認知特性」に差があるからです。

認知特性は思考や認知の好み

認知特性とは、思考や認知の好みであり得手不得手です。自分の認知特性を知っていると、「自分のやりやすい方法」「成功しやすい方法」が見つけやすく、行動までにかかる時間も短縮できます。

また、嫌い・苦手なことに直面したときも、自分がやりやすいアプローチ方法に変更したり、得意な能力で補ったり、あるいは、日常的な訓練で能力の底上げを図ることもできます。

6つの認知特性:その特徴

では、認知特性にはどのようなものがあるでしょうか。
それは、「目」と「耳」どちらのセンサーがどのように強いかで「6つ」に大別できます。
※本書には、あなたがどのタイプかを判断するテストがついています。

視覚優位者
2次元写真タイプ
・写真のように二次元で思考するタイプ
・3歳以前の記憶を持つ
 ※通常は物心つく(言語的な因果関係がわかる)4~6歳
・写真家や画家、デザイナーにはこのタイプの人が多い
視覚優位者
3次元映像タイプ
・空間軸と時間軸も加えて三次元で考える
・人の顔を覚えたり、表情を読み取るのが得意
・建築家やパイロット、外科医、テレビカメラマンなどにタイプの人が多い
言語優位者
言語映像タイプ
・本や小説を読むとその場面が容易に想像できる
・文章よりは映像イメージとして記憶
・イメージを言語に結びつけることから論理的思考派
・言語機能をつかさどる左脳とイメージをつかさどる右脳
 両方がバランスよく使える
・コピーライターや絵本作家、雑誌の編集者などにこのタイプが多い
言語優位者
言語抽象タイプ
・わかりづらい文章を図式化することが得意
・言葉に文字や数字、図を系統立てて結びつけるのが得意
・一度文字に落としたり、紙に書いてある文字を見たりしたほうが覚えやすい
・作家、教師、金融関係者、心理学者などこのタイプが多い
聴覚優位者
聴覚言語タイプ
・「言葉を聞く」のが得意
・相手が話している音だけで内容を理解できる
・脳内で自分自身と対話をする「サイレントトーク」が得意
・弁護士や教師、落語家、アナウンサー、作詞家に多いタイプ
聴覚優位者
聴覚&音タイプ
・音階や音色など言語的な意味を持たない情報も、
 イメージとして脳内で処理できる
・音楽家はまさにこのタイプ

一瞬で理解するタイプか、順番に把握するタイプか

日常生活を送る上で、人は「同時処理」と「継次処理」の両方を使っています。たとえば、長文を読解して設問に答えるような場合、本文全体の意図をざくっとつかむのが同時処理、物語を場面ごとに順番に把握していくのが継次処理です。

同時処理は視覚優位者向き、継次処理は言語優位者、聴覚優位者に向いています。それは、視覚は一瞬にして多くの空間情報を大雑把に把握するのに対し、聴覚や言語は時間を、連続的に流れた情報として把握するものだからです。

人の能力の種類

これらの認知特性は、以下のような、人の能力・スキルの形成に深く関係しています。

ワーキングメモリー、言語操作能力、数操作、推論力、空間認知力、資格認知力、聴覚認知力、一般常識、処理能力、手先の巧緻性、粗大運動能力、柔軟性、秩序性、創造性、社会性、衝動性、遂行機能、継続力、時間感覚

これらの能力がどのような感覚と結びついているかは、本書で詳細解説されています。

得意な能力は、どのようにしたら伸びるのか

【書評/要約】医師のつくった「頭のよさ」テスト(本田真美 著)

大人になってしまうと、外界センサーの感度、及び、認知特性も固まっているため、これらを伸ばそうと思っても限界があります。しかし、収入を得るためにも、能力を伸ばすことが大事です。では、どうしたらいいでしょうか?

