会社の会議などで、デキるビジネスパーソンが、ホワイトボードにすらすらと問題をまとめる姿を見て、「あんな風になりたい」と尊敬の念を抱いたことはないでしょうか?
どうすれば「よく考える」「深く考える」ことができるのか。
その一つの方法が、「図で考える」というアプローチ。対話によって考えを広げ、深めることが「図を描くこと」の目的であり。身につくと強力な武器となります。
今回は、著書「武器として図で考える習慣」から、「なぜ図を使うと考えが深まるのか」を明らかにした上で、思考の切り口となる効果的な図の使い方について紹介します。
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目次
学ぶ機会のない「深く考える」
職場でも学校でも、「よく考えろ」とよく言われます。しかし、肝心の「考え方」については、親も先生も上司も教えてくれません。受験勉強における「考える」とは、記憶のアウトプット。ググれば手に入る情報です。これは「よく考える」「深く考える」とは違います。
ググれば情報が手に入る今の時代、ビジネスマンに求められるのは、「100%の正解の存在しない問題に対して、いかに答えを出していくか」という本物の「考える力」です。しかし、考える方法は学ぶ機会がないので、多くの場合、極一部のデキる人だけが、幼い時から我流&経験的に「考える力」で身につけ、成長とともに進化させ、ビジネスで活用しているのが実情です。
考える力は「思考のOS」です。覚える知識というより「身につけた技術」であり、一度体得してしまうと忘れることはありません。AI時代にはこの能力が益々この力が重要になります。
図で考えるとは
図で描く場合、文章のようにあまりたくさんの情報を書き込むことはできません。情報は少なくなるのに、なぜ、図で描くスキルは大事なのでしょうか?
図は「現実を抽象化」する
図で描くことは「現実を抽象化」であり、「物事のビッグ・ピクチャー(全体像)を浮き彫りにする」ことです。抽象化されたイメージから構造や関係性を読み解くことにより、骨格を切り出し、現象の裏側にある構造を捉える行為です。抽象化により全体を俯瞰して見ることができれば、視座も上がります。
図は「思考の見える化」
さらに、図は「思考の見える化」です。思考のモレや矛盾、弱点を明らかにしてくれます。
頭で「分かった!」と思っても、多くの場合、その論理は「ゆるい」く、図にすることで、そのゆるさが白日のもとにさらされます。これだけしかわかっていなかったのか…と自己嫌悪にもなりますが、より深く物事の関係性を考えるキッカケにもなります。
図で考えるに必要なのは、紙一枚とペン一本
図で考えるに必要なのは、紙一枚とペン一本のみです。
ビジネスマンがよくやりがちな間違いは、パワーポイントで作図しようとすること。しょっぱなからパワーポイントで図を描くと、「考えること」と「作業すること」の逆転現象が起こってしまうので、使用はNGです。
効率的に考える環境を整えるなら、「薄いマス目のはいった方眼紙」と「書き味のいいペン」。方眼紙は定規なしでもタテヨコの線もキレイに引けるので思考が邪魔されません。思考のリソースを「考えること」だけに使うにはうってつけです。
全体を明らかにし本質を描き出す「ポンチ絵」の書き方
では、どうやったらビッグ・ピクチャーを捉え、大事なもの、本質的なもの、構造や論理を炙り出す「図」が描けるようになるか?
基本となるのは「概念図」と「構成図」です。図といえば「分析図」が多いですが、これは、全体像を見極める図ためのではありません。
「考える範囲」=「影響が及ぶ範囲」
さて、図を描く前に知っておかなければならないのは、「考える範囲」=「問題設定の範囲(ビッグ・ピクチャー)」であり、考えている範囲で答えは変わるということです。
考えている範囲が「広い」のと「狭い」のとでは、答えが 180 度変わる こともあります。問題設定を狭く捉え、間違ってしまうと、どうやっても正解に辿り着くことはできません。その逆もあります。
概念図
概念図は、その図で描くにあたって最も「基礎的」な図です。
□が現状、〇が目標、△が道筋です。四角□は事実(ファクト)、 丸は概念やキーワードと覚えておくとわかりよさそうです。
構成図
構成図は、よく使う「型」を覚えてくと、考えるときの強力な武器となります。まずは以下の4つをマスターしましょう。
❶論理構造を捉える「ピラミッド」 ※MECE(モレなくダブりなく)に注意
❷全体を捉える「田の字」 ※代表がPPM(スター・問題児・金の生る木・負け犬)
❸流れ・動きを捉える「矢バネ」
❹ダイナミズムを読み解く「ループ」
図を書くときは、強調と余白を
図を書き進めるにあたっては「強調」や「余白」が大事です。
特に、余白は新たな気付きのヒントにもなります。何か抜けていないかと、 図を「健全に疑う」ことで、新たな切り口や新たな要素を強制的に思いつくためのきっかけになります。
視野狭窄に陥らないために必要な「ひねくれた目」
全体図を書くにあたって、自分の視野が狭く、全体が書き出せないことがよくあります。このような、視野狭窄に陥いり、新たな視点・視座・視野を持てず、発想が広がっていかない場合の一つの処方箋が「ひねくれた目」です。ものごとを「健全に疑う」ことで、考えが深くなる。そして、「正しい答え」に近づく道がも開けます。
グルーピングして抽象化
「グルーピング(囲むこと)」してみること、新たな切り口が見えると同時に、抽象化が促進されます。抽象化の促進とは、個々の要素の一段上のレベルで、意味ある塊を見つけることです。「囲む」ことによって、一見、こんがらがって見える課題が整理され、問題解決に向けて動き出すことも可能になります。
5つのWhyで「強制深化」
全体像を捉えたら、それを深める(深化する)ことも大事です。その時に役立つのが、〝なぜ〟を 5 回繰り返す「強制深化」 です。ここが怪しいと思うところに「なぜなぜ」を繰り返し、深掘りしていくアプローチを繰り返すことで、それまでと違った切り口を用いることを強いられ、視点が多面的になります。
原因と結果は、時間的・空間的に隣接しているとは限りません。なぜを 5 回繰り返すと、少なくとも異なる視点が 5 つは持ち込まれれ、それが、問題と離れた場所にある真因に私たちを近づけてくれます。
「 Why So?」「 So What?」「 True?」 も考えてみると真意の追及に大いに役立ちます。
「型」を頭の中に蓄積しよう
頭のいい人は、このような考えるために役立つ図のパターン(型)を頭の中にストックし、必要に応じて、引き出しから取り出して利用することで、解を導く時間を短縮しています。
本書にはそのような「型」が、実践的な事例とともに多数紹介されています。
最後に
今回は、平井孝志さんの著書「武器としての図で考える習慣」から、図を描くことで「よく・深く考える方法」「抽象化思考」を学びました。
アマゾン創業間もない頃のジェフ・ベゾスは、紙ナプキンに書きなぐったアマゾンのビジネスモデルの原点となる「1つの絵(ループ図)」を描き、そこから1兆ドルのビジネスを作りだしました。
「考える力」を強化するのに、遅過ぎるということはありません。始めるのに遅過ぎるということはなく、後はそれをやるか、やらないかです。是非、本書をから、そのスキルを学んでみてください。
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