
一昔前に比べて認知が高まった性同一性障害者や同性愛者。
しかし、以前より認知されるようになったとしても、親、知人、社会へのカミングアウトはこれまでの人間関係を大きく既存する危険もあり、本人にとって大きな決断です。
本書の著者砂川さん自身もゲイ。著者自身、告白に葛藤した経験を持つ一人。カミングアウトし親に受け入れてもらった時、涙したと語ります。
本書では、カミングアウトする側、される側の心の葛藤、苦しみ、そして、それを受け入れてもらえた時の心の描写が丁寧に描かれています。同じ問題を抱える人にとって、心が軽くなる一冊なのではないでしょうか。
私はノーマルですが、本書で紹介されている複数のカミングアウトストーリーにほろりとしました。
性的少数者=LGBT とは
ノーマルな人にとって、性的少数者の言葉の定義は難しいものがあるのでおさらいします。
Gay :ゲイ、男性同性愛者)
Bisexual :バイセクシュアル、両性愛者)
Transgender :トランスジェンダー、性別越境者)
LGBT :セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称。上記4つの頭文字
カミングアウトは関係の再構築
著者曰く、「カミングアウトは関係の再構築」。
これまで築いてきた関係が、大きく崩壊するかもしれないことを覚悟しながら、人は「告白」します。
著者は、LGBTを理解してもらうには、以下が必要だと言います。
1) まずは共有する=カミングアウトする
2) 向き合う=打ち明けられた側の戸惑い。相手に戸惑われた本人も人間関係の変化に戸惑う。それに向き合う
3 ) ともに変わる=関係の再構築
LGBTに厳しい日本
海外ではLGBTが当たり前に受け入れられる国がある一方、日本ではカミングアウトが人間関係を崩すことが多く、受け入れ姿勢に乏しいのが現状です。だからこそ、多くの人がカミングアウトを躊躇し、本来の自分を隠して生きています。
しかし、著者の砂川さんは言います。
カミングアウトしたいと思う人にとって温かい社会、誰もが生きやすい社会であることが、まわりまわって、皆が生きやすい社会といえるのではないでしょうか。