【書評/要約】究極の持久力(鏑木毅 著)(★4) 持久力は何歳になってもUPできる!加齢対策・アンチエイジングにもつながる!

歳をとって体力が衰えてきた… 体にガタがきて…

何歳になっても若々しく健康的に生きたいと誰もが願うものですが、避けられないのが「心身の老化」。

そんな悩みに大いに役立つノウハウが学べるのが、鏑木毅さんの著書「究極の持久力」。

鏑木さんは、50歳で世界最高峰の100マイルレースに挑戦するアスリート。体に究極の負荷を与え続けるレースへ参加し続けるには、若い時と同じフィジカル強化ではだめ。アラフォー、アラフィフになっても若者に対抗できる疲れない体とアタマづくりが大事です。そして、これは、見た目の加齢へ対抗策アンチエイジングにもつながります。

今回は、著書「究極の持久力」から、年齢を超えて、戦い続けるために必要な理想的の身体・脳を作るノウハウを学びます。

疲れない身体のつくり方

体質を変える食事法:究極の持久力

歳をとると、筋力や瞬発力の衰えはある程度避けられません。しかし、鏑木さんは持久力は 何歳 になっても向上可能であり、これが疲れない身体と心づくりに大いに役立つと鏑木さんは言います。

「衰え」の兆候は突然、そして明確に

老化による衰えとは、少しずつ緩やかに現れるものだと思っていませんか?

しかしそれは違います。衰えはある日突然、明確なかたちでやってきます。それまで複雑に機能し合っていた個々の能力のバランスが崩れたときに、衰えは一気にやってきます。

衰えのメカニズム

歳をとると、筋量は増やせてもパフォーマンスの低下は止められません。しかし、老いてもなお、高いパフォーマンスを発揮できる体をつくるためには、「衰えのメカニズム」を知る必要があります。

人の体内には、シナプスによる神経細胞や筋繊維のネットワークが形成されています。記憶力UPや頭で考えて行動する場合も、シナプスの結合の強化が必要です。

老いると行動・判断が鈍くなり、パフォーマンスが低下しますが、これを防ぐためにもシナプスのはたらきを活発化させることが大事です。

「筋力」×「持久力」でトータルパフォーマンスを上げる

「いくつになっても筋肉は鍛えられる!筋肉は裏切らない」と言われますが、走ることを例に考えると、筋肉の力(脚の場合は、スピードを含む「脚力」)が、加齢とともに右肩下がりになるのはやむを得ないことです。

しかし、走る能力は脚力だけでは決まりません。パフォーマンスの最大化には「持久力」が必要です。ここでいう「持久力」とは、単なる心肺機能の高さではない、できるだけ疲れず、できるだけ長く動き続けることができる能力のことです。

究極の持久力:トータルバランスが大事

もし、上図のように、脚力の低下分を、持久力UPで補うことができれば、トータルのパフォーマンスはUPできます。高齢でも若い人を押しのけて上位入賞するランナーは2つの力がバランスよく機能しています。

体脂肪が優先的に燃える体質になれば「持久力はUP」

持久力を維持するには、身体を動かし続けるエネルギーが必要です。長距離ランナーの場合、身体に蓄積されたエネルギーを、いかに効果的に活用できるかが勝負を決めます

では、このエネルギー源がどこにあるか?エネルギーの貯蔵庫は、ズバリ、身体についた「体脂肪」。体脂肪を効率的にエネルギーに変えられる=「燃焼効率>」が良ければ「持久力」は上がります。

日常生活でも、体脂肪が優先的に燃える体質に整えることができれば、長時間の労働でも疲れにくく、心身や脳が高いレベルでのパフォーマンスを維持できるようになります。(方法は後述)

体質を変える食事法

体質を変える食事法:究極の持久力

ここまでで「筋力」×「持久力」で若者にも負けない身体が手に入ることはわかりました。一方、身体は年齢を重ねるほど「回復力」を失っていきます。

回復力低下でサビる身体

年齢を重ねると、疲れやすく、見た目も老けてしまう原因は、身体の酸化(サビ)」が原因で体の各機能の回復力が衰えるためです。

人は呼吸をすると、取り込んだ酸素の一部が、酸化力の強い成分「活性酸素」となって体に残ります。これがたまりすぎると細胞や血管の正常な動きを阻害するほか、動脈硬化や生活習慣病、老化などにつながっていきます。

