2019年6月に大問題となった老後2000万円不足問題。
しかし、お金に関心の高い人たちの間では老後資金として3000万円が必要ともともと知られていたこともあり、政府の反発もある一方、その通りだよねと、資産形成の必要を改めて実感させられることとなりました。
では、受給年金では賄いきることができない3000万円をいかにして貯めるのか?
その方法を、投資と節約という観点から教えてくれるのが本書。平素で読みやすい説明で、具体的に何かを教えてくれる本です。
目次
日本には投資形成を妨げる罠がたくさん
そもそも、日本はとても投資による資産形成を妨げる罠がたくさんあります。
事実、1995年から2015年の20年間で、米国人・英国人の金融資産は3倍前後に増えているのに、日本はその半分にもなりません。その最大の原因は、「お金のプロ」ともいわれる日本の金融機関。彼らが、顧客の資産形成よりも手数料稼ぎに重きを置き、回転売買や高額な手数料で投資家に負担をかけたからです。
月数千円を手元でも資産形成は可能
上記のような日本の問題があったとしても、投資方法を間違えなければ、月数千円を手元に資産形成をすることは可能と著者は説明します。
お金には定理があり、それを守れば資産は確実に増えると提言します。
1. 正しく分散するとお金は安全に増える
2. 手数料と税金は少ないほどお金が減りにくい
3. 複利で運用するとお金の増え方が加速する
しかし、上記3つの定理に忠実な金融商品はほとんどないのが現状です。どうすればいいのでしょうか?
3つの定理に最も忠実なのが「確定拠出年金」(iDeCo)
お金の定理に最も忠実な投資の仕組みとして著者が薦めるのは確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。NISAと異なり運用益以外に拠出にも税控除が受けられる最高の投資法です。国民年金保険料を支払ってさえいれば、会社員だけでなく、主婦や公務員も利用可能な、誰でも利用できる制度です。
但し、これを利用するにも、利用には注意が必要。以下を守らないと資産は大きく目減りします。
・iDoCoに預けていいのは手数料が安いネット証券だけ
・買ってもいいのは信託報酬0.3%以下のインデックスファンドだけ
おすすめの金融機関として、手数料が他金融機関に比べ低く、金融商品のラインナップも優れているとして、SBI証券と楽天証券を薦めています。
NISAがiDoCo(イデコ)より劣る理由は
税制優遇制度としてはiDeCo以上に認知度があり利用者数も多いNISA。しかし、得られる利益を比較すると、iDeCoの方が上です。
そもそも、NISAは、回転売買などの金融機関のあこぎな手口を見るに見かねて金融庁の肝入りで始まりました。それ故、回転売買はおろか、銘柄の買い替えすらできない仕組みとなっています。
結果、相場サイクルに合わせて、一旦利益を確定→その後、
その資金を元手に別名銘柄に再投資とするといった運用ができません。
しかも、儲かったときしかメリットがなく、非課税期間満了時に損がでていると、一般課税口座のような損益通算もできずに損が確定してしまう制度です。
それに対し、iDeCo(イデコ)は、儲からなくても税額控除が受けられる仕組みとなっています。
さあ、今すぐiDeCoを始めよう
iDeCo(イデコ)のメリットを簡潔にまとめると以下のようになります。
iDeCoが今すぐ始めた方がいい制度だと理解できたなら、今すぐ口座を開設すべく行動を起こしましょう。
どの金融機関でiDeCoを始めると、将来の資産形成に有利か、以下のページで解説しています。
具体的には、
・利回り5%を達成する積極的運用ポートフォリオ
・利回り5%で30年でいくら貯まるか
・金融機関別、ポートフォリオ(具体的に投資すべき金融商品とその割合)
なお、結論だけすぐに知りたいという方に要点のみお伝えすると、以下のようになります。下記結論を導き出すに至ったシミュレーション結果は上記個別記事にてご確認ください。
- 信託報酬(運用コスト)が極めて低いeMAXIS Slimシリーズへの投資がベストチョイス
- sMAXISシリーズの取り扱いがあるSBI証券 セレクトプランでiDeCoを行うのが最も資産形成の近道
最後に
本書では、iDeCo(イデコ)の概要以外にも、月数万円の投資元金をどのようにして作るかなどの具体的な方法が紹介されています。やろうと思えばすぐにできる内容が多いので、お金を貯められないと思っている人は、ご参考に。