【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4) 自己肯定感を上げ下げするものの正体を知り、ブレずに幸せな自分を育てる方法

自己肯定感が低いことで知られる日本人。対して自己肯定感が高いのが米国。特に、次々に世界を変えるビジネスを生み出してきたシリコンバレーの住人たちは、高い自己肯定感を持っています。

人生で一番長い時間を一緒に過ごすのは、紛れもなく自分自身。自分はダメだと思って生きるか、自分には可能性があると思って生きるかで、全く違う人生となるのは明らか。つまり、自分は自分自身の「最大の敵」にもなれば、「最大の味方」にもなります。そして、最大の味方とするために必要なのが、「自己肯定感」です。

今回は、宮崎直子 著『鋼の自己肯定感』から、折れることのない「真の自己肯定感」を手に入れる方法を紹介します。読むべき良書です!

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なぜ、自己肯定感が大切なのか

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

あなたの今は、あなたがこれまでに下してきた無数の判断の結果です。自己肯定感が高いか低いかは、判断に大きく影響します。

自己肯定感が低いと「べき思考」になる

自己肯定感が低い人は、「こんな私だから〇〇でも仕方ない」とどこかで思っています。自己肯定感が低い状態で下す判断では、自分がやりたいことより、他人・組織・社会のルールが優先されます。「しなければならない」という他人軸が判断のベースのです。その結果自分が本当にしたくないことでも妥協・我慢をする、自分に嘘をついた人生になります。

一方、鋼の自己肯定感を持った状態では、自分の心の声、自分にとっての心地よさが判断のベースです。自分にとってベストで判断するので、人生の可能性は広がっていきます。

鋼の自己肯定感を手に入れるために大事なこと

宮崎さんは、鋼の肯定感を手に入れるためには、「ありのままの自分を無条件に受け入れ愛すること」「自分が常に世界一の親友であること」が大事だと述べます。

例えば、革新的なサービスを次々と生み出すシリコンバレーの住人はなぜレイオフされてもさほど落ち込みません。それは、「仕事があろうがなかろうが、自分は自分。時間ができたなら、旅行に行く・学校に行く・起業する。今までできなかったことができるちょうどいい機会だ!」と、自分を「存在レベル」で肯定しているからです。

このような考えができるのは、育ち方・環境が大きく関わっています。米国では、IQが低かろうが、家庭が貧乏であろうが、幼稚園時代から「私は、これが好き」「私はこういう人なの」と、堂々とありのままの自分をアピールする環境で育ちます。皆、違っていることが当たり前で、「他人軸」ではなく「自分軸を育てる」ことを小さい時から学んでいます。

価値観の異なる様々な人種・民族の方の間で育つ影響も大きいです。そこでは、いわゆる「常識」というものがありません。「自分らしく人生を謳歌する」という人生の本質から見た時、「常識」は実につまらないものです。自分を常識で縛らないことは非常に大事です。

これからの時代、特に大事な自己肯定感

自己肯定感を育てるために大事なこと。それは、「自分はどう考えているのか」を言葉にし、堂々とアウトプットして、ありのままの自分を自らを肯定する経験を重ねることです。

ググれば済む今の時代、知識を覚える重要性は低下しています。必要な力は、「情報に触れたときに、自分はどう思うのか、自分はどう解釈するか考え、発信する力」です。

しかし、日本の教育制度はいまだ「詰め込み」がベース、しかも、幼少期より「自分の考え」以上に「ルール」を意識して生きるように躾られます。これでは、自己肯定感が育つどころか、ともすると、自己否定につながります。

自己肯定感に関する間違い

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

では、どうしたら、自己肯定感を上げられるのか?それより前に、多くの人が陥りやすい間違いを理解することが必要です。

自己肯定感は、自己有用感、自己効力感と一緒にすると危険

自己肯定感に関する最大の間違いは、自己肯定感を自己有用感、自己効力感と一緒にしてしまうことです。

自己有用感:「自分は誰かの役に立っている」という気持ち
自己効力感:「自分は何かができる」という気持ち

自己肯定感で大事なのは、自分が役に立つとか、何かができるといったことではありません。

自己肯定感の低さを無理に埋めようとすると、行き着く先は地獄

自己肯定感の低さを埋めようと、自己有用感だけ高めようとする=何とか人の役に立とうとすると、行きつく先は「自己犠牲です。

同じく、自己効力感だけ高める=自分は何かができるとの思いを強くすると、この先にあるのは、「他人に対する自己犠牲の期待(要求)です。これは、「自分はやりたいことも我慢しているのだから、あなたも同じようにしなさい」という押しつけです。結果、益々、状況は悪化します。

自己肯定感と自己中。何が違うのか

大事なのは、「ありのままの自分を愛すること」です。何一つ自分でできない生まれたばかりの赤ちゃんに親が抱くような「存在そのものに対する愛」です。

「ありのままの自分でいること」を、人によっては「自己中」と感じる人もいるようですが、これらは根本が違います。その違いは「愛」と「恐れ」のどちらがベースにあるかです。

人の心は突き詰めれば、「愛」か「恐れ」のどちらかです(嫉妬や怒りは、恐れの派生したもの)。自己中な人は、心の中が「恐れ(嫉妬、怒りも含む)」に満ち溢れています。

自己肯定感を上げ下げするものの正体

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

揺るがない自己肯定感を手に入れるには、自己肯定感を上げ下げしているものの正体=要因を突き止め、根本から改善しなければなりません。

自己肯定感を上げ下げする4要因と対処法

自己肯定感を上げ下げするもほな4つあります。その4要因と対処方法は、次のようになります。

要因❶他人からの評価

他人があなたに下す評価をコントロールできません。他人からの評価を気にしないと決意し、また、言葉の暴力を浴びせてくる人とは付き合わないことです。

要因❷他人との比較による自己評価

他人と比較する必要はありません。そこには、あなたやあなたの所属するグループが持つ「常識」にも大きく関わっていますが、その常識が最良な基準であるわけではありません。それは、一つの見方に過ぎず、時代遅れな価値観かもしれません。

