【書評/感想】硝子の塔の殺人(知念実希人 著)(★5) 大どんでん返し。こんな結末が待っていたとは!面白く読むポイント

小説『硝子の塔の殺人』は、知念実希人さんの本格ミステリー長編
本屋大賞2022にもノミネートされ、Amazonでも多くのコメントがつく人気作品です。

いわゆる連続密室殺人ミステリーなのですが、先が知りたくてどんどん作品に引き込まれます。

ラストは想像だにしなかった結末。「どんでん返し」の「どんでん返し」。また、ラストシーンに向け、随所に「散らばる伏線」の回収の見事さに感服させられます。500ページ以上の長編であることを忘れ、読み終えられるでしょう。

今回は、知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』の簡単なあらすじと感想、さらに、本書を面白く読むポイントを紹介します。

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硝子の塔の殺人:あらすじ

硝子の塔の殺人:あらすじ

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。

この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。

謎を追うのは名探偵・碧月夜医師・一条遊馬

散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。著者初の本格ミステリ長編、大本命! 
Amazon解説

硝子の塔の殺人:感想&本作を面白く読むポイント

硝子の塔の殺人:感想&本作を面白く読むポイント

本作はミステリーなので、先がわかると面白さが半減します。そこで、「硝子の塔の殺人」の感想と共に、本作をより面白く読むためのアドバイス・ポイントを紹介します。

ミステリーの定番:クローズド・サークル

クローズド・サークルとは、閉鎖空間。例えば、「絶海の孤島」や「山奥の山荘・別荘✕吹雪・がけ崩れ」など。誰もその場から逃げ出せない中、誰が犯人かも分からないまま、連続殺人が起こるのが定番です。

本作品も、道が分断され、「周囲から孤立してしまった硝子の館」が舞台。建築基準法を無視した、金持ちの道楽で建てた巨大な円錐形の尖塔です。しかも、殺人事件が発覚するも、道が分断され、警察に連絡するも到着までの「3日間」かかります。この「陸の孤島3日間」という期間も本作の重要な舞台背景です。

生きている登場人物たちは、「必ず犯人がいる!」「次は私が殺されるかもしれない」という、疑心暗鬼と恐怖の中、警察が来るまでの3日間、生存しなければならなくなります。その様は、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿させます。

警察が立ち入れないクローズド・サークルで起きる事件は、毒や血を発見しても、それが本物か、また、誰の血を検証し、犯人探しに役立てることはできません。その分、「推理力」が重要になります。この「推理力」が本作品を面白くしています。

名探偵コンビ:月夜と遊馬

クローズド・サークル内で、犯人探しに乗り出すのが、自称名探偵の碧月夜と、医師の一条遊馬です。

月夜は、幼少期からミステリー小説が友達。その推理力からは警察からも当てにされるほど。そして、遊馬は医師なので、毒に関する知識、死後硬直などについての見識があります。

そんな二人が、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズの探偵のホームズと医師兼助手のワトソンのように、事件の真相に迫ろうとします。ただし、本作ではこの二人も「犯人の可能性」があるという点が、ポイントです。

有名ミステリー小説が複数登場

月夜と遊馬の殺人事件の謎解きに当たって、著名なミステリー作家の「小説&トリック」が登場します。

海外作家では、アガサ・クリスティーアーサー・コナン・ドイルエラリー・クイーン、国内作家では、江戸川乱歩、島田荘司綾辻行人有栖川有栖 など。

作品を読んだ方は、「あの小説のあのシーンのことを語っている」とワクワクしながら読めること間違いなし。また、ミステリー小説初心者なら、次に読むミステリー小説探しに役立ちます。

どんでん返しの連続!先が読めないストーリー展開

特に作品の後半は、ストーリーがどんどん展開していきます。

「この人物が怪しい?」と思っていても、次の展開では、「あの人が!」と思える人物が犯人として急浮上してきたり…。思いがけない「殺害理由」が登場したりで、驚きの連続。次の展開が知りたくて、本作にどっぷりはまりこみます。

読者自身も「謎解き」をしながら読むと面白いですが、その時に是非行ってほしいのが「ん?」という違和感を感じた場所に「付箋」をしておくことです。

「おや?」と感じた場所は、その後の「事件解決のヒントとなる「伏線」になっている可能性が高いです!

【参考】小説をより深く読みたい方へ

人気作家 平野啓一郎さんの「本の読み方」に教わったことですが、作家自身は、推敲に推敲を重ねて、一字一句まで気を使って作品を仕上げています。

作品を読んでいて「なんで、こんなところにこんなシーンが描かれているんだろう」と違和感を感じることがありますが、このような内容も必ず作家は意味があるからこそ、あえてシーンを差し込んでいます。つまり、何らかの「伏線」となっている可能性が高い。そして、伏線はどこかで回収されます

このことを知って読むと、ミステリー小説はますます面白く読めます。「本の読み方」は、ミステリーに限らず、小説を面白く読むための教えが満載です。私はこの本を読んで、従来より深い読書ができるようになりました。

最後に

今回は、知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』の簡単なあらすじと感想、さらに、本書を面白く読むポイントを紹介しました。

本屋大賞2022にもノミネート作品であることがうなずける作品です。ストーリーに飲み込まれるミステリー小説を読みたいとお考えの方は、是非、本書を読んでみてください。最後の最後、ホントに驚きます。

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