ジェフ・ベゾスは誰もが知る偉大な経営者、Amazon.comの創業者です。
現在は、AmazonのCEOを退き、民間宇宙開発企業「ブルー・オリジン」で、商業的な宇宙旅行のためのロケット開発に挑んでいますが、Amazonでの功績は偉大です。
私の買い物をするならAmazon派で、今日読む本を探しにほぼ毎日Amazonのサイトを訪問。夜リラックスタイムにはプライムビデオを楽しむなど、Amazonサービスを利用しない日はありません。
Amazonという巨大ビジネスを創った、ジェフ・ベゾスの成功・功績はどこにあったのか。
本書は、ベゾスの一流の哲学とAmazonの成功の秘密を8分類✕77項目で教えてくれます。
今回は著書「1分間ジェフ・ベゾス」からの学びの一部を紹介します。
目次
ベゾスの経営の指針
ベゾスの会社経営の根幹を貫くの指針は、「顧客への普遍的なメリットの提供」です。
株式公開をしている企業は「株主メリット」を大事にビジネスを展開する傾向がありますが、ベゾスはあくまでも「顧客を重視」。株価の動きよりも企業価値を高めることを重視し、株価を上げるために短期的な利益を追うことはありませんでした。
顧客とアマゾンにとって本当に価値のある投資を行う。そうすれば企業価値が上がり、株価は自然とついてくる。
この信念を貫き、長期的な競争優位を一歩ずつ、確実に築き、後発の追随を全く許さないブランドを築き上げました。
顧客が求める以下の普遍的な3つのニーズ(土台)を守り抜き、磨きぬきました、
① 顧客は幅広い選択肢を求めている
② 顧客は低価格を求めている
③ 顧客は迅速で信頼できる配送を求めている
3つとも当たり前のことですが、当たり前のことを当たり前に実行するのは簡単ではありません。顧客サービスにマジックはないからです。しかし、ベゾスはそれをやり遂げました。そして、その結果として、他が追随できない圧倒的なブランド・システムを構築しました。
本書では、ベゾスがどう考え、どう行動したか、ベゾスの一流の哲学とAmazonの成功の秘密が、8つの分野に分けて紹介されています。以下、各章の中から、私が特に心にとどめておきたいと思った教訓をピックアップして紹介します。
「気づいたら動く」―決断の条件 より
挑戦しなければきっと大きく後悔する
ベゾスは、「後悔最小化フレーム」の考えをベースに人生・創業を判断
「将来の危機」を「目の前の危機」に変換して考える
人間は目の前の危機には対処するが、それが数年先だと、大きな危機であっても対処を先延ばしする。 だから目の前の危機としてとらえ直すことが、大きな強みとなる。
だから、急いで行動を起こす。しかし、慌てない。Amazon創業時も、慌ててスタートして転倒て後続の踏み台にされないために、綿密に準備してスタートを切った。
大きなことが非効率に行われている時、そこにはチャンスがある
かつての巨大リアル書店はまさに、非効率そのものだった。
現実に遭遇してみて役に立った計画など何ひとつない
しかし、それでも、計画なしにスタートはできない。計画には問題点を整理し、気持ちを高揚させるという利点がある。計画は綿密に立て、変化に気づいたら計画を平気で破棄するという細心と大胆の両方が成功には不可欠。
オンラインの場合、スペルがわからなければ目的の場所に行けない
これはとても大事な点なのだが、世の中ではあまり気にされていない。
「まず成長する」―マーケット戦略 より
これでもかというほどの顧客体験に焦点を合わせる
ベゾスの基本戦略は、コストがかかろうが収益が犠牲になろうが早く市場を支配し、殺到してくる他社が崩せないほどの 牙城 を築くというもの。その他大勢になってしまっては、ビジネスの面白さは味わえない。
では、どうすれば「3番まで」に入れるのか。答えは、「これでもかというほどの顧客体験に焦点を合わせる」ことだ。
圧倒的な価値を生み出さねば、消費者にとってはこれまでの方法が便利
だから、圧倒的な価値を提供することが大事。ただし、業界2位の10 倍になるには、10%だけすぐれていればいい。便利なら口コミで広がる。多大な宣伝もいらない。
ただ、口コミはマイナスにも働く。マイナス情報が広がり始めると、倍速で成長した企業ほど倍速で凋落する。
どんなことであれ、その根幹にある理由を突き止める
お客さんのクレームを「クレーム処理」では終わらせない。マイナス情報をプラスの改善につなげることが大事。「急成長するには全部の改善はムリ」と考えてはいけない。急成長したいからこそ1つひとつを追究し、根本的に改め、二度と同じ事故が起きないようにすることが大事。
どうやったらうまくやれるかという答えは顧客が教えてくれる。すべての判断基準は顧客である。
お金と時間を節約できるならみんな気に入ってくれる
頭の良さを誇るより、人に優しくあれ
