いつまでも若く、老いても品のある人でいたい―。
このような時、憧れの対象となるのは吉永小百合さんのような「いつまでも歳をとらないように見える人」です。しかし、見た目の老化には抗うことに限界があります。
見た目の美しさ以上に大事なのは、「どんな老人になりたいか」を真剣に考え、意図的に生きることです。しかし、このような考えで「老い」に向き合う人は少ないと、『老いの品格』の著者和田秀樹さんは指摘します。
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どうすれば、70歳、80歳になっても素敵な尊敬される人でいられるか。和田さんは「品のある老人」「賢い老人」「おもしろい老人」がキーになると言います。そしてそれが、幸せに老いるキーでもあります。
素敵で尊敬される老人は、若いうちからの心構え・行動 失くして実現しません。今回は『老いの品格』からの学びを紹介します。
老いることにジタバタしない人には品格がある
今、老いに対するスタンスは大きく2つあります。
アンチエイジング派 | ・いつまでも若々しあることを大事にしたいと考える ・老いとどう戦うかを考える |
反アンチエイジング派 | ・自然に歳をとりたいと考える ・老いを受け入れる |
「老いと闘える」うちは闘う
老いと闘うか。受け入れるか-。
これを二項対立で考えるのはよくありません。老いに抗い過ぎると、神経質になり、また、美容・健康にお金をかけすぎることになります。一方、最初からあきらめていては、若くして老け込みます。
「老いと闘える間は闘い抜く」。つまり、「老いと闘うこと」から「老いを受け入れる」へ、徐々にシフトするのがベターです。
85歳を過ぎてくると、どれほど食生活や運動を気をつけても、認知症や生活習慣病の症状は現れます。ただし、同じくらい脳が萎縮していても、すっかりボケてしまう人と、驚くほど頭がしっかりしている人がいます。この差を生むのが「生き方」です。
老いを受け入れる
「老いを受け入れる」とは、あきらめるということではありません。
できないことはあきらめて、できることをやる。認知症や歩行困難になったら、「なったなりに生きていく」という発想が大事です。できなくなったことを悲観するのではなく、できることを大切にして、それを活かしていくという考え方です。
その発想がもてないと、そこから先の人生は生きる価値がないという考えに行きつきます。
逆に老いを受け入れば、できないことをあきらめられる分、できることを慈しみ、それをもっとやってみようという意欲もわきます。
車いす・おむつ・公共介護サービスは上手に活用しないと損!
老いを受け入れられず、結果的に損をしている人も少なくありません。例えば、尿漏れパッドやおむつ、補聴器、車いす、さらに介護サービスです。
便利なものは素直に受け入れれば、できることが増やせます。拒否するより、「トイレのことでやきもきしたくない。おむつを使ってみるか」 「家族とずっとしゃべっていたいから、補聴器をつけてみよう」 そんなふうに素直に考えられれば、人生前向きになれます。
他者に依存することを赦しましょう。どうしたら人に頼らなくてすむかを考えるのではなく、人に頼るかわりに自分は何ができるかを考えることを考えましょう。
いつまで老いと闘う?その目安
自立した生活が送れる期間「健康寿命」は、男性がおよそ72歳、女性がおよそ75 歳です。この年齢を「老いと闘える時期」では、老いとの闘いをやめるにはちょっと早すぎます。80歳を一つの目安として、その年齢になってもまだ頑張れそうなら、85歳に延長すると考えると、気持ちが少し楽になります。実際、85歳で普通の生活を送れる人は多いそうです。
老いの品格に大事なのは「余裕」
老人に限ったことではありませんが。「品」「品格」には「余裕」が必要です。お金持ちが、生き方にも、身のこなしにも品があるのは、そのベースに「余裕」があるからです。
余裕を持つためには、死・病・お金がないといった不安に振り回されすぎないようにすることが大事です。
心配に振り回されない
病や死は避けられませんが、死を除けば、不安の9割は起こりません。取り越し苦労です。実際に不安と感じていたことが起こっても、恐れていたほどではなかったことが大半です。
心配なら調べよ!備えよ!
