【書評】メモの魔力(前田裕二 著)(★4)

いろいろとメモに関する本を読んできた私Chami(@poststand)。

私のキャパの小さい頭のフラッシュメモリ(記憶)を効率よく稼働させるためにも、第2の脳=外付けハードディスクであるメモに情報を書き出し、頭のメモリを解放し、サクサク動かせる状態を作るためにも、非常に「メモ」は大事だと思っています。

さて、今回紹介の「メモの魔力」は、メモで夢・熱意をビジネスにまで昇華させたIT企業「SHOWROOM」の代表取締役社長・前田裕二さんのメモ指南書。

過去に読んだ「メモ本」は、前田さんがいう1つ目の目的「記憶のためのメモ」の取り方・習慣化をメインに語られたものが多かったですが、本書は2つ目の目的「知的生産のためのメモ」に重きを置いて書かれている点が大きな違い。

メモの取り方も大事だけど、単なる記憶のためのメモを「ファクト」→「抽象化」→「転用」し、何かをなしえるための「行動」につなげていくことがより大事であることに気づかされる良書。メモ中上級者向けにオススメの1冊です。

[スポンサーリンク]

前田さんのメモに寄せるメッセージ

本書のメッセージ

僕にとって、メモは生き方そのものです。
メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。
メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。
メモによって夢を持ち、熱が生まれる。
その熱は確実に自ら動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。

上記は、前田さんが本書に込めた熱いメッセージ。

そんな前田さんが実践する「人生・世界を動かすメモ術」とは?

冒頭に、メモには2つの目的があると述べましたが、以下では、「知的生産のためのメモ」をメインテーマに見てきましょう。

メモで人生を変える

メモがあなたの人生のコンパスを作る

今の時代、何がしたいのかわからない人で溢れています。

そんな人は、以下のような質問を突然聞かれてても、咄嗟に答えられません。
・あなたはどういう人間ですか
・何がしたいですか
・1番大事にしていることはなんですか

つまり、自分のことをよく知らないで生きているのです。

だから、大きな判断を求められると毎回迷ったり、ぶれたりしてしまう。せっかく、「職業の選択が自由になり、自由に生きようと思えば自由に生きられる時代」が到来しているにも関わらず、その与えられた自由で幸せに過ごすことができないでいるのです。

しかし、自分のことがわかると、明確な価値観や死生観に従った、ブレることのない「人生の軸」を指針に生きることができます。このような生き方も、メモで手に入れられると前田さんは言うのです。

メモを抽象化する

アイデアメモも、気づきメモもそれだけでは、単なる気づきで終わってしまいます。
そこで、前田さんが大事だと述べるのが、「ファクト」→「抽象化」→「転用」による「本質の見極め」「具体的な行動への落とし込み」です。

「ファクト」→「抽象化」→「転用」

「ファクト」→「抽象化」→「転用」への流れ

①インプットした(書き留めた)ファクトを元に、
②気づきを応用可能な粒程ほどに「抽象化」し、
③自らのアクションに「転用」する

このように抽象化すると、なんのこっちゃといきなり頭に?マークがついてしまう方も多いと思うのですが、要は、「what、how, why」に着目し、メモで思考を深め、本質を見極める作業こそが大事なのです。

本質を見極める作業(例)

例えば、街で流行っているものを見つけたとしますよね。或いは、自分が素直によいと感じたものを見つけたとしますよね。こんな時、すぐにメモリ、さらに抽象化してみるのです。

例えば、講演会に行った帰りに勉強になったなと思ったとします。

「勉強になった!」と思っただけでは考えが浅い。転用可能のない気づきに過ぎません。このままでは忘れ去られるのがオチです。

そこで一方立ち止まって、「自分はなぜ勉強になったと感じているんだ?」と自分の意識をWhyで抽象化してみるのです。

そして、なぜ良かったと思ったかの考えを書き出しておけば、それがリアルでもネットでも関係なく応用なノウハウとなります。

メモの魔力

ビジネスで役立つ抽象化シチュエーション

ビジネスに携わる方なら、少なくとも次の4項目に対してはwhyを考えて、書き留めてみましょう。

ビジネスで役立つメモ

①世の中でヒットしているもの
②自分の琴線に触れるもの
③顧客からの要望
④社内で起きている問題や課題

このとき、他の分野にも応用可能な気づきを得ようと言うつもりで考えるのがポイントです。

世の中でうまくいってもいるもの「本質」は、他分野への転用が可能です。つまり、このような訓練で、「本質を考える癖」がつけば、ビジネスで成功するチャンスは否応なく高まります。

抽象化訓練のための参考本

前田さんが本章で紹介していた参考本です。

メモで自分を知る

メモの技法を学んだところで、結局「自分が何をやりたいか」ということが明確でなければ意味がありません。

自分の思考・志向・嗜好などをメモで繰り返し抽象化して行けば、「自分」が見え、「自分が望んでいるもの」がわかり、「やりたいこと」も見えてきます。

ここで注意が必要なのは、抽象化で止まってしまうと単なる評論家になってしまうことです。

自分が世界・自分から抽出した気づきから、きちんと具体的なアクションに「転用」、落とし込むことが大事。行動に落とし込めないと、夢が夢のままで終わってしまいます。

しかし、これができれば、夢に向けて後は行動するだけ!自分の日々が、人生が変わっていきます。

なお、巻末には「自己分析1000問(PDFダウンロード)」が掲載されています。

メモで自分を知る

人生の軸がある人は最強

自分というものがメモの整理で見えてくれば、人生のコンパス=軸が見えてきます。

情報があふれて混沌としている今の時代、迷っていない人は最強です。お金のあるなしに関係なく、やりたいことが明確な人は幸せだし、人生を楽しめます。

これからはやりたいことを持っている人が豊かになります。お金がいくらあってもやりたいことや美意識が明確でない人はある意味、不幸です。

今の時代なら、オタクが最強。熱中できるもの、夢中になれるものがある人はこれからの時代とても強いのです。やりたいことがわかっていれば後はやるだけです。

自分にとって普遍の価値観だと感じられるような人生の軸を見つけられたら、それは生涯変わらない可能性が高いです。

メモで夢をかなえる

よく言われることですが、「夢は紙に書く」と以下の理由で現実になります。

①マインドシェア:潜在意識に書き込まれる。
②言霊     :発言することで、いろんなものが巻き込まれて実現

さて、本書では夢を実現しやすくする方法として、「SMART」という有名なフレームワークも紹介されています。

メモの実現を助けるフレームワーク「SAMRT」

メモの実現を助ける「SAMRT」

S:Specific「具体的である」
M:Measurable「測定可能である」
A:Achievable「達成可能である」
R:Related「関連性がある」
T:Time「時間の制約がある」

自分の夢メモを行動する際に、「SMART」というフレームワークを取り入れ考えると、より行動が具体化し、夢の実現に近づけるので、是非、意識してみましょう。

最後に

今回は、著書「メモの魔力」から、「抽象化」→「転用」により、自己を知り、夢を実現する方法をメインに紹介しました。

前田さんはまずメモ習慣をつけるために「形から入ることの重要」と述べていらっしゃいます。モレスキンのノートをお気に入りにして使っていらっしゃるようです。まずは、形からでもいいので始めましょう!

メモ習慣がない方へのオススメ本

全くメモの習慣がない人には、ちょっと難しいかもしれません(「メモ」の魔力の方はメモ中上級者向き)

単純にメモの取り方や習慣化について学びたければ、以下の方がおススメです。合わせてご参考に

本書で紹介した【書評】も合わせて参考にしていただけると嬉しいです。