【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)(★5) 「頑張る」「やればできる」の真実。自分を振るい立たせるために大事なことは何か
世の中に飛び交う「頑張れ!」という言葉。
しかし、世の中には〝そもそも頑張れない人”は存在する。
そういう人たちにこそ、支援が必要だ。

「頑張っている人を応援する」は、裏返せば、「頑張っていない人は応援しない」ということ。個人も社会も頑張らない人には冷たいのが現実です。しかし、実際は〝支援したくないような相手だからこそ支援が必要〟です。

今回紹介する、宮口幸治さんの「どうしても頑張れない人たち」は、爆発的なヒットとなった「ケーキの切れない非行少年たち」の弟2弾。「頑張れない人の実態」はもちろん、「頑張るにまつわる不都合な真実」「いかに自分のやる気を保つのか」「子供・部下に頑張る気持ちを与えるのか」などについても、有益な気づきを与えてくれる良書です。

本記事では、宮口幸治さんの「どうしても頑張れない人たち」から、自分・子供・部下がより「頑張るを味方にするために理解しておきたいこと」にフォーカスして、その学びを紹介します。

[スポンサーリンク]

おすすめ読み放題:ビジネス書 自己啓発  お金・投資マネー本  小説

「頑張ったら支援する」の恐ろしさ

「頑張ったら支援する」の恐ろしさ:【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)

そもそも〝やれない子〟〝頑張れない子〟がいる。それを知ると、世の中を見る目が変わります。

どうしても頑張れない人たち

世の中には、病気でなくとも「頑張りたくても頑張れない人」がいます。しかし、例えば以下のような人たちです。

認知機能 弱者

見る、聞く、想像するといった力が弱いため、頑張っても不適切な方向に向かってしまう。失敗を繰り返す結果、やっても無駄だと感じるようになり、頑張れなくなる。このような人たちの代表が非行少年です。

マズローの5段階欲求の1~4が満たされない人

自己実現の欲求は最終段階です。マズローの5段階欲求では、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求/所属と愛の欲求、承認の欲求の4つの欲求の土台の上にあります。4つの欲求が満たされて、初めて自己実現の欲求が出てくるのです。

つまり、勉強のやる気がない子の中には、養育、家庭環境に問題がある子もいるということです。大人だって同じです。金銭・愛情面で問題を抱えていれば、自己実現どころではありません。

支援したくないような人こそ実は支援の対象

上記のような人たちは、ぱっと見わかりません。結果、世間は、彼らに対し、頑張らない「ダメな人」の烙印を押し、厄介者にします。

そもそも頑張れる人は、他者から言葉をかけてもらわなくても一人でも頑張れる人、つまり支援が要らない人です。

本当に支援が必要な人たちとは、「私たちがあまり支援したくないと感じる人たち」なのです。

「頑張らなくていい」は本当か?

「頑張らなくていい」は本当か?:【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)

「頑張らなくていい」はよく聞くキャッチコピーです。これは本当でしょうか?

頑張らなくてもいいという風潮

「頑張らなくてもいい」という言葉は、「頑張ってきた人たちに対する労いの言葉かけ」です。まだ頑張っていない人への言葉かけではありません

しかし、これを、頑張っていない人が言葉通りに受け取ると、どうなるか。小さな子供が、「勉強を頑張る必要なんてないんだ」と思って勉強しないとどうなるでしょう?おそらく、先の人生はもっとつらいものになります。

生計を立てていくには、生まれつきの大富豪や天才でもない限り、何らかの形で困難に耐えて努力する、つまり頑張らないと、生活はできないからです。

〝無理をさせない〟と〝頑張らせない〟は違う

親の中には、子どもをとにかく頑張らせようとする親がいる一方で、「頑張らなくていい」と子供を指導する親もいます。

子どもに過剰な負担は避けるべきことですが、これは「頑張らせない」とは意味が違います。

頑張らない人に襲ってくる現実

頑張らない人に襲ってくる現実:【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)

受け入れがたい真実ですが、私たちは、お金にならないことを人は「無能」扱いされてしまう社会を生きています。

お金にならないと無能扱いされてしまう

例えば、ゲームで生計を立てていきたいとします。頑張てもそれで食べていけないと、世の中はその人を認めません。本人がどんなに努力しようが、お金に結びつかないと、「遊んでばかりいるダメ人間認定」します。