しかし、「活性酸素」は必要悪で、無縁ではいられません。故、アンチエイジング対策はただ一つ、体内に発生した活性酸素の速やかに除去です。

抗酸化に効くアスタキサンチン

活性酸素による酸化を抑える「抗酸化」。これに大事なのは「食事」。「抗酸化作用」を持つ成分をできるだけ体内に満たすことが大事です(運動や生活習慣改善だけでは不可能)。

鏑木さんが、抗酸化作用について研究を続けた結果、出会ったのがファイトケミカルの一種である「アスタキサンチン」 という成分。β─カロテンやリコピンなどと同じカロテノイドの一種で赤色の色素成分です。野菜や藻類、エビやカニなど甲殻類、サケの身、タイやコイの表皮などに含まれます。

アスタキサンチンで疲れない身体に

鏑木さんが、抗酸化対策としての「食事の改善・サプリの利用」により、最初に効果が表れたのは「朝の目覚め」。さらに1か月ほどして、明らかに「疲労感」が和らぎはじめたといいます。

これは身体が回復力を取り戻したということに他なりません。回復力が上がれば、身体の体脂肪の燃焼効率も向上し持久力UPにつながります。これにより、長距離ランで身にまとう脂肪をそのままエネルギーとして使うことができるようになったのです。

抗酸化成分ファイトケミカルを食事でとるには「野菜スープ」

私たちが最も恐れる病気「ガン」も、身体の酸化(サビ)が原因。ファイトケミカルで抗酸化対策することが求められます。
抗がん剤の世界的権威は、著書「究極の野菜スープ」で、抗酸化物質たくさん含む野菜をサラダではなく、野菜スープで毎日食べることを勧めています。病気・アンチエイジングのためにも読んでおくべき1冊です。

体脂肪の燃焼効率が上がると、なぜ、持久力が増すのか

体脂肪の燃焼効率が上がると、なぜ、持久力が増すのか:究極の持久力

この章では、回復力UPで、体脂肪の燃焼効率UPし、持久力が向上する理由を深堀します。

ミトコンドリア活性化が脂肪分解のカギ

体脂肪を効果的にエネルギーにするためのカギを握るのは、私たちの身体の細胞にあるミトコンドリア。 ミトコンドリアは体内でエネルギーを生産するはたらきを持つ構造物で、1細胞あたり100個から2000個程度含まれます。

私たちが呼吸によって吸い込んだ酸素は、血液によって全身の細胞へと運ばれますが、ミトコンドリアはその酸素を使って糖や脂肪を分解し、エネルギーを発生させます。アスタキサンチンはこのミトコンドリアに直接作用し、細胞レベルでの機能向上に寄与してくれます。

脂肪1kgは9,000kcal。対して、糖は1kgで2,500kcal。同じ重さでたくさんのエネルギーを有する脂肪をエネルギー源として活用できれば、長距離ランナーにとってこれほど効率的な仕組みはありません。

筋繊維を強化する「超回復」

人の身体はトレーニングによって高い負荷がかかると、筋繊維が破壊され、いわゆる炎症を起こした状態に陥ります。これが肉体疲労の原因であり、ひどい場合は筋肉痛になりますが、十分な休養を取ると、筋肉は元の状態よりも大きくなります。これが筋力トレーニングにおける超回復の論理です。

アスタキサンチンは、トレーニングの負荷による筋肉のダメージ低いレベルにとどめ、素早く筋肉を回復させることに寄与します。これにより、筋肉の超回復が早まり、アスリートはより密度の高いトレーニングを繰り返せるようになります。

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「低糖」も持久力向上に欠かせない

「低糖」も持久力向上に欠かせない

メタボ・生活習慣病対策に大事な「炭水化物の節制」。、アスリートの視点で見た場合も、日頃から糖類を多く摂っていると、脂肪エネルギーよりも糖エネルギーを優先的に使う体質になるため、低糖生活が求められます。

低糖生活のすすめ

低糖生活を行うには、正しい食事の知識が欠かせません。
炭水化物の含有が少ないのは、肉類全般や魚介類、野菜やきのこ、豆腐、卵、チーズなど。野菜は、毎日とる必要がる食品ですが、実は、炭水化物(糖質)を多く含むものが結構あります。

しかも、白米・パン・白砂糖などの炭水化物は強い中毒性があり、辞めることが難しい。これら食品は食べないことを目指す方が、低糖生活はうまく進みます。この点については、以下の記事を参考にしてください。

低糖質生活を成功させるコツ

脂肪を使う体質が出来上がっていない状態で糖をカットすると、エネルギー不足から
・力がでない
・モチベーションが低下する
・1日頭がぼーっとする
等、さまざまな作用が起こるので、体の状態に合わせて、食事調整することが求められます。

