10月8日夜、9月の米国雇用統計が発表されました。

結果は、非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増と、9か月ぶりの小幅な増加にとどまり、市場予想の50万人増を大きく下回りました。

非農業部門の雇用者数:19.4万人増(予想50万人増)
失業率       :4.8%(予想5.1%)
平均賃金(時給)  :0.6%(予想0.4%)

この結果をどう見たらいいのか?

今、米国では、コロナワクチン接種率が鈍化し、後発だった日本の接種率の方が上回っている状況。この状況を鑑みて、企業の中には、ワクチン接種が未完了の従業員の雇用の継続はしないといった方針を打ち出す企業も出てきています。

この記事では、9月の雇用統計結果と市場の反応を私なりに考察・整理。その上で、私の現在の株式投資に対するスタンスをまとめておきます。

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雇用統計:結果をどう見るか(個人的考え)

冒頭で述べた通り、9月の雇用者数は19.4万人にとどまり、予測の50万人を大幅に下回る結果となりました。但し、ロイター記事を読むと、政府部門の教育関連の減少が目立ったと述べられています。

民間の雇用はさほど弱いわけではない、失業率は低下、さらには平均賃金も上昇なら、さほど悲観する必要はありません。
むしろ、新型コロナの感染状況が小康状態となり、失業保険給付の特例が失効する中、雇用は今後数カ月で持ち直す可能性もあるとの指摘もあります。

失業率と非農業部門の雇用者数

上図は、非農業部門の雇用者数総数(青)と失業率(赤)の推移です。確かに、この結果を見ると、コロナショック前の状況に順調に戻りを見せています。

コロナは、働き方(在宅ワーク、雇われない生き方)を大きく変えました。一定の割合の人は、コロナショック後の株価上昇で働く必要がなくなった、或いは、雇用されない生き方を始めている人もいるだろうことを考えると、人口が増えない限り、コロナ前の水準には戻らないと思います。

このように見ると、雇用については、さほど悲観する必要はないのではないかと、個人的には考えます。ただし、賃金上昇(下図:緑線)の一方で、インフレには警戒が必要(消費者物価指数CPI(下図青線))。急激な場合は注意が必要になります。

雇用統計:市場はどう見たか?

雇用統計日の米国指数は下げました。しかし、大きな下げではありません。

雇用統計の株価の動き:S&P500

S&P500

上図はS&P500の日足チャートです。S&P500は雇用統計の結果を受けて終値ベースで下落。但し、大きな下げではありません。

これを見ると、市場をひどく悲観したという結果ではないと思います。経済成長が第3・四半期の急激な鈍化から、迅速に立ち上がるとの期待感はなくなったものの、大規模な債券購入プログラムを縮小する基準に雇用統計をあげているFRBの政策方針に変化を与えるほどのインパクトはないと見たと考えます。

現在、FRBは、毎月行っている債券購入のテーパリング(量的緩和の縮小)を早ければ2021年11月にも開始する可能性を示唆。政策金利の上昇も2022年6月と見る向きが高まっています(2022年秋から6月に前倒し)。

9~10月の下落相場は、前回のテーパリング前にも見られた状況で、総悲観で株を売り払う時期ではないとの見方は変わりません。長期投資家は辛抱の時、或いは余力があるなら、買い増し時期であるとみています。

過去に何が起こったかは以下の記事でまとめているので、ご存じない方はご確認を。

【参考】水星の逆行期間とヒンデンブルグオーメンの点灯

上図S&P500の日足チャート上に表示されている「青枠」「マーク」は、それぞれ、以下を示しています。
 
青枠  :水星の逆行期間
マーク:ヒンデンブルグオーメン

 
2021年9・10月の株式相場は、結果的に、上記アラート指標がきれいにワークしてしまう悲観相場となりました…
知っていたほうがいい相場警戒アラート指標です。ご存知のない方は以下にてご確認を。

今、心配な長期金利動向

急ピッチで上昇の米国10年利回り

直近、個人的に心配しているのは、米国10年利回りの状況です(上図:日足チャート)。現在、急ピッチで上昇しています。

上図チャートが示すように、2021年3月に米国債10年物利回りがピークをつけていますが、この時と同様の動きが株式市場で起こっています。具体的には、ダウの一部セクターが強く、ナスダックなどハイテク割高銘柄が弱いという動きです。

下図は、米国市場直近1カ月間の騰落率マップです。全体的に株価は下落していますが、投資のセオリー通り、金利上昇で金融セクターやが強い状況にあります。

引き続き、金利動向には注視です。

金利上昇で上昇するドル円

ドル円も米国金利上昇でセオリー通りの動きを見せています。

米国株式市場にとって、金利上昇は痛手。長期投資派の私も資産が目減りしていますが、10月に入って一気に市場が好転した、ビットコインを始めとする仮想通貨は円貨ベースで価格が上昇しました。

或る意味、投資分散が効いているというのでしょうか…ちょっと微妙な気持ちです。

最後に

今回は、雇用統計後の株式市場の動きを確認し、今の私の現在の株式投資に対するスタンスを述べました。

長らくインフレを経験してない日本にいると、金利の重要性認識しにくいところがありますが、投資をするなら「金利の知識」は必須です。

基本的な「金利と株価のセオリー」を理解してくと、日々の値動きにビクついたり、過度なストレスを貯めたりすることから逃れられます。
以下、金利の勉強に役立つ本を、格安で本が読めるKindleUnlimited本から紹介しておきます。何冊か一気読みすると、より理解が深まります。

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