【書評/要約】一生お金に困らない山投資の始め方(永野彰一 著)(★3.5) 情報をいかに儲かるビジネスに変えるか?儲けのヒントが学べる1冊

山投資-。山を購入し、管理不要で、そこに建つ電柱や送電塔から「敷地料」で稼ぐ

著者の永野さんは、30歳前半で日本全国に数百の「山」を持つ不動産投資家。電柱1本あたりの収入はわずかですが、電柱の本数が増えれば利益になるという投資方法です。そして、様々な山投資を経験することで、山所有者の実情を知り、売り主からお金をもらって山を引き取る投資も行っています。

お金をもらって山を引き取るなど、常識では考えられない方法ですが、背景を知れば、そこに投資のチャンスがあることがわかります。しかし、もとではかからずとも簡単な投資方法ではないことも事実です。

むしろ、本書で学ぶべきは、行動力、そこから獲得する知識で次々と「ブルーオーシャンな投資先」を探していくバイタリティ・ノウハウです。「これは無理…」と自分で「不可能の壁」を作るのではなく、思考力・行動力・人脈力で様々な角度からの「儲けのチャンス」を見出すノウハウが学べます。

今回は、永野彰一さんの「一生お金に困らない山投資の始め方」からの学びを紹介します。

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山投資とは

山投資とは:【書評/要約】一生お金に困らない山投資の始め方(永野彰一 著)

安く、あるいは、お金をもらって引き取るのが永野さんの「山投資」です。このビジネスは、いかにして生まれたのでしょうか?

山の処分に困る山所有者

日本の国土の7割は山林です。その約7割を個人が所有していますが、これら山の個人所有者たちの多くが、その処分に困っています。その理由は、大きく分けてふたつあります。

山所有者が山を売りたい理由

❶山の持ち主の高齢化と相続
❷増え続ける自然災害を恐れて「山を持っているリスクを回避したい」 と考える人の増加

親から相続した家・土地が、「高値で売れる」というのは、一部を除けば、過去の常識。

資産価値が低いにも関わらず、固定資産税などが発生し年間収支としてはマイナス。また、物件によっては、権利関係がぐちゃぐちゃでどうにも手が付けられなくなっている物件もあります。❶には、そんな、実際に親から山を相続したものの、その対処に困っている方も含まれます。

永野さんは、たまたま、不動産投資の一つとして「戸建て物件」の購入を検討していた時に、その事実に気が付きました。そして、永野さんはこの事実(情報)をチャンスととらえ、「儲かるビジネス」を作り上げたのです。

山を所有してみてわかった「山投資の魅力」

永野さんの山投資は、偶然と経験の積み重ねによるノウハウの蓄積です。実際に山を所有して、山に建てられた電力会社やNTTの電柱や送電塔から「敷地料」で稼げることを知ったことが、山投資を加速させました。

電柱敷地料(年間)による利益

山林 :200円
宅地 :1m500円
田畑 :1,700~1,900円
送電塔:貸した面積で計算

土地は「課税標準額」が30万円未満なら固定資産税はかかりません。この程度の価格なら土地購入に金融機関から融資を受ける必要もありません、そこに、普通は邪魔となる電柱があれば200円×本数の収入になるわけです。

この山投資も元々は、アットホームの不動産情報サイトに掲載されている山の物件情報の検索から始まったそうです。しかし、永野さんがすごいのは、片っ端から連絡を入れ、その後のコンタクト含めて、「人が売りたがる物件を買ってくれる人」として認知を高めることで自分の付加価値を作り、今では、該当物件がある際に不動産屋から連絡が来るようなネットワークまで構築している点です。

山投資:成功のポイント&注意点

山投資:成功のポイント&注意点:【書評/要約】一生お金に困らない山投資の始め方(永野彰一 著)

利益を生むのはこんな山。山投資の6つのポイント

今後、利益を生み出す可能性を持つ山として、永野さんは以下のような山を挙げています。

利益を生むのはこんな山

❶近くに道路がある
❷集落と集落、町と街の間にある
❸タケノコ、マツタケ、山菜などすぐ売れるものが収穫できる
❹上質なスギやヒノキなどの樹木が生えている
❺水源がある
❻道路がなくてもグランピングなどに活用できる

山を買う前にチェックしておくべき注意点

山の売買には、宅建のような免許資格が必要なく、仲介手数料の規定もないため、手数料は決まっていません。ほとんどが仲介業者の言い値です。
永野さんは、後々のトラブルを回避するために、山を買う前に確認しておくべき12の注意点を挙げています。

