【書評/要約】ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門(木村尚義 著)(★4)

ずるい。

「ずるい」という言葉って正直、イメージが悪いですよね。でも、いい意味で「ずるい」ということもありませんか?

「えーっ、そんな方法あったの!何で早く気づかなかったんだろう。ずるい~ぃ」

こんな時に使われるズルいは、常識的な方法では得られなかった利益が得られるような思考をする人への賞賛が込められていますよね。

本書「ずるい考え方」は、上記の例のような
●常識にとらわれず、自由な発想を可能にする考え方
●最短ルートで問題を解決する考え方
●お金や時間をかけずに目的を達成してしまう考え方
などが学べる一冊。

日常生活、ビジネスで非常に役立つ斬新で、画期的で、しかもいち早く問題を解決してしまう「ラテラルシンキング」が学べる良書です。

サクサク読めるのに気づきの多い良書です。
chami
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ラテラルシンキングとは

ラテラルシンキングとは、問題を解決するために固定観念や既存の論理にとらわれず、「物事を多角的に考察する」「新しい発想を生み出す」ための思考法です。

ラテラルシンキングには、ロジカルシンキングと違って、「唯一の正解」というものがありません。ラテラル(Lateral)は、「水平」という意味で、「水平思考」=水平方向に視点を広げる思考法になります。

ラテラルシンキングとロジカルシンキング

ラテラルシンキングとロジカルシンキング
ラテラルシンキングとロジカルシンキング

ラテラルシンキングの特徴

ラテラルシンキングには以下のような特徴があります。
①あらゆる前提から自由になる
②今までにないものが生まれる
③問題が最短ルートで解決される
④お金/時間/手間が節約できる

ロジカルとラテラルの関係は相互

ロジカルとラテラルの関係は対立する考えではありません。相互補完の関係があります。
ラテラルシンキングで考えるとたくさんの選択肢が出てきますが、最終的に実行できるのは1つです。故、最初にラテラルシンキングで発想し、次の段階でロジカルシンキングで考えるとよいです。

なぜ、ラテラルシンキングが必要なのか

学校教育はロジカルシンキングです。テストでも「答えは一つ」です。

ロジカルすぎると窮屈です。また、ルールや固定観念は、便利な反面、やっかいな面もあります。

さらに、新しいことを始めようとするときには、まったくあてになりません。このようなときに役立つのは、常識にとらわれず、複数の選択肢を検討できるラテラルシンキングです。

「変化」が求められる現代には重要な思考法だね。
chami
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ラテラルシンキングに必要な3つの力

ラテラルシンキングに必要な3つの力

ラテラルシンキングに必要な「環境」をつくるためには、次の3つの能力が欠かせません。

ラテラルシンキングに必要な3つの力

❶疑う力 
❷抽象化する力
❸セレンディピティ

❶疑う力 ~固定観念を打ち破る

新しい常識は非常識からつくられます。しかし、私たちには「(従来)の常識」や「思い込み」で、自由な発想を阻んでしまいます。

そこで大事になるのが「疑う力」。あらゆる前提を疑うことで、思い込みの呪縛から解放されます。

でも、これってかなり難しい。そんな時に役立つのが以下の言葉です。

●なぜ(なぜ、必要なのか?なぜ、不可能なのか?なぜ、同じでなければならないのか? 他)
●ホント?
●今はね(今は当たり前だけどね)

また、固定概念を打ち破るために、「外国人」「世代の違う人」「異業種の人」など、固定観念の鎖が破壊を断ち切ってくれるような考えに出会える人と積極的に交流しましょう。

❷抽象化する力 ~物事の本質を見抜く

ラテラルシンキングに必要な能力、2つ目は「抽象化する力」です。
“抽象化”とは、簡単に言うと、物事の「本質」や「機能」に注目することです。これにより物事の本質を見抜く力がつきます。

❸セレンディピティ ~偶然の発見を見逃さない

セレンディピティとは、簡単に言えば、「日常の何気ない風景から、何か価値のあるものを偶然見つける力」です。

この力ですが、偶然が起きたとき、何も感じない人と、それが何かに応用できるのではないかと考える人がいます。どちらが成功のカギを握っているかは、言うまでもありません。いわば、セレンディピティとは「偶然を偶然として無視しない力」です。

何を見ても驚くことなく、何を聞いても「そんなこと、知ってるよ」と高をくくっていると、感性はどんどん鈍くなってしまいます。偶然からインスピレーションを得るために、感性レーダーを磨き、あらゆる方向に張り巡らせておくようにしましょう。

最初は、無理やり感動するでもOK。無理やり感動していると、脳がダマされて、どんなことにも自然と感動するようになります。

最小の力で最大の効果を出す3つの方法

ラテラルシンキングで最小の力で最大の効果を出す3つの方法

人間は、基本的に努力が嫌いな生き物です。「最小の力で最大の効果を出す」ための方法は、大きく3つあります。ポイントは「てこの原理」です。

「最小の力で最大の効果を出す」3つの方法

❶他者の力を借りる
❷作業を組み合わせる
❸「楽する権利」を手に入れる

相手の力を利用する

弱肉強食の中で生き残るには、弱者は弱者が生き抜くためのずるさが必要です。この方法は大きく分類して3つあります。

●コバンザメ型 :利用する側(コバンザメ)は、利用される側(サメ)に被害を与えない関係
●寄生虫型   :利用する側(寄生虫)は、利用される側(人)を「利用する」関係。便乗型
●ヤドカリ・イソギンチャク型:持ちつ持たれつの関係

