【書評/要約】限界の正体(為末 大 著)(★5) 壁が立ちはだかるのではない。自ら「限界という檻」にハマってもがいていることに気づけ!超良書

能力、体力、その他、生きていると自分自身の限界を感じる場面が訪れます。

果たして「限界の正体」とは一体何なのか?
また、どうしたら限界を超え、その先に行けるのか?

トップアスリートとしての経験を持つ為末さんが自分の経験を踏まえて「限界」について書き下したのが一冊。本書には、トップアスリートととして「限界」と何度も対峙した経験を持つ為末さんだからこそ、納得のいく言葉が随所にあります。自分の限界を突破したいと考えるビジネスマンには大変に参考になる良書です。

私にとっては、人生攻略本の一つともいえる本となりました。

今回は、私にとって多くの気づきが得られた本書「限界の正体」の要点を要約して紹介します。

限界は思い込み。「壁」ではなく「檻」のようなもの

為末さん曰く、限界とは、人間の作り出した思い込みであり、「壁」ではなく「檻」のようなものだと解説します。

スポーツの世界では、これが人類の限界だと言われてる記録を一人が更新すると、次々とその記録を上回る成績を出す人が現れることがよくあります。これは、周囲の環境に左右され、多くの人が自分の限界のもっと手前を限界だと思い込んでいるからです。

このことを、為末さんは、以下のように説明します。

手前に立ちはだかる「壁」というよりも、むしろ、「檻」の中に自ら入り、もがいているのだ

確かに、「これが私の限界!」と思ってしまうときは、自ら、「限界という思い込みの罠」に自らまり込んでしまったようなもので、「檻」という表現は非常にしっくりします。

限界を作り出す要素には、いいこともあれば悪いこともある

限界を作り出す要素

では、限界を作り出す要素にはどのようなものがあるでしょうか?

限界を作り出す、様々な要素

・憧れ
・成功体験
・モチベーション
・周囲のアドバイス
・事前情報
・わかったつもり
・地位や名誉
・嫉妬心

一般的に「良い」といわれることも、その捉え方次第で、かえって限界を作り出してしまうことがあるのです。

大きすぎる夢の弊害

例えば、「大きな夢を持ちなさい」とよく言われますが、これも本人の夢の実践の仕方によって問題が生じることがあります。

どういうことか?

高い目標は悪いことではありませんが、高すぎる目標はモチベーションがコントロールしにくいことを理解しなければなりません。一方で、届きそうと思えるようなちょうどいい高さに目標が設定できさえすれば、モチベーションは自然と高まります。

そのため、成功しているアスリートほど、遠くにある大きな目標よりも、目の前にある小さな目標を優先。目の前の問題を解決し、改善を繰返します。つまり、目標に段階を持たせて、目標とモチベーションをコントロールしているのです。

地位やお金をモチベーションにする弊害

目標といった場合、「昇進する」「年収●円になる」といったように、地位やお金をモチベーションにする人は大勢います。

しかし、これにも注意が必要です。

理由は、それが手に入ってしまうと、今度はそれを失いたくないという損失回避の心理が働いて、守りに入ってしまうからです。「現状維持は停滞」と認識し、次の目標を定めることが大事です。

根性は大事なのか?

何かを成し遂げるには「根性」が大事と一般的に言われます。

根性論とは「強い気持ちがあれば、何事も成し遂げられる」という思考法で、気持ちの強さは量や時間によって測られます。

しかし、根性論に固執すると、あまりいい結果とはなりません。特に、現在は、努力より「戦略/戦術」が重要視される時代です。努力さえすれば勝てるという時代ではありません。日本人は積み重ねの傾向が強すぎ、自分を枠にはめがちです。量を積むことより、むしろ、「考える力」を重視すべきです。

限界は「Why」でなく「How」で考えとうまくいく

限界は「Why」でなく「How」で考えとうまくいく

限界を感じるとき、人は「なぜうまくいかないのか」と「why」で考え、できない理由を見つけようとします。しかし、「why」は物事を理性的に考えるプロセスです。理性でつくられたモチベーションはそれほど長続きしません。

例えば、限界を超えるために「努力しよう」と考えることは多いと思いますが、「努力」という言葉にはワクワク感がありません。努力は「他にやりたいことがあるのにできない」という葛藤とセットになっているからです。

人間は理性的になりすぎる傾向があるので、モチベーションを継続させたいのであれば、頭ではなく感情のエネルギーを利用した方が得策です。「ワクワク感」は人を動かします。

ワクワクするには、「why」ではなく「how」で考えましょう「なぜ、この山に登るのか」を考えるより、「いかにして、この山に登るのか」を考えた方がワクワクしますよね。

脳をダマして感情をコントロールせよ

人は感情をもとに行動していると思っていますが、実は、行動が感情を決めています。

楽しくなくても口角を上げて笑顔を作っていると、楽しくなります。

つまり、行動や表情を変えることで、感情をコントロールすることもできるのです。限界を超える自信がない時は、「自信があるフリ」をして脳をダマしましょう

最後に

今回は、為末 大さんの「限界の正体」を要約しました。

「限界」を、とらえ間違いして生きてきたことを気付かされた方は多いのではないでしょうか。もし、もっと早く本書を読んでいたら、もっとすんなり、その当時、私が描いていた「限界」を突破できたのではないかと悔しい思いです。

でも、今、「限界」について新たな認識を持てたことで、私の人生をもっと生きやすくなった!と本書へ感謝しかありません!