日本人がストレスを抱えがちな理由に、まだ現実に起こっていないことに対する「予期不安」が強いことが挙げられます。しかし、おろおろ心配して心を痛めるするばかりで、実際にそうなった場合の対策を立てていない人が大半です。
・ガン検診はしょっちゅう受けるのに、ガンについて知らない。どの病院に行くかも決めていない
・ボケを心配しながら、認知症がどのように進行するかしらない。
いざ、認知症になったときにどのようなサポートが受けられるか知らない
・不安だからと、薬を何種類も飲んでいる
大事なのは、不安を不安で終わらせず、もしそうなったらどうなるのかを調べることです。そうすれば、不安が「問題」「課題」に変わり、対策ができます。また、根本解決はできなくても、どうするか決めておけば、いざそうなったときも、おろおろせずに済みます。
病と共存する
認知症もがガンもすぐに進行するわけではありません。「いま、まだできることは何なのか」に目を向け、それを大事にするほうが、意味があります。
病気に関しては、お医者さんにいわれれるままに、薬を取り入れることがいいこととも言えません。長期にわたって飲みつづける薬は、一時飲む風邪薬などと異なり、不可逆的な副作用を起こ確率は高まります。毎月多くの薬代がかかって言えるなら「ラクになるなら飲む、飲んでいても利いているか実感できないなら、医者に伝えて上でやめる」なども一つの策です。
孤独を恐れず、好きに生きる
「孤独」「孤独死」も大きな不安材料の一つです。しかし、これも心配しすぎると不幸になります。
仮に、要介護認定となった場合、ほぼ例外なく何らかの福祉サービスとつながることができます。日常的に支援が行われるので、たとえ孤独死したくてもできません。自殺などのケースを除けば、孤独死は、「ピンピンコロリ」、すなわち直前まで寝たきりにもならず、元気に生きて最期を迎える理想的な死に方とも言えるのです。一人で生きることを有意義に楽しみましょう。
お金や肩書に執着しない
「老いの品格」には「余裕」が大事と述べましたが、余裕を感じられない老人の典型が「頑固」です。歳をとると「思考の硬直化」が進み意固地になりがちです。特に大事なモノには「執着」しやすくなりが、これが顕著に表れるのが「お金」と「肩書」です。「お金」は生きるため、「肩書」は周囲が満たしてくれない自分の尊厳を守るために大事だからです。
歳をとるとお金は思うほどあてにならない
若者は、いろいろなモノを手に入れたいと思うのが当たり前です。しかし、歳をとると「お金で手に入れられる欲しいモノ」は激減します。
確かに、「お金がある」ことは人を引き寄せますが、お金があるからといって必ずしも人が寄ってくるとは限りません。高齢✕ドケチな人には、人は寄り付きません。歳をとっても人が寄ってくる方は、必ずお金以外の魅力を持っています。
高齢者は、お金があれば周囲の人が言うことを聞いてくれると思っている節があります。しかし、実際はそうでもありません。場合によっては、子どもがお金の使い方・管理に口を出し、自由に使わせてもらえなくなることもあります。認知症で成年後見人がつくことにでもなれば、自分で財産を処理する権利を完全に失います。
ありきたりな説教はしない
老人が嫌われる理由の一つが「説教」です。確かに、老人は経験を積み重ねた「経験値」がありますが、時代の変化が激しい時代、その経験がそのまま通用するとは限りません。
「経験値・知識」を加工する能力がないと、若者に説教したところで通用しません。嫌われたり、相手は過去の栄光にすがる老人を哀れに思うだけです。
自分の自尊心を保つために過去の栄光をひけらかすのは哀れなだけ。「だてに歳は取っていない」と思われる老人になることが大事です。
しかし、「みんなはそう考えているかもしらんけど、こうなんやで」と、誰とも違う見方ができるユニークな意見をアドバイスできれな、人は耳を傾けてくれます。そこには人生の経験者が持つ「人間味」や「オーラ」があるはずです。