弱者が強者の力をうまく利用するには

弱者が強者の力をうまく利用するためのポイントは、ずばり「“盲点”を探すこと。」

例えば、強者の製品・サービスを分析して、 「これがあったら……」 「もっと、こうしてくれたら……」という不満がないか、考えてみることです。そこに、大きな市場に入り込むヒントが隠れているかもしれません。

また、強者がつくりあげた道筋を利用できないか、検討してみましょう。出来上がった制度やモデル・システムなどを拝借できれば、余計な投資をする必要はなくなります。

チャンスを的確にとらえ、相手の力を利用する――。 弱者には弱者なりの、勝ち方があるのです。 また、「これだ!」という方法が見つかったら、即断即決で動きましょう。

異質なもの同士を組み合わせる

わたしたちは、ものには特定の用途があって、それ以外の使い方はできないという強い先入観に支配されています。しかし、その先入観から自由になったとき、別のものとの「組み合わせ」が実現し、新たな価値が生まれます。

この「新しい組み合わせ」「意外な出会い」を見つけるため役立つのが、「抽象化する力」と「セレンディピティ」。

これら、新しい組み合わせは「偶然」から生まれることが少なくありません。ある場面に遭遇したとき、そこから絶妙なマッチングを思いつけるかどうかが、成否を分けます。

成功例からの転用で「組み合わせ」も楽になる

何かを組み合わせる場合、いったん成功事例を見つけてしまえば、あとは驚くほど楽になります。 日本で初めて「たらこスパゲティー」が開発された後、和のスパゲッティがたくさんできましたよね。「納豆」「青じそ」などなど。これも転用です。

メモがひらめきを呼ぶ

ひらめきは、「材料」がなければ相性の良い組み合わせは見つけられません。そこで、おすすめしたいのが「メモ」をとること。

このメモの目的は「あとで見返す」ことではありません。多くはメモを取ろうが忘れてしまいます。
しかし、メモをとれば、それだけである程度の情報が頭にインプットされます。そして、放置します。そうすれば、ワインのように、じっくり脳内で熟成された情報が、やがて偶然によって「組み合わせ」がひらめく瞬間に、記憶の底から浮かび上がってくるのです。

思考メモに最適なノート

頭のいい人がこぞって使うのが方眼ノート。きれいにかけて、思考やメモをまとめやすいから。さらに、メモにはペンの書き味も大事。書き味が悪いと思考がハックされてしまうのでよくありません。

「楽する権利」を手に入れる

「楽する権利」といわれてもピンときませんね。でも、難しいことではありません。

例えば、「先の先を読む」と楽ができます。
「先の先を読む」とは、将来の展開を予測して、あらかじめ手を打っておき、最終的に成功をおさめる(利益を得る)ことです。普及した後、その先に待っていることは何かを考えておけば、人より先にビジネスで成功できます。

ラテラルシンキングに大事なセレンディピティ

ラテラルシンキングにとって、「ムダ」は必要不可欠

「効率」のみを考えるロジカルシンキングでは、ムダはできるだけ排除されます。しかし、ラテラルシンキングにとって、「ムダ」は必要不可欠なものです。セレンディピティはムダがあってこそ生まれるからです。

はみだしものが突破口を作る

ビジネスの世界では、「無駄は省け!」と言われます。しかし、中国の古典『老子』に「無用の用」という言葉があるように、ムダやはみだしから得られることは実にたくさんあります。

アリの集団には、❶必死に働くアリ ❷それなりに働くアリ ❸全然働かないアリの3タイプがいて、それは、2:6:2に分かれると言われます。これは人間の世界も同じです。働かない人は一見無だそうですが、その中に、常識にとらわれずはみ出すものがいるからこそ、新しいものが生まれます。

マイナスをプラスに変える

「マイナスをプラスに変える」場合も、「疑う力」「抽象化する力」「セレンディピティ」という3つの能力は欠かせません。特に大事なのは「疑う力」。
欠点だと思っていたものが、見方を変えれば欠点ではなかったり、欠点だと思い込んでいたのは自分だけで、他人にとっては利点だったというケースもあります

世の中には、簡単には変えられない不利な条件や制約があります。しかし、「アレがない」「コレができない」と言ってあきらめていては、何もできません。 あきらめる前に発想を転換し、今あるものの中にマイナスをプラスに変える「隠れた価値」を見出すことが大事です。

セールでは「ワケあり品」がよく売れますが、これも訳ありという言葉に前向きなイメージを持たせることに成功した例です。

「マイナスをプラスに変える」は、簡単に言えば、「ポジティブシンキング」です。 物事は見方によってプラスになったり、マイナスになったりします。どちらになるかは、受け取る側のとらえ方です。「マイナス」を生かせる場所を探しましょう。

ラテラルシンキングの練習 スーパー・ポジティブ思考エクササイズ
日常生活のなかで耳にするネガティブな言葉を、すべてポジティブな言葉に言い換える訓練をしよう!
●安っぽい→庶民的
●古くさい→歴史のある
●融通が利かない→絶対にブレない
chami
chami
chami
chami
愚痴ばっかり言っている人は、
愚痴を「●●でよかった」と言い換えるといいよ。
結構、これで幸せになれます。

最後に

今回は著書「ずるい考え方」を紹介しました。
これからの時代、答えのある仕事は、より高速に24時間働くコンピューター・AIにとって代わられます。だからこそ、人らしい「発想力」が求められます。

「ずるい考え方」は、これからの時代を生き抜く強いスキルです。是非、本書をヒントに、日ごろからずるい思考法を鍛えましょう!