苦しくなく、ウォーキングの2倍ものカロリーを消費できて、効率よくダイエットができる。
これまで走ったことのない人でも、フルマラソンを完走できる。
そんな方法を知りたくないですか?だったら、田中宏暁さんの「ランニングする前に読む本」は超おすすめ。さすがのブルーバックス本!とも言える濃い内容です。
「運動」はロジカルにやらないと、辛さの割に効果(運動力の向上・ダイエット)がでない!
これは、以前、清水忍さんの「ロジカル筋トレ」を読んだ時に学んだことです。本書も、まさにタイトル通り、ランニングをする前に読む、ロジカルランニングの本です。しかも、本書で紹介されるスロージョギングは、苦しいジョギングではありません!イメージがガラッと変わります。
今回は、田中宏暁さんの「ランニングする前に読む本」からの学びを紹介します。
目次
走るための基礎知識〈理論編〉
人間の身体は、「長距離走」に非常に適した構造を持っています。人間の繁栄も、二足歩行で長時間走り続けて獲物を捕らえることができるようになったことが大きく影響しています。
20万年の人類の歴史の中で、農耕生活はわずか1万年。現代人の身体も、農耕以前の狩猟採集時代に獲得した「走れる身体」を備えています。まずは、「走る✕身体」について見ていきましょう。これがわかれば、楽な走り方がわかります。
スロージョギングとは
スロージョギングとは、時速6km程度の低速で走るジョギング法です。
通常の歩行は通勤時で4km、ささっと早歩きで時速5km、エクササイズウォーキングで時速6~7㎞です。時速6kmとは走るにはかなり遅いスピードです。
こんなジョギングで、ジョギング初心者でもフルマラソン完走、体重スリム化に効くのか??と思いますが、なるほど納得の理由があります。
時速6km台で走り出すのには意味がある
人は、平均時速6.3kmで無意識に「歩く」から「走る」に切り替えます。人の体の進化というものは非常によくできていて、無意識にやることは、それがベター・ベストである理由があります。
これを以下の3つの視点から見てみます。
❶身体のエネルギー消費の違い
❷力学的な違い
❸主観的強度(しんどさ)の違い
❶身体のエネルギー消費の違い
移動1kmあたりのエネルギー消費量は、ウォーキングの場合、時速6㎞ぐらいから急速にエネルギー消費量が急増しはじめます。時速8㎞でウォーキングとランニングのエネルギー消費量が同じになり、それ以上では、ランニングのほうがエネルギー効率が良くなります。
しかも、低速で走ろうが高速で走ろうが、1km当たりのエネルギー消費量には大きな違いがありません。(もちろん、高速で走った方が、たくさん走れるので、時間当たりのエネルギーそう消費量は増える)
ここから、消費エネルギー的には、時速8km以上はランニングの方が効率的なことがわかります。
❷力学的な違い
歩いたり走ったりして前方に進むには、「重心を持ち上げる(位置エネルギー)」✕「前方向への移動(推進エネルギー)」の2つの力(エネルギー)が必要です。歩くと走るではこの力(エネルギー)の使われ方が違います。
歩く | 常にどちらかの足は地面についている 速度を上げると ・重心を持ち上げる(位置エネルギー獲得)ことが困難 ・前方向の移動に筋収縮のエネルギーを多く使う必要がある ⇒スピードアップすると効率が悪くなる |
走る | 両足が地面から浮く瞬間がある ・着地の際に下肢と腱をバネのように使うことで位置エネルギーが獲得可能 (速度にかかわらず一定) ・速度が上がっても、位置エネルギーを容易に推進エネルギーに転換できる ⇒効率的にスピードアップできる |
つまり、ウォーキングは、一生懸命エネルギーを使って歩いても、たいしてスピードが出せません。ヒトの身体はこれを知っていて、時速6km台を過ぎると走り出します。
❸主観的強度(しんどさ)の違い
ランニングの方がエネルギー効率が良くなるのは時速約8㎞を超えてであるのに対し、自然と走り出すの速度は6~7kmでした。本来なら、時速8kmまでは速足の方が効率的です。しかし時速6km台で走り出してしまうのにも理由があります。それが「主観的強度」、簡単に言えば、「しんどさ」です。
時速3~6kmでは、ランニングもウォーキングもの主観的強度(キツさ)はほとんど同じです。一方、時速7kmでは、ウォーキングがランニングに比べて主観的強度が高くなります。しんどいので、速足⇒走るに切り替えるのです。
ここまで3つをまとめると以下のことがわかります。
「時速6kmでスローランニング」すれば、身体のしんどさをおさえつつ、カロリーが消費される!