山を買う前にチェックしておくべき注意点

❶現地の確認は住んでいるか
❷地籍調査は終わっているか
❸境界線は明確になっているか
❹土地の用途は何か
❺規制や条件とはあるか
❻通行できる道はあるか
❼インフラ(電気、水道、ガス)の整備状況は
❽管轄の林業組合はどこか
❾販売価格はいくらか
❿契約手続きのスケジュールは
⓫支払いと当期の手続きは
⓬登記後の維持費はいくらか

その他、民家の近くに大きな大木がないか、山にある道に急傾斜地が面しているような場合「擁壁」があるか、住宅地に近い山を買う場合はご近所の目などにも注意が必要であることを付け加えています。これ以外にも山投資にに関する注意点は色々とあります。詳細は本書にてご確認を。

山王流・投資成功の絶対法則

山投資とは:【書評/要約】一生お金に困らない山投資の始め方(永野彰一 著)

本書を読んで感じるのは、山投資に限らずビジネス・投資にに必要なのは、お金ではなく「行動力」✕「着想力」✕「人脈力」だと改めて考えさせられる点です。本書からは、お金がなくても投資で成功するための思考・行動が学べます。

ビジネスで大きく稼ぐための「着眼点」

ビジネスで大きく稼ぐには、情報をもとに新しいビジネスを見出す着眼点が必要です。永野さんは、このような着眼点を育てるために、以下のような点を大切にしています。

「着眼点」を高めるには

①アイデアは話を「聞く」ことから生まれる
②自由な発想は「未経験」から生まれる
③「経験しながら学ぶ」から成長が速い
④「どんな山でも引き受ける」から依頼が来る
⑤差別化を図り「ブルーオーシャン」を創り出す

自分で考えているだけではビジネスは思いつきません。「誰のどんな話でも聞いてみる」ことが大事です。そして、準備などに余計な時間を掛けず「何でも試してみる」✕「経験しながら学ぶ」ことからビジネスは始まり、成長が加速されます。ここに経験は必要ありません。未経験でトライするからこそ、過去の経験と結びついて新しいアイデアが生まれます。現場の最善で自らビジネスを経験することで、経営感覚もつきます。そして、「ビジネスが回る」→「お金になる」→「勉強もできる」→「経験値が付く」 というサイクルを生むことにつながります。

「自分のレベルより一つ上のことを学ぶ覚悟でビジネスを行うこと」、「自分の強みを差別化ポイントとしてビジネスを行う(人ができないことがやる)ように心がけること」が大事です。ビジネスパートナーに、他の人と明確に差別化できる「価値」を提示することができれば、ブルーオーシャンでビジネスが展開できます。

成功するための「時間」と「人脈」の作り方

永野さんのビジネス成功には「人とのつながり」が非常に深くかかわっています。

ビジネスにつながる人脈形成

①電話は絶対に出る。直接会って話す
②「肩書」は本当に邪魔
③人脈とは「困った時に頼りたいと思える人」のこと
④「人を助けられるようになる」とビジネスが回り始める
⑤人にアドバイスする時はそれに見合うものを付ける

とにかく対面でのコミュニケーションを大事。そして、「困った時に頼りたいと思える人脈」を大切にしています。これは逆に言えば、人が困っている時に「助けてあげられる人」だけが人脈になり得るということです。

「人を助けられるようになる」ためには、自分を磨き続ける「自分への投資」が必要です。そして、なんだかんだ言っても、最も人を寄せ付けるのは「お金」です。その「お金を回す」ことができるようになれば、自分では想像もしなかったビジネスが、猛スピードで動き始めます。そのためにも、「着眼点」「金銭感覚」を研ぎ澄ませていくことが大事になります。労力をつぎ込むことは大事です。

最後に

今回は、永野彰一さんの「一生お金に困らない山投資の始め方」からの学びを紹介しました。

投資に限ったことではありませんが、結局は、「やるか」、「やらないか」-。

「お金がない」、「知識がない」、「経験がない」、資産形成を阻む「壁」はいくらでもあります。しかし、考え方次第で「壁」はなくなります。まずは、投資・ビジネスにかかわらず、動き出しましょう。そうすれば、「何か」が動き始め、自分を未知の世界に連れて行ってくれます。