セルインンメイ(Sell in May)に見られる相場格言など、投資の世界には、投資セオリー、マーケットの俗説と言われるものが多数存在します。

これら投資セオリーを信じて投資してもいいのか?

本書「勝率9割の投資セオリーは存在するか」は、相場の世界の通説・俗説を、過去のデータを検証した一冊。
通説・俗説を「ジンクス」「市場分析」「経済分析」に分け、その長期分析の結果をA~Bで格付けして、その実態を教えてくれます。

相場の世界にある通説・俗説

相場の世界にある通説・俗説

相場の世界には、通説、俗説と言われるものが多数存在します。

相場の世界にある通説・俗説の例

相場の世界にある通説・俗説とは、例えば、以下のようなものです。

相場の世界にある通説・俗説の例

【1月効果】1月は株が上がりやすいは本当か?
【セル・イン・メイ】5月は株は売った方がよいのか?
【干支と日本株】「辰巳天井、午尻下がり」は本当か?
【選挙と日本株】参院選は日本の株価の上昇要因となるのか?
【米大統領選と株価】選挙の年の株は上がるのか?

これらの通説・俗説の中には、いわゆるジンクスに類するものから、実際に市場や経済のセオリーに基づくものまでさまざまです。

通説を3つに分類し分析

本書では、これらを以下のように3分類し、かなり参考になるから、参考にならないまで「A・B・Cランク判定」をしています。

❶ジンクス編
なぜだかよくわからないが、頻繁に起こるといわれている市場の習性。いわゆるアノマリー。

❷市場分析編
チャート分析に関する通説に関するもの。インジケーターで使えそうなものなど

❸経済分析編
経済の先行きを考える分析で有用そうなもの、よく市場で語られる通説をピックアップし分析

以下では、これら❶~❸の中で、「A.かなり参考になる」に格付けされていたものをピックアップして紹介します。
具体的な分析理由や、B、Cに該当したものは本書にてご確認を。

ちなみに冒頭で紹介した「Sell in May」は「ランクB」その理由も本書で確認してください。

参考になる通説:ジンクス編

参考になる通説:ジンクス編

いわゆるアノマリー的な市場の習性の中で、比較的、当たりやすいものは以下の通りです。

  • 1月は日本の株価が上がりやすい
  • 1月に株価が上昇(下落)すると、その年の株価は上がり(下がり)やすい(一見Aだが…)
    米国では、1月の株価の騰落で年間の株価騰落が決まることが全体の73%を占め、確度が高い
  • 米ドルを売るなら1月末
    1月末にかけて米ドル高・円安が進む傾向があり、米ドルを売るなら1月末。買うなら、10月がが確度高め。米ドルは10月に底値をつけやすい
  • 日本のゴールデンウィーク中は、円高が進みやすい
  • 総選挙は株価上昇要因
    総選挙の1ヵ月前から前日までは株価が上がることが多い(直近15回で上昇率87%)。総選挙後の1ヵ月間は、逆に下がることが多い(下落確率60%)

参考になる通説:市場分析編

チャート分析で投資判断をする方には、この項目が参考になります。

  • 日経平均株価の移動平均線乖離率、50日移動平均線から10~15%のプラス乖離、10~20%のマイナス乖離は注意(反転しやすい)
  • 円相場の移動平均線乖離率、52週移動平均線から±15%の乖離は要注意(反転しやすい)
  • 騰落レシオが相場の行き過ぎを示唆
  • 東証1部の騰落レシオを見ると、銘柄数ベースでは140%前後、出来高ベースでは160~200%程度が、相場の過熱を示唆している。売られすぎは、ともに80%前後がサイン
  • 外国人の売買で株価動向が決まる
    株価騰落が一致する回数は全体の84%
  • 日本株の動向は米国株と並行的
  • 日本株の予想PERは、12倍を割り込むと株価は売られすぎ、16倍を超えると買われすぎ
    近年の米国株のPERは12~18倍が妥当
  • ユーロ高・米ドル安だと原油高
  • PERに業種間の差はあって不思議はないが、あまり開きすぎると修正が起こる

参考になる通説:経済分析編

経済動向や、選挙などのイベントなどをメインとした分析の中で、比較的、利用価値が高いとされるものは以下の通りです。

  • 新興国などでは投資増による景気拡大が起こるが、日本など先進国では起こりにくい
  • 米国大統領選がある前年は株価は上がりやすい
    大統領選挙の前年の株価が最も上がりやすい。S&P500指数は前年に下がったことがない

最後に

今回は、馬渕 治好さんの著書「勝率9割の投資セオリーは存在するか」から、投資の参考に使えそうな通説・属性を紹介しました。
なぜ、参考になるのか、また、あまり当たらない通説は何なのかなどを知っていると、実際に投資する際の判断材料として有効です。

是非、本書から、その理由を学んでみてください。