ダイエット目的でウォーキングエクササイズをしている方は、スローランニングに切り替えた方が効果的。
ここでは割愛しますが、スロージョギングは、ゆっくり走って楽ではあっても、ウォーキングよりも全身の筋肉を鍛えることができます(特に太もも前面の筋肉)。加齢による筋肉の衰えにも効果的です。60代で若者並みの筋肉量を保つことも可能です。「走れる身体」を作るのに、筋トレも必要ありません。詳細は、本書でご確認ください。
走るための基礎知識〈実践編〉
走るとは、人間が本来持っている機能をうまく使った自然な運動です。実践に当たっては、2つの大事なポイントがあります。
❶「にこにこペース」でゆっくり走ること
❷歩幅を狭くして、足の指の付け根(フォアフット)で着地すること
「にこにこペース」なら、ラクにフルマラソンも完走できるようになると言います。
❶自分に合ったペースの見つけ方
「にこにこペース」とは、走るペースは、息を切らすことなく、笑顔を保っておしゃべりできる上限のスピードです。このペースでは乳酸が貯まりません。ガソリンに相当するグリコーゲンを節約してランニングをすることができます。
にこにこペースは、初心者の場合は、1分間の心拍数は〈138-年齢 ÷ 2〉を基準にしてみるのも一つの方法です。
トレーニングを続けると、同じスピードで走った場合に心拍数も低くなっていきます。スマートウォッチで計測しながらトレーニングを行えば、トレーニングの効果判定にも使うことができて効果的です。
❷足の指の付け根着地で「ピッチを稼ぐ」走り方
ランニングのスピードは、ピッチとストライドで決まります。
ピッチ :1秒間の歩数
ストライド:1歩の距離
多くの人はストライドを稼ぐ「かかと着地」で走っていますが、行うべきは、ピッチを稼ぐ「足の指の付け根着地(フォアフット着地)」です。
では、なぜ、フォアフット着地がいいのか?
ジャンプをした時、着地するのはフォアフットです。これは、かかと着地ではすると、3倍も着地の衝撃が大きくなり、足に負担がかかるからです。
ピッチの目安と、アゴに注意
ピッチは15秒で45歩以上を目指しましょう。推進力を得ようと「蹴る」のではなく、斜め前に「押し跳ねる」イメージで、接地時間をなるべく短くするのがコツです。
このとき、「フォアフット」で「あごを上げ気味」にして走るだけで、ラクに走れるのに、格好よいランニングフォームになります。息が上がるとあごが上がってくるのも、呼吸しやすくするための身体の自然な反応です。
薄底ランニングシューズのすすめ
私たちが「かかと着地」をするようになった原因は厚底シューズの進化で、かかとで着地しても衝撃が押さえられるようになったことが影響しています。
しかし、狩猟採集時代、人類は「裸足」で走っていました(かかと着地は痛くて走れない)。つまり、裸足で走りやすい走り方が「本来の走り方」です。無理なく走るには、本来の身体の使い方「フォアフット」に戻すことが大切です。
田中さんは、「薄底シューズ」で走ることを勧めています。以下は、薄底シューズで人気の高い商品です。
最後に
今回は、田中宏暁さんの「ランニングする前に読む本」からの学びを紹介しました。今回紹介した内容は、全7章のうち、2章分のポイントをまとめたにすぎません。
以下の通り、様々な学びが得られる内容が盛りだくさんです。
・ランニングとダイエット:ランニングで効率よく瘦せる、瘦せて効率よく走る
・ランニングの生理学:メカニズムを知れば、効果が上がる
・マラソンへ向けたトレーニング:フルマラソン完走、サブスリーを目指す
・レースのコンディショニング直前からレース後の注意点
・ランニングと健康 継続して走ることが身体にもたらす効果
ランニングは、基礎知識の上で行うのと、ただ走るでは成果に大きな差が出ます。ダイエットで痩せたい方から、フルマラソンに出場したい方まで、是非、本書を読んだうえで「ランニング」を行いましょう!
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