才能だけでは不十分。長い間には、心や生き方が問われる。優しさを忘れて才能に走るようでは、すこやかな成長はできない。
「サービスに集中する」―ブランドづくり より
よいサービスとは、顧客との約束を守ること
最初はみんな驚いたのに、やがてそれが当たり前になり、誰もが使うようになる。しかし、それでも約束を守り続け、すごさを意識させないほどにサービスを高めることが大事。
一方、小さなミスでも、対応が悪ければ顧客の信頼は断ち切られる。反対に、かなりのミスでも対応が素晴らしければ顧客は信頼を回復した上、リピーターになってくれる。そのどちらになるかの「鍵」を握るのが、コールセンターである。
Amazonのクレーム対応は本当に素晴らしいと思う。以下、体験談です。
注意を払う相手は顧客であって、競争相手ではない
最善のライバル対策は、顧客サービス拡充ということ。ライバルの動向を参考にはするが、それに右往左往しない。それよりも顧客がワクワクすること、得することを一心に追い求めたほうがいい。それが結果的にライバル対策にもなる。
「長い目で見直す」―発想の技術 より
事業はすべて長期計画
なぜなら、長期の視点で取り組んだほうが事業を有利に展開できるから。
小さな問題を根本から取り除くことに専念する
間違いが結果的に一番高くつく。ほんの小さな問題点を根本から取り除くことに専心するだけのゆとりがアマゾンにはある。結果、コストを抑えることができる
ビジョンには頑固だが、ディテールには柔軟
どれほどしっかりと将来を見通したところで、予期せぬ問題が起きたり、思いがけない市場が開けたりする。そんな時、過去に立てた計画や予測に縛られて対処が遅れたり、判断を誤ったりするのはバカげている。
ただし、打ち立てた3つのビジョンには忠実に。
① 常に顧客中心に考えること
② 発明を続けること
③ 我慢強くあること
ベゾスは、どんなビジネスをやるにしても常にこの3つは守ると断言する。
「利益を無視する」―競争戦略
アマゾンがよい企業かどうかを決めるのは投資家ではなく、顧客
顧客サービスの向上に努め、より劣ったサービスでもいいと考えるお客様でも、手が出せる価格を追求すれば、顧客が判断してくれる。
そちらの利幅はこちらのチャンス
企業が競争に勝つ戦略は2つ。1つはブランド力を高めて高い価格で販売し、大きな利益を手にするやり方。もう1つはコスト競争力を磨き抜き、安く販売しても十分な利益を確保できるようにする方法である。
Appleのジョブズは前者。ベゾスは2つの方法のいいところをミックスした戦略を取る。ブランド力を高めて、しかも安く売る。
大きな利幅は自社に利益をもたらすが、一方で多くの企業の参入を容易にしてしまう面がある。Appleは、高い利幅を取ったためにサムスン電子などの参入を容易にした。ベゾスはその二の舞を演じないように、最小の利幅で最高の製品を提供することで独り勝ちを努めた。
「驚きを与える」―商品開発 より
他社を真似したビジネスには手を出さない
単なるコピーがオリジナルを超えることはまずない。コピーではなく、オリジナルにはできない何かを考え、それをひねりとしてつけ加える。そうすることで、オリジナルをはるかに超えるサービスを生み出す。それが、アマゾンの成功へとつながっている。
とにかく、考える力を持たなきゃだめだ。今ある姿は、私たち自身が重ねてきた選択の結果だ。
進化と無縁であることがきわめて危険
成功すると、やがて厄介な事態に遭遇する。成功をもたらしてくれた製品やサービス、やり方を時に自己否定しなければならないことだ。成功が大きいほど自己否定には強い痛みが伴う。
しかし、アマゾンの最大の強みは、何かを生み出したら何かが壊れるということを受け入れることができるということだ。
ほかの会社が成功するためにある会社が失敗する必要はない
ベゾスは常に顧客から出発する。「他社がしたから」「流行だから」といった発想はない。ライバルを潰すことで自分が伸びるという考え方もまったくない。
最後に
今回は、著書「1分間ジェフ・ベゾス」からの、覚えておきたい学びを書評としてまとめました。
上記でピックアップした言葉は極一部にすぎません。これ以外に本書にはたくさんの学びがあるので、是非、手に取って読んでみられることをおすすめします。忙しいビジネスマンでも、サクサク読める構成になっているので、読書の負担は少ないはずです。
1分間シリーズ
ベゾス以外にも「1分間シリーズ」では偉人の教えを効率的に学ぶことができます。余裕のある方は、いかもどうぞ!
バフェット | ドラッカー | マイケルポーター | ピケティ |
ジャック・ウェルチ | 松下幸之助 | 本田宗一郎 | アドラー |
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