親しみや尊敬を持ってもらえる人に
目指すべき、理想の高齢者は、慕われ、自然に真似される人。 「あんなふうに生きたい」と思われる人です。
若いうちの仕事は、多くの場合、お金や出世が目的です。しかし、年金生活者でほそぼそと暮らせるなら、「自分にとってやりがいのあることを仕事」に持ちたいものです。自由にやりたいことをして働き、人の役に立てれば、人はおのずと輝きます。そうすれば、人にも慕われるはずです。
消費者として、日本に貢献する
日本は、お金をもっているのに使わない高齢者がたくさんいます。いま、日本の個人金融資産は2000兆円超にのぼり、そのうちの実に7割は 60 歳以上の人たちが持っています。
しかし、老後を不安に思い、使うことをせず、貯めることに執着する人生は不幸せです。お金は死んだら持っていくことはできません。高齢者が最も日本に対して貢献できることは「お金を使うこと」です。
私は「ZERO TO DIE」を読んで、資産を残さない生き方をしようと決めました。私の生き方戦略は以下の記事で紹介しています。
お金を残すより、「自分の名前を残す」「自分をしのんでくれる人を残す」-。
考えをシフトしましょう。
素敵な老人になるには
若いうちから経験を積む
高齢者は固執すると思われがちですが、人生経験を積んだ素敵な高齢者は、自分の意見にあまり固執しません。
それは、長く生きていると、「こう思っていたけど、実は違っていた」ということを何度も経験しているからです。 世の中にただ一つの正解といえるものはそんなにありません。経験を積んだ人はそれを知っています。
自説にこだわる人は、自分のモノサシだけでしかものが見ていないので、「実は違っていた」ということにすら、気づかないでいます。
現代人は、人間性が小粒化、つまり、「人としての器」が小さくなっていますが、それは私たちが極めて狭い世界・狭い価値観で生きているからです。広い価値観に出会うためにも、経験が多い人生を送りましょう。
やってみなければわからない
なまじ勉強している人に限って、試す前から答えがあるかのように考えがちです。これでは、見識は広がりません。
チャレンジすればするほど、失敗もします。しかし、失敗こそ成功の元。博打のような、失敗したら立ち直れないようなは事態だけ、避ければいいのです。そして、最後に笑えればいいのです。
長く生き延びるということは、ずっとチャレンジの機会があるということ。
高齢になることの大きなメリットの一つは、世俗の価値観から自由になろうと思えばなれることです。
人生のピークは、この先にある。そう思うことができれば、高齢期に入ってからも、人生は楽しめます。
感情は豊かに。愛される「かわいげ」を持とう
高齢になると、脳の前頭葉の萎縮により、感情のコントロールが利きにくくなります。
喜怒哀楽などの感情をつかさどる大脳辺縁系の老化が進むため、思考の幅が狭くなり、不安に振り回されやすくなり、お金に対する執着心が強くなります。また、落ち込んだ感情のままでいると、マイナスのループが働き、さらに前頭葉の萎縮が加速します。こうして、みっともない老人になるケースが多いそうです。
楽しいときは楽しみ、おかしいときは笑い、政治などで腹の立つことがあれば怒り、不安なときはそれを人と共有することが大事です。
好かれる高齢者は、どこか「かわいげ」を持っています。感情が豊かで、ときにネガティブな感情を出しても、「あの人は憎めない」と思ってもらえます。私は、尊敬より、かわいげのある高齢者を目指したいです。
最後に
今回は、和田秀樹さんの「老いの品格」からの学びを紹介しました。
結局、若い時からの生き様の集大成が「老後」です。素敵に老いるには若い時からの、よい思考・よい行動を積み重ねることが欠かせません。
老後は先と思わず、今を素敵に生きられるように、努めたいと思います。
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