【書評/要約】発想力(大前研一 著)(★4) 人間がAIに負ける時代に必要となる、「0から1」を生み出す 大前流"知の技法"

今の20代・30代はAIと真っ向勝負が必要な世代。この世代がミドルクラスになる2040年代は、シンギュラリティが訪れる時代。「人間が負ける」時代を生きなければいけません。

また、現在40代以上の方も他人ごとではありません。21 世紀は「答えがない時代」。かつては知識を持つ人材に価値がありましたが、今は知識はググればよいだけ。求められるのは、知識を発想に結び付け、答えのない問題を解く力です。

このような時代の変化に対抗するためのスキル、「0から1」を生み出す力のトレーニング方法をアドバイスするのが、大前健一さんの『発想力』。

一個人の発想に基づくイノベーションが世界を変える時代に、ビジネスマン一人一人が「個人」として戦わなければいけない時代の生き方のヒントが学べます。

今回は、大前研一さんの『発想力』からの学びをポイントを絞って紹介します。

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発想力を高める11の発想法:概要

【書評/要約】発想力(大前研一 著):11の発想法

今後ますます重要になる発想力。
言葉にするのは簡単ですがそれを身につけるにはトレーニングが必要です。逆に言えばトレーニングによって培うことも可能だということです。ただし、闇雲にトレーニングしても成果は上がりません。

大前さんは、「無から有を生み出すイノベーション力」を本気で身につけたい人のために、今の思考から一段高いところへ行くための「11の考え方」をアドバイスします。

「0から1」を生み出す 11 の発想法

❶戦略的自由度/SDF(Strategic Degrees of Freedom)
❷アービトラージ(Arbitrage)
❸ニュー・コンビネーション(New Combination)
❹固定費に対する貢献(Contribution to the fixed cost)
❺デジタル大陸時代の発想(Digital Continent)
❺早送りの発想(Fast-Forward)
❼空いているものを有効利用する発想(Idle Economy)
❽中間地点の発想(Interpolation)
❾RTOCS/ 他人の立場に立つ発想 (Real Time Online Case Study)
❿すべてが意味することは何?(What does this all mean?)
⓫構想(Kousou)

「11の発想法」は、武道の「形」のようなもの。「形」を習得して初めて、自然と動けるようになって、初めて勝負の場に立つことができます。「11の発想法」も、日ごろからの考える「形」として使ってこそ、「発想力」につながっていきます。

これら「11の発想法」は、各項目、様々な企業例(成功・失敗)を引き合いに出しながら、分かりやすく説明されているので、「なるほど」と納得しながら、読み進められます。

発想力を高める11の発想法:ポイント

【書評/要約】発想力(大前研一 著):11の発想法

ここからは、大前流「11の発想法」の要点を、箇条書きで紹介します。

戦略的自由度/SDF

戦略的自由度とは、戦略を立案すべき方向の数のこと
 具体的には
 ・ユーザの目的を満足させる方法をできるだけたくさん抽出し、
 ・その中から競争相手が追随できない戦略的に優位になる方策、かつ持続できる方策を講じること
「会社として何を提供したいのか」ではなく、「ユーザーはいったい何を求めているのか」
 ユーザ側から発想することが重要
 失敗例は、シャープ 「世界の亀山モデル」とその後の会社衰退
 もはや人間が認知できない機能仕様の向上を顧客は求めていない
 競合との機能差競争も、顧客には関係ない。要は使いやすくて、安いか
・目的は時代と共に変化する
 時代が変わると不満・不快も変わる。そこにチャンスがある
 いかに、目的を見つけるか
 ステップは3つ
 ①ユーザの目的を考える
 ② 目的を達成するいくつかの軸(方法)を設定する
③ 軸に沿ってどんなことができるのかを検討

アービトラージ

アービトラージ(アビトラ)とは、異なる2つの市場の価格差を利用して利益を得る方法
 アビトラを可能にする条件は「情報格差」
 ユニクロの成長も、アビトラのおかげ
 世界で最も良いものを最も安く調達して世界で最も高く売れる市場で売る、アビトラ 
アビトラには常に賞味期限がある。だからこそ、以下に新しい情報を入手し続けるかが大事
 競合他社が気づき始めると、一斉にマネが始まり、格差がなくなる(コモディティ化)
 インターネットが普及しても、世界には情報格差が無数にある
・アビトラ発想のポイントは2つ
 ❷情報格差でサヤを抜く
 ❷固定観念にとらわれず、外からものを見る
 固定観念にとらわれていても、❶を活かす発想は生まれない

ニュー・コンビネーション

ニュー・コンビネーションとは、「組み合わせ」で新たな価値を提案すること
 失敗例は、ソニーFeliCa
 Suica・Edyなどと相互連携し決済プラットフォームを作るという発想がなかった
大事なのは、個別の価値提供に留まらず、顧客ニーズをトータルで考える視点
 ❶既存の2つのものを足してみる
 ❷足したことで、価格と価値がいかに変化するか考える
 機能をプラスすることばかりに注力しないこと(顧客が求めていなければ無意味)

固定費に対する貢献

固定費に対する貢献とは、固定費に対する限界利益の貢献の最大化を狙うこと
・やるべきこと
 ❶固定費そのものを削る(売却など)
 ❷固定費がそれらがどれくらい稼働している(遊んでいる)か調査し、稼働率を上げる
 有料客にクローズドに割引・優待価格提供して、稼働を上げるのは一つの方法(顧客セグメンテーション)
 「価格」だけでなく、どれだけ魅力ある「付加価値」を出せるかも合わせて考える

