最近、年齢を重ねた賢人たちの本を多読していますが、やっぱり、年齢を重ねた先輩たちのお考えをまとめた本は、いろいろと学ぶところが多いと、再認識しています。

さて、今回紹介の著書「定年バカ」もそんな本の一つ。

今後は、60,65歳で定年を迎えられる人の方が幸せかもしれません。70歳になっても働き続けなければ金銭的に生きていけない確率が高くなってしまう若者からは、「定年バカになれる人なんて、まだまだ、幸せな人たちだ」といった若者の愚痴も聞こえてきそうですが、頑張って働き続けて定年を迎えると、毎日が余暇のはずの老後に対し、「あれ、自分の思い描いていた定年と違うぞ」という焦りに苛まれる人が続出します。

本書は、そんな、仕事を辞めて時間を手に入れた人たちへの指南書です。

よくある老後指南書とは全く異なる立ち位置にある老後の指南書で、読む人によって「大いに賛同」「全く賛同できない」と意見の分かれる著作です。しかし、これこそ、定年後のリアルと思える部分が多く、救われる人も多いはずです

今回は、「定年バカ」の要点・ポイントを紹介します。仕事を若くして辞めたいという思いを募らせる「FIREを望む若い人」にも「仕事を辞めた後の苦悩」があることを教えられるはずです。

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仕事をやめた後、はじめて気づき焦ること

人生100年時代。定年という言葉が死後になる時も来るかもしれませんが、それであっても、仕事の一線を退いて、続く20年、30年という人生を思うと、人は色々と考えてしまうものです。

・生きがいは?
・健康は?
・老後資金は? 等々

そして、多くの人は、定年後の人生を有意義なものにしなくてはと、充実した老後にすべく、定年後の生き方指南本を読んでは「あれをしなくては」「これをしなくては」と焦ります。

しかし、本書の著者 勢古浩爾さんは、「何もしない生活だってアリなのでは」「充実してなくたっていいのでは?」「生きがいなんて大ウソだ」と説くのです。

このように説く真意はどこにあるのでしょうか?

毎日が日曜日で気づく老後生活への焦り

日本人は、元来真面目です。多くの人は、真面目に企業人として働き、ある区切りを持って仕事を終えます。いわゆる、定年ですね。

今、忙しい企業人としてまじめに働いいている人にとって、「定年後の自由は、それまで一生懸命働いたご褒美」と感じるかもしれません。今現在、若くしてFIREを実現したいと感じている人も、同じような考えを持っているいる人も多いのではないでしょうか。

しかし、定年後1か月もすると、「毎日が日曜日」は恋い焦がれたほど楽しいものではないことを悟ることになります。そして、何もすることもなく、人の役にも立っていない生活に虚脱感や喪失感に襲われるようになります。それと同時に、特に家族がいる人は、家でごろごろしてばかり自分がまるでダメ人間の象徴のように思えてきますし、家族もそのような目で見るようになります。

そんな自分に絶えられなくなった人の行動パターンは、「定年指南書」に頼る。そして、「~~しなくては」と焦るようになるのです。

このような状況に陥る人のことを、勢古は「定年バカ」と総称しています。

老後指南書の罠

書店を除けば、老後指南書があふれていて、それらの本は、趣味・ボランティアなど、「~しよう」「~すべき」と提唱します。しかし、勢古さんは、多彩な趣味、地域活動などを通じて充実した定年を送るべきと言う熱が昨今やたらと強くなりすぎていないかと指摘します。

このような風潮があるため、定年後、何もしないことで自分を卑下する人が続出しています。

本来、自由であるはずの老後に、焦りを感じるという矛盾が生じているのです。

定年を取り巻く環境は、今現在大きく変わってきていますが、それでも、老後資金、健康、生きがい(仕事、趣味)、孤独、などの基本的な問題は、時代を通じてほとんど変わりません。

故、今の時代だから、〇〇しなさいというのはちょっと違うのでは?と瀬古さんは言うのです。

定年バカ、あれこれ

定年バカにはいろんなタイプがいます。

各種講座に参加する、講座バカ

定年後の焦りの行動の一つが、「各種講座への参加」です。
講座に参加する初老の男性たちは、退職による虚脱感や喪失感に悩んでいて、老後生活を充実したもののようにしようと、ヒントを求めて必死になっています。

しかし、多くの場合、生きがい講座などを始めとする各種講座には、自分が楽しんで実践できるようなアドバイスもなく、それを実践できない自分に更なる焦りを感じることになります。

もともと持っている趣味なら楽しめますが、焦って趣味を見つけたり、教養を付けようと思っても、楽しめるはずもありません。

生きがいバカ

老後をどうしたら充実させらるか?どうしたら生きがいを感じられるか?

兎に角、時間は死ぬほどあるので、やりたいことや目的を持って定年をしていない限り、とにかく、多くの人が、この問題に悩まされることになります。

しかし、こんな人たちに対して、瀬古さんは手厳しいことを言います。

生きがい探しに苦労って言ってるけど、そもそも、現役時代だってそれほど充実していたと言える人はどれほどいる?

充実というより、タダお金のために働いていた人が圧倒的に多いのではないでしょうか?

何もしない生活には精神的に良いとは言えません。豊かとも言い難い。しかし、生きがいと言う言葉に縛られすぎて、苦しむのは不幸。縛られすぎないことが大事です。

お金に焦る定年バカ

定年を迎えるにあたって最大の不安はお金。定年をどう充実して暮らすよりも、何を生きがいとして生きるかよりも、その前提に、お金の心配がなく、さしあたって心身とも健康と言う状態がなければなりません。

しかし、お金の不安は解消しません。退職金や年金の平均額を知っても悩みは解消されません。

定年後いくら必要かを決めるのは自分だからです。

若いうちから、自分の生活費はいくらなのか知ると同時に、ミニマルな暮らしでも楽しめるようにしておかないと、「老後のお金」に苦しめられ続けます。

老後の社交バカ

毎日家でゴロゴロしていると、社会とのつながりを求めて、地域デビューやボランティアを始める人達がいます。楽しんでやれるならそれでいい。しかし、その場に出向くことに無理をしているなら本末転倒。

そもそも、一人ってそんなに寂しい?一人で楽しめることもあるのではないでしょうか?

私は孤独に強いたタイプ。一人でも全然楽しめる。1人って自分で好きなように時間が使えて、煩わしい人間関係もなく、楽しいと思うのですが、いかがでしょうか

最後に

今回は、勢古浩爾さんの「定年バカ」を紹介しました。
人によっては、この本は、定年後に生きがいを見つけられない負け組=定年バカの遠吠え本のようにも感じるかもしれません。

しかし、勢古さんの意見は、まさに、定年後のリアルに見えます。故、今まさに退職後の生活をおくっている人にとっては、気張って生きなくて済む精神的な安心材となるのではないかとも感じます。

一方で、今、若い人が読めば、20代、30代、40代のうちから対処を始めることで、悩みを軽減できることがあることにも気づけます。お金の問題などはまさにそうです。資産作りは若いうちから始めるに越したことはありません。少なくとも、iDeCo、つみたてNISAは月5,000円でもOKなので今すぐ始めるべきです。