自分の認知特性を知る

まず大事なのは、自分の認知特性が、6つの認知特性どれに当たるかを知り、今の仕事が自分の得意と合致しているか見定めることです。認知特性は他のさまざまな能力と連動しています。

今の仕事が認知特性&能力と合致していない場合は、転職や今の会社の中でより能力が活かせそうな分野に異動要請を出すなので、軌道修正を図ることが大事です。自分を活かす方法がわかっていれば、自分を変える行動はしやすいはずです。

能力が発揮されるのは、心身の健康があってこそ

そもそも論ですが、能力を発揮できるのは、「心身の健康があってこそ」です。心身が不健康だと、意力・発動力の低下しやる気が出ず、また、集中力・注意力ともに低下します。

下図は、「神経心理ピラミッド」と呼ばれるものです。下層の機能に問題があると、上位にある機能もつまづくことを示しています。

図:Hagkum

例えば、注意力・集中力に欠けるときは、それより上位の情報処理能力、記憶力、実行能力、論理的思考も、すべてがドミノ倒しで低下します。その問題は、意欲や自己コントロール、或いは疲労が原因かもしれません。日常生活の中でこのピラミッドの構造を意識し、どこに問題があるのか観察することが大事です。

能力UPのポイントは、2つ以上の得意な能力獲得

【書評/要約】医師のつくった「頭のよさ」テスト(本田真美 著)

ココからは、認知能力がわかった人が、さらに能力UPを図るための方法について見ていきましょう。
いろいろな方法が紹介されいますが、ここでは4つ紹介します。

後天的な能力を伸ばす

認知特性は先天性があるため大人になってから鍛えるのは困難・非効率です。そこで、後天的に伸ばすことができる「能力」を伸ばし、認知能力と合わせて総合的に能力を伸ばしましょう。
 
後天的に伸ばせる能力には次のような能力があります。得意な能力を増やせれば、活躍できる世界は大きく広がります。

記憶力、継続力、秩序性、柔軟性、創造性、社会性、時間感覚など

脳の働きをロスさせない:整理整頓・姿勢など

脳はすぐに余計なことにハックされ、集中力がなくなります。パソコンがマルチタスクで遅くなるのと同じように、人の脳は、ハックされると脳のリソースが奪われ、機能低下します。

・デスクが書類で散らかっている
・書き味の悪いペン・ノートを使っている
・周囲がうるさい
・姿勢が悪い など

いずれも脳のリソースが奪われます。このようなちょっとしたことを改善するのが非常に大事です。しかも、即効性があります。

運動で脳を強化する

運動神経がいい人は、スピード感、リズム感、バランス感覚など運動神経がよく、彼らは、からだの大きさ、力の入れ方、動き方などのボディイメージをしっかりとつかんでいます。ボディイメージは「感覚発達」がベースにあるので、これらの能力が高いと、勉強にも好影響があります。

運動は様々な能力を必要とします。さらに、成果が出れば、自己肯定感も上がり、やる気もUPします。運動が能力UPにつながる理由、得られる効果は、以下の本が詳しいです。

脳内麻薬ドーパミンを上手に使う

神経心理ピラミッドからわかること。それは、神経疲労しているわけでもなく、自己がコントロールできる普通の人なら、「結局はやる気がすべて」ということです。能力がいくら整っていても、「意欲」が起こらなければ、何事もなすことはできません。

やる気を生み出すには「ご褒美」「報酬」が必要です。お金やモノ以外にも、褒められる・認められる といった社会的報酬でもモチベーションが上がります。ただし、これらは「外的動機づけ」です。

もっとも望ましいのは、「内的動機付け」で脳内麻薬ドーパミンが発生するようにすることです。楽しければ、報酬がなくても脳内にドーパミンが放出、自己決定感なども手伝って、行動の質も高くなります。これが「好きを仕事に!」と叫ばれるの理由です。

仕事に「お金・報酬」には代えられない意義が見いだせるか。これは、最終的には成功を引き寄せます。

ドーパミンと、学習意欲と報酬については以下の2冊がさらなる気づきを与えてくれます。

最後に

今回は、本田真美さんの『医師のつくった「頭のよさ」テスト』からの学びを紹介しました。

紹介した学びは、ごく一部です。これ以上に多くの学びが得られます。

そして、何より、まずは、自分を知ることが大事。すべてはそこから。是非、本書を手に取って、自分のタイプを理解してください。