【書評/翻訳】「おいしい」となぜ食べすぎるのか (山本 隆 著)(★4) ダイエットに励むのは人間のみ!なぜ、満腹なのに食べてしまうか知れ!

「おいしいものを食べているときの幸福感」、たまりませんよね。

食べると太る。わかっているのにどうしても、おいしいものに伸びる手は止まらず、後で後悔することに。普通の人は、後悔・自暴自棄で終わりますが、これがひどくなると、食べて吐いてを繰り返す「摂食障害」という痛ましい状況に陥ります。

なぜ、おいしいものを食べると幸せな気分になるのか?
なぜ、おいしいと食べ過ぎてしまうのでしょうか?

そんな問いに答えてくれるのが今回紹介する本。現代人の「食べる」を科学した本で、好き嫌いのメカニズム、甘いものに目がない女性の秘密、噛むことの効果などが解き明かされています。正しく理解すれば、行き過ぎた食欲の歯止めになるかも!?しれません。

今回は、著書『「おいしい」となぜ食べすぎるのか―味と体のふしぎな関係』の要点をまとめることで、正しい食事法へのヒントを探ります。

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ダイエットに励むのは人間のみ!

【書評/翻訳】「おいしい」となぜ食べすぎるのか (山本 隆 著)(★4)

そもそも、食べ過ぎて太ったと騒ぎ、ダイエットに励むのは人間のみです。

事実、ライオンやキリンなどの野生動物は皆スリムです。ダイエットなどを心がけているとも思えません。人間によく似ているといわれるサルでさえ、満腹時に大好物のバナナを与えても、見向きもしないか、自分の隠し場所に持っていき、空腹になった時に食べます。

ではなぜ、人間はお腹がある程度満たされていても、おいしいものが我慢ができないのでしょうか?
「別腹」と称しておなかがいっぱいでも食べてしまうのでしょうか?

なぜ、人間のみがおいしいと食べ過ぎてしまうのか?

先にも記したように、野生の動物は皆スリム。ダイエットをしているわけでなくとも、食べ過ぎるということがありません。

動物は、体の中の適正な満腹信号をキャッチしてそれに従っているだけです。本能に従い、おなかが減れば食べ、おなかがいっぱいになれば食べるのはやめます。

しかし、ヒトの場合、他の動物と比べて大いに発達している全頭連合野の働きが、本能の行動をコントロールしてしまうところに問題があります。この働きにより、「おいしさの誘惑に弱くなっている」のです。

脳の部位と各部位の主な「機能」
脳の部位と各部位の主な「機能」
画像:看護roo!

おいしいと出てくるドーパミン

食欲のメカニズム

食欲を生じさせる脳の部位は視床下部外側野で摂食中枢とも言われます。食欲中枢は、食行動を促す「摂食中枢」と、それを抑制する「満腹中枢」の2つから成り立ち、それぞれで調節が行われています。

食後何時間か経つと生じる「血糖値の低下」は、摂食中枢の細胞を刺激して空腹感を生じさせ、食欲を高めます。一方、実際に食べ物を口にすると、胃が「満腹になった」という機能的刺激が起こり、血糖やインスリンなどが急増して満腹中枢が刺激され、摂食行動が抑えられます。

しかし、大脳が発達した人間の場合では、習慣・嗜好・外界からの刺激などが食欲の経路に割り込むことで、さらに摂食行動が起こってしまいます。つまり、実際に食べ物を口にし、おいしいと実感した後は、そのおいしさをさらに期待して、より多く摂取しようとする気持ちが表れます。そして、お腹がいっぱいになったにも関わらず、もう少し食べたいという気持ちが起こってしまい、結果過食につながってしまうのです。

これらには脳内経路が「報酬系」関わっています。「おいしい」と感じたときも、報酬系の神経伝達物質ドーパミンなどが分泌されるのです。麻薬に手を染めた人が麻薬を断ち切れないのも、この「報酬系」が満たされるからです。

食べ過ぎる原因とその解決方法は

【書評/翻訳】「おいしい」となぜ食べすぎるのか (山本 隆 著)(★4)

おいしいから食べ過ぎる大きな原因は「早食い」です。食事をして満腹物質が満腹中枢に作用して食事にブレーキをかけるには、早くても10分はかかります。

ではどうしたらいいかと言えば、残念ながらこの時間を短縮することはできない=「我慢」するしかありません。

だからこそ、おいしくて食べ過ぎて、体脂肪の気になる普通の人が心掛けるべきことは、早く食べることを我慢して、ゆっくりよく噛んで食べることです。魔法の方法を期待していた人は「なんだ…」と思われたと思いますが、方法がないからこそ、「早食いはやめよう」と言われるのです。

食べ物の種類にもよりますが、ひと口につき平均30回噛めば十分です。1食あたり20分以上かければ、満腹中枢が途中からブレーキをかけ始めますから、整理していな仕組みで食べ過ぎる前に自然と接触停止に向かいます。

噛むという行為によって脳内にヒスタミンという満腹物質が出て、摂食にブレーキをかけます。また、噛むことにより交感神経が作用して、脂肪を効率よく燃やして分解すると共に、脂肪細胞の中に脂肪の原因となるブドウ糖が入らないようにし、脂肪合成の酵素の働きも止めてくれるのです。

最後に

今回は、著書『「おいしい」となぜ食べすぎるのか―味と体のふしぎな関係』の要点をまとめました。

残念ながら、痩せるための近道はありません。ダイエットは算数「消費カロリー>摂取カロリー」にしない限り、痩せることはありません。体のメカニズムには、自分ではコントロールできない部分がたくさんあります。だからこそ、そのメカニズムを知り、逆らわないように合わせていくことが大事です。「よく噛んで時間をかけて食べる」もその一つです。

私も、「夜のスイーツ」がやめられず、わざわざコンビニに出かけてしまうこともあります。食欲をコントロールする術を身に着けるべく、私のダイエット勉強は今後も続きます。

私の食事スタイルを変えた本

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