【書評/要約】「筋肉」よりも「骨」を使え!(甲野善紀、松村卓 著)(★3) 骨を使えば、可動域が増え、動きが変わる。ケガも減る!

現在のスポーツの現場で重視される「筋肉」。パワーアップのためには筋肉が必要であり、それを最大限に発揮するために「データ」が重んじられています。

しかし、この状況に「待った!」をかけるのが、今回紹介の著書【「筋肉」よりも「骨」を使え!】。
武術研究の第一人者・甲野善紀さんとスポーツトレーニングの革命児・松村卓さんにによる、「身体の使い方」の対談本です。

現在、スポーツの現場では、「筋力に頼った身体の使い方」が推奨され、素人・プロ問わず、筋肉増強が重要視されています。しかし、筋肉に偏ったトレーニングはケガが多く問題も多いのが現状です。

そこで、体が小さな日本人が強気を倒すために古来より大事にしてきた日本の伝統的な身体の使い方」を大事に、無駄な力を使わずに身体を動かす「骨を重視した動き」を大切にせよ説きます。

今回は本書からの学びを書評としてまとめます。

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体の鍛え方を再考する

【書評/要約】「筋肉」よりも「骨」を使え!(甲野善紀、松村卓 著):体の鍛え方を再考する

単に腕力を使って力づくでねじ伏せるトレーニングは、故障も多い。その弊害、問題点を見ていきましょう。

筋肉だけ強力に鍛えてもダメ

「筋肉は裏切らない」という言葉が流行したように、トレーニングによる「筋肉UP」の効果は、やった分、目に見える形で現れるのでモチベーションが上がります。データを重視する「スポーツ科学」の観点から、「筋力が足りないからケガをした、だからもっと筋トレをして鍛えよう」とする動きもあります。

しかし、体を支える基本は「骨」です。骨の動きも重視して動かさない限り、筋肉は最大のパフォーマンスを上げることはできません。しかし、「骨」は、骨は目に見えず、どう動かしていいかもわかりにくいため、ないがしろにされる傾向があります。

「いい動き」とは

本来、「いい動き」というのは、力が抜けるべきところは抜けて、入るべきところは入って、実現します。つまり、一部の筋肉を強引に鍛えても、全体のバランスが取れていなければ、いい動きに繋がりません。むしろ怪我につながります。

筋トレを重視し成績を伸ばすプロもいますが、逆に成績を落とすプロがいるのは、筋肉ばかりを重視し、骨がうまく動かせていないケースが多々ありあmす。

エビデンスを信じすぎるスポーツ界

現代は、エビデンスがなければ信じない世の中になり、「自分の身体の声」を聞くことがないがしろになっています。その結果、数値や数字だけを信じるようになり、身体が発する微細な反応を感じられない身体になってしまっています。

データ数値が上がれは「脳」は喜ぶかもしれませんが、身体は喜んでいません。結果、自由に動けなくなっています。

「コツ(骨)」使う

【書評/要約】「筋肉」よりも「骨」を使え!(甲野善紀、松村卓 著):「コツ(骨)」使う

では、骨を使った動きとはどういうものなのでしょうか。

骨身にまかせて動く

骨身にまかせ、いままでと180度違う力の出し方を身につける。
これにより、身体の一番中心にある骨組みを連動させ、インナーマッスルを活性化させ、人間が持っている本当の力を導き出す。

これが、「コツ(骨)」使う動きです。

鎖骨や肩甲骨、肋骨、骨盤、背骨などのすべての骨を連動させて動力を作る方が、筋肉だけで体を動かすより、圧倒的に楽に身体が動かせるようになり、疲れにくくなります。疲れにくくなるため、ケガの確率も減ります。

骨を使う効果

スポーツ科学的には、身体は筋肉の収縮によって動くというのが常識ですが、「まず骨が動いて、筋肉はそれに従う」ようにすると、筋肉の動きは随伴運動であるということが腹落ちしてわかってくると、二人の先生はアドバイスします。

筋肉の硬くなった部分がほぐれ、骨組みが動かせるようになってくると、深部にあるインナーマッスルも動くようになる。すると、身体の使えるパーツが増えてきて、いろんな動きができるようになのです。

「ボディビルで作った肉体」と「重労働で作った肉体」

「まず骨が動いて、筋肉はそれに従う」ことの重要性は、「ボディビルで作った肉体」と「農作業で鍛えた肉体」を考えてみるとよくわかります。

ボディビルで作った肉体は見せることを目的した身体です。ウェイトトレーニングでとにかく体をいじめ抜くことで、ハードなウエイトトレーニング耐えられる自分に満足(脳を満足させ)させ、筋肉の超回復により筋肉をつけます。しかし、このような筋肉の鍛え方では、農作業のような日々の実労働に耐えられません。

では、日々、農作業をハードな仕事をしている人の身体の使い方はどうか?彼らは、疲れてしまっては仕事になりません。体力・筋肉を温存し、少しでも疲れないような動きを、感覚を通じて体得することで、毎日、農作業に励めるような体を作っています。つまり、鍛え方が全く異なるのです。

日本古来の武術・柔術には、「柔よく剛を制す」という教えがありますが、これも、「しなやかさによって、小さなものが剛強なもの打ち負かす」ということです。このしなやかさとは、体の幹となる「骨」、それを支える「筋肉」をしなやかに動かすということに他ならないのではないでしょうか。

そういえば、著書「究極の持久力」でも…

本書を読んでいて思い出したのが、50歳を過ぎて、世界最高峰の100マイルレースに挑戦するアスリート 鏑木毅さんの「究極の持久力」 。

老いても体に究極の負荷を与え続けるレースへ参加し続けるには、若い時と同じフィジカル強化を行っていては到底勝てるはずがありません。老いても若者に対抗するには、「疲れない体とアタマづくりが極めて大事だ」と力説されていました。

なるほど納得のアドバイスが満載なので、是非、一緒に読んでみられることをおすすめします。

最後に

今回は、甲野善紀さんと松村卓さんの対談本【「筋肉」よりも「骨」を使え!】を紹介しました。

今、トレーニングを一生懸命頑張っているけど、思うような成績が出ていない場合は、本書を参考に「体の使い方」を変えてみることが、現状の突破口になるかもしれません。是非、本書から、ヒントを見つけてください。