中国株と共に大きく下落したソフトバンクグループ、自社株買い1兆円発表で買ってもいいか?
最高値から大きく下落をし、現在7000円ほどの値をつけています。私は、あまり日本の個別株投資はしませんが、それでも、いくつかの銘柄は気になっており、ソフトバンクグループは、気になる株式の一つです。

先日、ソフトバンクグループは、株価が過小評価されているのを是正するために、予想外の大型自社株買い(1億円)が発表。発表以降、株価は6,000円台から7000円台まで上昇してきています。

とは言うものの、ソフトバンクグループの業績は投資先の価値変動に左右される特徴があり、今後の中国政府の政策や中国景気次第で、アリババグループの株価の下落の影響を受けて下落するリスクもあります。

このタイミングで、ソフトバンクグループ株は買っていいのか?

今回は、ソフトバンクグループへの投資に関して、過去の自社株買い時の株価の動き、抱えるリスクを確認したうえで、買い時なのか、私なりに判断してみます。

ソフトバンクの自社株買い

ソフトバンクの自社株買い

まずは、先日発表された自社株買いの内容について確認します。

2021年11月発表の自社株買い

ソフトバンクグループ:自社株買いの概要

取得額上限 :1兆円 ※1兆円に達しない可能性もあり
取得数上限 :2億5,000万株(発行済株式数の14.6%)
取得期間  :2021年11月9日~2022年11月8日
取得後の扱い:全て消却

プレスリリース:自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(2021年11月8日)

ソフトバンクグループ株の1株あたり時価純資産は12,000円以上(2021年11月時点)です。それに対して株価は自社株買い発表時点で6,000円台。「株価が過小評価されている」との考えから、株価を適正な水準まで引き上げようとしての自社株買いです。

発行済株式数の14.6%に上る自社株買いは非常に大きく、1年かけての自社株買い(市場買い付け)であり、取得した株式は全て消却されることを考えると、十分に、徐々に株価が押し上げられることが十分期待できる内容です。自社株買いがあるとなれば、売り方も、安易な空売りができなくなります。

過去:2020年3月発表の自社株買い

ソフトバンクは過去、コロナ禍で、今回同様、株価を上げることを目的に、2020年3月~2021年5月の期間に最大2兆円の自社株買いを行っています(プレスリリース)。
この発表では、負債削減も同時に行われているので、単純比較はできませんが、株価はどのように動いたか確認してみましょう。

ソフトバンクグループ(9984)週足チャート
ソフトバンクグループ(9984)週足チャート


日経平均指数 週足チャート

ソフトバンクグループの株価は、日経平均指数がコロナショックから上昇するのと同期して上昇しています。単に、ソフトバンクグループもコロナショックからの回復から同じように復帰したともみることも見れますが、ざっくり、コロナショック安値→高値を見ると、その上昇率には圧倒的な差があります。

コロナショック安値⇒最高値までの上昇率

日経平均  :16,400→30,700円(1.87倍)
ソフトバンク:2,600→10,700円(4.1倍

この結果を見るに、2兆円の自社株買いの効果は大いにあったものと考えます。

しかし、これだけの上昇を遂げたにも関わらず、中国政府が儲かっている自国中国企業への規制強化を強めたことで、これまで中国投資(アリババなど)を行ってきたソフトバンクグループ株は、自社株買い終了と共に急落しています。

現在、中国政府は所得の規制や再分配を含む「共同富裕」を目標に掲げ、中国内のおける格差是正のために、この実現を脅かす儲かっているハイテク企業他に厳しい規制を行っています。

ソフトバンクグループ株投資の目下の懸念は中国株式の動向

ソフトバンクグループ株投資の目下の懸念は中国株式の動向

上記の結果から、今回の自社株買いの投資妙味を判断するに当たって、次のことが言えます。

ソフトバンクグループ株の自社株買いに伴う投資判断ポイント

・今回の1兆円の自社株買いの規模は前回の半分
・前回はコロナショックの暴落に伴う景気対策(国を挙げての株価対策)があった
 ⇒今回も、自社株買いによる株価上昇を期待できるが、
  前回ほどの上昇は期待できず、また、中国株式にも大きく左右される
 
ソフトバンクの事業側面的には…
・ソフトバンクビジョンファンド(投資先中国以外)は急成長中 で期待ができそう

下図は、ソフトバンクグループ:2022年3月期第2四半期 決算説明会資料(2021年11月8日)の抜粋ですが、ソフトバンクビジョンファンドが大きく成長しており、中国以外の投資先案件については、期待が持てそうです。


中国株はかなり安い水準


上海50A チャート

私は、以下の記事の通り、今年夏以降、中国株式投資をCFDで行い、アリババや上海Aに投資を行ってきました。残念ながら、アリババ株は厳しいロスカットとなりましたが、上海Aは現在も保有し、値動きを見てきていますが、ここのところ、上図チャート(上海A)の通り、中国株式は随分と底堅くなったと感じています。

現在の中国株の懸念点

中国の株価は底堅くなってきたものの、それ以外にも中国には問題があります。以下は、中国が抱えている目下の懸念点です。目下、最も市場に与える影響が大きいのは「不動産問題」であると考えています。

中国投資の懸念点

・中国政府の「共同富裕」策に絡む企業への規制
・弱まった実質成長率
・不動産企業の資金繰りの悪化・債務不履行(デフォルト)に伴う景気悪化
・高騰した住宅価格に対する不動産規制
・電力供給不安(電力需要の高まり、水力発電の不振、火力発電の採算悪化など)
・2022年2月の冬季五輪開催に伴うコロナ感染再燃の恐れ

ソフトバンクグループ株は買っていいのか?

ソフトバンクグループ株は買っていいのか?

さて、以上の分析をもとに、自社株買い発表のタイミングでソフトバンクグループ株を買っていいのかを考えてみます。

1兆円規模の自社株買いや株価を上げるのに十分な効果が期待できると考えます。

最も大きな懸念は、中国株、特にハイテク株式の動向です。上記、繰り返しになりますが、中国株は過去の大規模下落と同程度に下落していることもあり、底堅くなりつつあります。一部企業の株式は上昇に転じているものもあります。


上海50A チャート(長期:2015年以降)

これらを考慮すると、自社株買い実施期間を通じてソフトバンクグループ株を保有、或いは、長期投資を前提するなら、十分に投資妙味があるのではないかと考えます。まずは、ソフトバンクグループ株の1株あたり時価純資産は12,000円を最大ターゲットに、10,000円までの戻しを期待して保有してみたいです。

最後に

1兆円規模の自社株買いを発表したフトバンクグループへの投資を、過去や現在の環境を踏まえて、私なりに判断した結果は、懸念点よりポジティブな内容が多く、「買い判断」となりました。

これまで、発表後連投していることもあり、今は少し下に指値を差しています。
もし、置いて行かれるようであれば、上を買っていこうと思います。長期で保有できる株になることを期待したいです。