急激な変化に、脳はついていけません。低糖生活のストレスがリバウンドの元となってしまいます。無理をしている感覚をどこまで小さくできるかが、低糖生活を成功させる秘訣です。

例えば,おやつ断ちができないなら、ナッツを食べましょう。ナッツは様々な健康本で優良食材として紹介されています。無塩の素焼きアーモンドはおすすめです。

メンタルに強い〝持久脳〟のつくり方

メンタルにも強い〝持久脳〟のつくり方

スポーツに限らず、ビジネスにも当てはまりますが、どれだけ身体を鍛えても、メンタルが伴っていなければ、求める結果は得られません。メンタル強化も大事です。

心も筋トレのように鍛えられる

何事も結果を出すには「継続」が大切です。鏑木さんは、何かをやり続け、成し遂げられる心のスタミナのある脳を「持久脳と呼んでいます。

通常、負荷がかかるほど、人の集中力や判断力は欠落します。故、心身に高い負荷がかかっていても、脳のはたらきを高レベルに保てる能力が必要です。このためには
❶本当にやりたいと思える、心から楽しめるものに見つけること
❷苦しみに対して鈍感になる「鈍感力」を身に着けること
の2点が大事です。

脳にもコンディショニングが不可欠

肉体疲労に比べ、脳の疲労というのはなかなか自覚しにくいものです。また、気分がハイになっているときにトレーニングに臨むと、自分のコンディションが良いとと勘違いして、身体に負荷を与えすぎてしまうこともあります。つまり、体調を整えるのと同様に、脳のコンディショニングを整えるという視点が大事です。

身体と心、体力とメンタルの改善を図るために最も簡単かつ効果があるのは「睡眠」「食事」です。

睡眠には単に疲労を回復させる効果だけでなく、脳や心をリフレッシュするはたらきがあります。「そんなこと、一晩寝てしまえば忘れるよ」といいますが、嘘ではありません。

また、脳へのエネルギー補給には糖質が欠かせません(脳は体の中で最もエネルギーを必要とする場所)。低糖を優先しすぎて、脳のパフォーマンスが落ると、判断力低下、ケアレスミスの多発、イライラ増で、逆にパフォーマンスが低下します。必要なのはバランスです。

バランスよく体質改善に臨めば、身体の持久力が高まるだけでなく、脳の持久力も上がり、イライラが減少し、心にもゆとりがでてきます。自然とポジティブになれるはずです。

元自衛隊のぱやぱやくんも著書「飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る」で同じことを指摘しています。この本も、身体・心のしなやかな強さを作るのに大いに役立ちます。おすすめです。

さらに、心身の持久力を上げるために

さらに、心身の持久力を上げるために:【書評/要約】究極の持久力(鏑木毅 著)

想定外のアクシデントに弱い「我慢強さ」の足枷

日本人は元来我慢強い国民です。しかし、アクシデントや困難に壁に直面したとき、我慢強さは「足枷」となることもあります。

我慢強さで試練を受け入れそれを乗り越えようとする、突然歩キッと心が折れてしまうことがありますが、これは、「柔軟性」と「対応力」欠けるからです。真正面から受け入れるのではなく、避ける、かわす、考え方を変えるといった手段を取った方がいいこともたくさんあります。

想定外のアクシデントは人生に何度となく起こります。すべてを我慢で乗り切るのは危険です。スポーツで上を目指す場合も、心身両方のコンディションが高いレベルで仕上がってこそ、好記録が生まれます。

勝ち負けの先にあるもの見据えた強さ

トップアスリートの世界では、実力者ほど、周囲を威圧するようなオーラを発していないそうです。鏑木さんはその理由を、単なる勝ち負けを第一に考えているのではなく、その先にあるものにも価値を見出しているからだと分析します。

例えば、トップランナーの場合、タダ走るだけでなく、世界中の人とつながり人生を楽しめるといった考えです。このような考え方、そのものが、強いメンタルにもつながります。

最後に

今回は、鏑木毅さんの「究極の持久力」から、身体と心の持久力を上げる方法を学びました。

人は誰しも老います。しかし、老いても新たなチャレンジができる身体と脳・心(精神力)を持っていれば、何歳になってもワクワク楽しく暮らすことができます。集中力高く、仕事にも打ち込み続けられます。ワクワク暮らすこと=アンチエイジング対策です。是非、本書を手に取って、より多くの学びを手に入れてください!