なぜ投資家は暴落の予兆をうっすら感じても、結局、暴落・パニックから逃れられないのか
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新型コロナウイルスを発端とする金融市場大暴落、コロナショック
コロナウイルスの発生について事前に知らなかったとしても、リーマンショックからの経過年数、暴落直近の株価の値上がり状況などを鑑み、暴落する前から高値警戒感を持っていた投資家は多かったように思います。

しかし、それでも多くの人は突然やってくる暴落パニックに飲み込まれる。なぜ、人はこれほどまでおろかなのでしょうか…

こんな人間の愚かさを知るために参考になるのが書籍「暴落の着火点―投資家は“パニック”から逃れることができないのか」。2011年、リーマンショックからの傷が深い時期に読んだ本ですが、自分への自戒も込めて、投資家なら人しておくべき「投資家はパニックから逃れられないメカニズム」について再読・解説します。

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異常に気付いても逃げることができないのが人間

9/11

写真:Wikipedia

2001年9月11日、アメリカを襲ったアメリカ史上最悪の自爆テロ攻撃「アメリカ同時多発事故」。
当時、旅客機が突っ込んだビル内にいて危機的な状況から助かった人も、発生時はその異常性に気づきながらも、平均6分間の間、その場から逃げることなくパソコンの電源を落としたり、家族に電話していたという。

これほどまでの異常事態に気付きながらも、人は逃げられない。
これは、「金融マーケットの暴落の時」も同じです。

暴落が迫る過程において、なんとなく異常を感じつつも、人はコントロール可能に思えていた「リスク」がコントロール不可能な「不確実性」にじわじわと変質していく中、
・投資家は将来の価格変動を過小評価から過大評価に変え、
・将来への見通しを「警戒から楽観」へ変えていく
そして、いけいけどんどん相場に熱くなってく。

経済政策不確実性指数とVIX指数 の乖離

本書では、上記のように異常事態に気づきながらも、逃げることができない金融マーケットの暴落の様を、「不確実性プレミアム指数」と「不確実性センチメント指数」と呼ばれる筆者提唱のボラティリティにかかわる指数を用いてつまびらかにしています。

上記チャートとは異なりますが、「経済政策不確実性指数とVIX 指数」に関する興味深いチャートがコレです。
経済の不確実性を表す指標のGrobal Economic Policy Uncertaintyと、投資家センチメントをよく表すVIX指数が2015年以降、異常に乖離していますね。

暴落の3段階

書籍「暴落の着火点」の中で筆者は、暴落を「発生」「膨張」「収束」の3段階に分けた上で、以下のように変質すると述べられています。

暴落の3段階

発生段階

投資家は一様に警戒心を持って市場をみている(暴落に気がついている)。しかし、まだ暴落のマグニチュードを正確にとらえられず、結果的に将来の価格変動を過小評価してしまっている。

膨張段階

価格変動がこれまでの想定の幅を超えてくると、比較的早い段階から投資家の間に心理バイアスがのしかかり始め、不確実性プレミア(オプションプレミアのような保険料に相当するもの)が上昇。将来の損失が確率的にとらえられなくなるため、オプションの価格が成立しなくなる。そして、価格変動は現実する価格変動以上に過剰に見積もられる。

収束段階

暴落の極みまでいくと、投資家の多くは既に損切り、あるいはリスクヘッジを終了していて、価格下落に対する危機意識が弱まり、警戒から安堵へ意識が変わってくる。こうして暴落は終焉を迎える。

なかなか変わらない「人の心理」

上記の投資家変化を見ていると、今回のコロナショックでも、人はまた歴史に学ばず同じ失敗をしていますね(自戒を込めて)。
「人はなかなか変われない」。それが人の本質であるということがよくわかります。

ちなみに以下は、投資家心理の変化を端的に表すVIX指数の高値一覧。

VIX指数の最高値は2018年10年24日:世界金融危機の時で89.532番目の高値が今年2020年3月18日:コロナショックでつけた85.46となっています。

日付VIX指数値イベント
1997/10/2848.64アジア通貨危機
1998/10/849.53ロシアデフォルト
2001/9/2149.35911同時多発テロ
2002/7/2448.46エンロン不正会計事件
2002/8/545.21ワールドコム破綻
2008/9/1842.16リーマン・ブラザーズ破綻
2008/10/24 89.53 世界金融危機
2010/5/2148.2PIIGS国債懸念
2011/9/947.56米国債格下げ
2011/10/446.88ギリシャ国債デフォルト危機
2015/8/24 53.29中国経済失速懸念
2018/2/650.3アメリカ長期金利上昇
2020/3/12 69.26コロナショック

一気に変わる社会変化

一方、世の中は技術革新で大きく変化しています。今回のコロナショックも単なるパニックではなく、「時代の変化点」
真っ先に変化したのが、外出規制に端を発する在宅勤務・テレワークなどの「働き方の変化」。これまで自宅勤務なんてNGという社会風潮がありましたが、ZOOMなどのオンライン会議サービスなども手伝って、「一箇所に集まって会議などする必要などないじゃん」、「オフィスも必要ないじゃん」と、考え方を改めた経営者も多いことでしょう。

こうなったら、もう時代は止まりません。一気に時代は変わってきます。世の中が求めるもの(利益になるもの)が変わり、マネタイズ方法も大きく変わってきます。

最後に

今回は、著書「暴落の着火点―投資家は“パニック”から逃れることができないのか」から、投資家がパニックから逃げられないメカニズムに迫りました。また、時代を経ようが本質は変わらない「人の心理」と、暴落などの一つの出来事で社会が大きく変化する様について考察しました。

コロナショックは単なるショックではなく、「新しい時代の変革点」。これをきっかけに時代がどう動くのか、注視してきたいと思います。