デジタル大陸時代の発想

・Microsoft ビルゲイツが偉大だったのは、Microsoftというプラットフォームを作り上げたこと
 ゲイツ移行は、プラットフォームを制した企業の一人勝ち
・ポイントは、圧倒的なユーザを集めたこと(機能よりも、数)
 ハードウェアが単体で富を生む時代は終了
大事なのはプロダクトからの発想ではなく、近未来の姿から発想すること
 5年後のライフスタイルはどうかから発想
 企業、世代、性別、国籍、宗教などを越えたたコラボを考えること
・「あの頃はよかった」と過去を称賛していては「世の中にないもの」は作り出せない

早送りの発想

早送りの発想とは、先行している分野から兆し(ヒント)をとらえ、自身の事業に活かすこと
 新しい概念は、実はすでに存在していることが大半
 現在、形は曖昧でも「芽」があり、それが大きなうねりとなった時に顕在化する
 兆し見つけて、自身の分野に転用・応用する
・孫正義氏の「時間差攻撃」「タイムマシン経営」
 最先端のIT技術や企業の仕組みを「カンニング」し、時間差を使って日本で利益を得る手法
・「早送りの発想」は、アンテナの感度必須
 常に「流れ」に目を配り、「兆し」を発見し、アイデアに結びつけよ

空いているものを有効利用する発想

・空いているものを有効利用は、❹と似ているが、固定費だけにとどまらない
 空いているリソース(資産)、空いているキャパシティ(容量)、空いている時間、空いている能力……
 現代に溢れる無駄を見つけ、ネットを使ってユーザと結び付けて活用する
・アイドルエコノミー(Idle Economy)はこの典型(Uber、Airbnbなど)

中間地点の発想

・中間地点の発想は、同質のものの中間に何があるかを問うこと
 両極にばかり行っていた視線を、真ん中に戻してみること
・ポイントは次の2つ
 ❶AとBという2つの方法がある場合、その中間地点でポジショニングすることで、差別化を図る
 ❷折衷案ではなく、大きな枠の中にスイートスポットを見つけること

他人の立場に立つ発想

・簡単に言えば、「もしあなたが○○だったら」を考え、発想のを広げる訓練を積むこと
・ポイントは、自分より2つ以上役職が上の立場で考えること(例えば社長など)
 多くのビジネスマンは、自分の職位に発想を縛られている
 発想するレベルによって「解」は異なる
・思考回路が劇的に変わる、実践方法
 ❶他人の立場になって徹底的に考える
 ❷4~5人でブレスト
 データやファクツ(事実)を見て分析し、その人の立場から解決策を発想することが重要

すべてが意味することは何?

・「要するに何なのか?」「それらすべてが意味することは何なのか?」を考える
 目の前にA・Bというファクトがあると、個別の案件に引きずられ、全体が見えなくなりがち
 様々な各論が出てきた時、単に事実を足し合わせて結論を得るのではなく、
 「要するに何なのか?」という問いをぶつけ、高い次元でとらえ直す

構想

・構想は、いわゆる「コンセプト」よりも1つ大きな概念。イメージ
 構想 > コンセプト>ビジョン・戦略・事業計画
・「構想」は「自分の頭の中に描いた絵」。高等説明だけでは理解してもらえない
 いかにイラストやCGで「見える化」できるか
 イメージをいかに人の心に伝播させるか。これがコンセプト、ビジョンとなり、事業へと発展する
 戦略・事業計画は、コンセプトやビジョンを、具体的な計画に落とし込んだもの
・全くの「0から1」を考えなければならなくなった時、人は「構想力」を問われる
・なぜ、構想が必要か
 トップが「とにかく利益を増やせ!」と構想もビジョンも示さなければ、下は動きようがない
 トップの役目は、まず大きな構想を描くこと
発想のゴールの1つが「構想」。これはAIにはまねできない

本書の後半は「実践編」

【書評/要約】発想力(大前研一 著):11の発想法

ここまで、「無から有を生み出すイノベーション力」を本気で身につけたい人のための「11 の発想法」を紹介してきました。

本書の後半は「実践編」。

上述したように、「11の発想法」は、武道の「形」のようなもので、日ごろからの考える「形」として使ってこそ、「発想力」が強化されていきます。ただし、現実のビジネスの場では、 11の発想法で考えるだけでは解決できない課題もたくさんあります。そうした時のために、基礎の形とと組み合わせて使える4つの発想法が紹介されています。

こちらについては、是非、本書を読んで、学んでください。

最後に

今回は、大前研一さんの『発想力』から、人間がAIに負ける時代に必要となる、「0から1」を生み出す方法を、ポイントを絞って紹介しました。

日本のビジネスが行き詰まった理由が、競合との小さな差別化に固執したことにあったことが、改めて実感されます。今やビジネスはプラットフォーム化・クラウド化で、発想力さえあれば、設備・資金がなくても、新たなビジネスが展開できる時代。益々、「0から1」を生み出せないと生き残っていくは明らかです。

一方で、すべてのアイデアや発想が、成功に結びつくことはありません。そのためにも、100打てる力、発想力が必要です。

1回でいい。1勝でいい。

それが達成できるように、日常生活・ビジネスの場で繰り返し「発想力」をトレーニング生きたいですね。