しかし、eスポーツで優勝したらどうなるか?つまるところ、「お金になれば評価は一転」するのです。

ゲームに限らず、頑張りが評価されるかどうかは、極端な話、「それがお金になるか、ならないか」なのです。この現実は、知っておかなければなりません。

「好きを仕事」を考えあるに当たって大事なこと

「好きを仕事に!」もよく聞くフレーズです。確かに、好きなことなら頑張れます。しかし、ここでも大切なのは、「好きなことで稼げるか」。

たとえ好きな仕事でもお金にならなければ、「頑張れることでは生活できない → 嫌なことをしなければいけない → やる気が出ない→ますます頑張れない」という悪循環のループに陥ります。この世の中は不都合な真実に溢れているのです。

頑張るためには「見通し力」が必要

頑張るには、「目的」が必要です。そして、「●になるためには、▲が必要だから、ここまで頑張ってみよう」といった、動機を実現のためのステップに落とし込む見通し力が必要です。しかし、認知機能が弱い人は、知識がない人は、この落とし込み(想像)ができません。

「こうなりたい」という夢の達成を、堅実・現実的なステップに落とし込めず、夢に近づくことすらできないのです。

やる気を奪う言葉・間違った方法

やる気を奪う言葉・間違った方法:【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)

やる気の出ない、頑張れない理由が、周囲の人々の何気ない言動がきっかけであることはよくあります。故、親・先生・上司など、指導する立場の人は、何に気をつけなければならないのでしょうか。

やる気を奪う大人

「もっと勉強しなさい」と親から言われた、宿題をやる気を削がれた経験のある方は多いでしょう。大人は「余計な言葉がけ」をしがちです。以下は、気持ちを削ぐ言葉の代表です。

・「もっと勉強しなさい」
・一通り話を聞いた後の「でもな……」「それは君にも問題があるんじゃない」
・「だから言った通りじゃないか」

また、以下のようなものも、頑張る力を削ぎます。

・場違いな褒め言葉
・愛情のない励まし

相手をやる気にさせるには

嫌いな親・先生・上司に、「頑張れ」と言われて、やる気になれますか?むしろ、イラっとしませんか?

相手をやる気にさせたかったら、「相手から好かれている」ことが大前提です。単に「尊敬できる人物」と言っただけでなく、日ごろから「愛情を注いでいるか」も重要なポイントです。

好かれるというのは決して、甘やかしたり、機嫌を取ることではありません。笑顔で接し、最後まで話を聞き、相手のやったことをちゃんと覚えている、そんな人と人との基本的な信頼し安心できる良好な関係を日ごろから築いておくことが極めて大切です。

適度に承認する

やる気は達成+承認で生まれます。相手に達成感をもたせ、自信ややる気に繫げようとするのであれば、適切な「承認」が必要です。
これをせずにひたすら相手にチャレンジをさせても、意味がないどころか、成し遂げても誰も評価してくれないと受け止められれば逆効果になることすらあります。

人はどうしたら、自らを奮い立たせ、頑張れるか

人はどうしたら、自らを奮い立たせ、頑張れるか:【書評/要約】どうしても頑張れない人たち(宮口幸治 著)

最後は、自分をどう奮い立たせるか?人はどうしたら、頑張れるのでしょうか。

これがあるから頑張れる

人は、安定した生活のため、給与のため、出世のために努力します。しかし、この理由だけ、仕事を頑張り続けることはできできません。頑張り抜くために大事なのは「生きる意味」「使命感」が必要です。

仕事を頑張り抜くには、
・それが自分の人生にとってどんな意味があるのか
・自分はそれをいったい何のためにやっているのか
・社会にとってどんな意義があるのか
といった「やる意味=生きる意味」が必須です。目的だけでは、短期的には頑張れても、続きません。

上記を見つけることは簡単ではありません。しかし、早期に見つけた人は、キラキラと目を輝かせ前進します。多くの人は、人はこれを模索し続けて生きていくのかもしれません。

対人マナーを磨こう

前節で、子どもや部下の指導に当たって、「相手から好かれる人物であること」が大切だと述べました。この裏返しになりますが、承認されたかったら、対人マナーを高めることは極めて有効です。

まずは、嫌われないこと。笑顔、挨拶、謝罪やお礼など、基本的なマナーを守ることです。そして、さらに、相手に好印象を持たれるように、適切な相手との距離、視線の向き、声の大きさ、交渉力(うまいこと割り方)など、を身につけることです。

承認されやすくなれば、それが励みとなってさらに頑張れます。いいループが回り始めます。

最後に

今回は、宮口幸治さんの「どうしても頑張れない人たち」からの学びを紹介しました。

やる気の原動力は、突き詰めれば、「幸せになりたい」という思いです。幸せになりたいがために、人は日々努力して頑張っています。自分にとって、幸せとは何なのか、合わせて考えると、頑張れる力が増すかもしれません。