要因❸失敗と成功

人は自分の失敗と成功で自分自身を評価しがちです。しかし、失敗は成功への通過点と再定義し、自分の可能性を信じ、「成長マインドセット」を持って生きればいいのです。
人の目を気にしたり、失敗を恐れたりせず、可能性を信じて、挑戦する。このような成長マインドセットへ転換できれば、次々に新しいことに挑戦して、自分を成長させていくことことこそが、人生の喜びになります。

要因❹不測の事態

人生には不測の事態(災害、病気、事故など)が必ずやってきます。嘆き続ければ、人生は辛くなるばかりです。こんなときに行いたいのは「リフレーミング」です。

リフレーミングとは、事象をポジティブに捉え直して、受け止め方を変えることです。試練は「自分の人生に必要だから起こった」ととらえ直して自分を建て直せば、ある時、「試練は成功に必要なピースだった」と腹落ちするときがきます。

以下の小説は、自分の人生に起こることは、すべてつながっていること、人は、「人生のピース」を集めながら成長していくことを教えてくれる良書です。

自分を無条件に愛することを妨げている条件

さらに、自分を無条件に愛することを妨げている条件もたくさんあります。

■ 見た目(顔、髪、身長、体重など)
■ 学歴、仕事、キャリア、貯金額、収入
■ 友達の数、人気(フォロワー数など)
■ 家族、親戚、パートナーの有無
■ 才能、能力、性格、習慣、行動
■ 過去、現在の自分への気がかり

鋼の自己肯定感を手に入れるには、これらの条件がそろわない自分はダメな人間といった考えを手放していく必要があります。まずは もう一度このリストを見て、自分の中でどの条件が手放せていないのか確認しましょう。

鋼の自己肯定感を鍛える「言葉」「思考」「行動」

自己肯定感を鋼のようにゆるぎないものにするには、「言葉」「思考」「行動」の3つを変えることが大事です。以下では、これらをどのように変えて行ったらいいのか、そのコツを見ていきます。

鋼の自己肯定感を手に入れる【言葉編】

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

自己肯定感UPの最初は「言葉」です。ではなぜ、言葉が大事なのか。

例えば、騒々しい中でも自分の名前が聞こえるように、自分がフォーカスしている情報は次々目や耳に飛び込んできます。これはつまり、心配・不安ばかりが頭を占有していると、次々に心配・不安になる情報が飛び込んでくるということです。だから、これをポジティブに逆転して、良いことがどんどん目・耳に入ってくるようにする必要があります。

この意識チェンジに大事なのが「ポジティブな言葉」です。主語を「私(I am)」にして、現在形または現在進行形で、次のような肯定の言葉を発し、ポジティブな自分にフォーカスします。願望ではなく、あたかも現実のようにイメージをしながら、にっこり笑顔で言うのがポイントです。

例)私は自分が大好きです。私はついています。私には無限の可能性があります。 等

これは自分に嘘を発しているわけではありません。「未来の自分を先取り」です。これを、最低 3週間は続けましょう。(3週間は一般的に習慣を変えるために継続が必要とされる期間)

上記ワークは、最初の初歩です。本書には、これ以外にも、「言葉の使い方」について、様々なワークが掲載されています。

鋼の自己肯定感を手に入れる【思考編】

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

「言葉」の次は、「思考」です。本書ではいろいろな思考の転換方法が紹介されていますが、大事な3要素を、私なりに3つ挙げると「許容」「赦し」「感謝」です。

他人も自分もを受け入れ、赦す

世の中には人の幸せを妬み、腹いせで言葉で傷つける人がいます。なぜ、このようなことをしてしまうかと言えば、当の本人が不幸で傷ついているからです。毒親などもその典型です。

怒り、恨み、自己否定という負の感情は、ウィルスのようなもので、まず最初に身近な人に感染。世代を超えて感染します。これに気づけたなら、やるべきことは、「負の連鎖をあなたが断ち切ること」です。

罪を憎んで、人を憎まず。行為は許さないが、人は赦し、受け入れる。そして、人の幸せも願う

この許容・赦しができれば、怒り、恨み、自己否定から解放されていきます。

わが身に降りかかった不幸も、考え方を変える(赦す)

試練がわが身に降り注いだ時に「なぜ、私に!(ゆるせない!)」という怒りがこみ上げることもあるでしょう。このような時は、上述したように、「試練はよりよき人生のために与えられたのだ」と思考を転換する方が、ラクに生きられます。

世界・宇宙を愛し、感謝する

人の幸せを素直に願えようになると、「世界・宇宙を愛し、感謝する」することもできるようになります。それは、偉大な力の存在が、自分を守ってくれると気が付くからです。

人は太古より、人類を超えた偉大な力を、天、宇宙、神、運、自然 といった言葉で表現して、敬ってきました。感謝し、自分らしく生きられれば、自己肯定感は大いに高まります。「怒りの感情」も格段に減り、心から幸せをありがたく感じられるはずです。

毎日感謝できることを10個書き出し、その感謝の理由を具体的にして「ありがとうございます」と唱えましょう。唱え終わったころには、自分はなんてラッキーなんだろうと主べ、自己肯定感も揺るぎないものになります。

鋼の自己肯定感を育てるための「行動」のワーク

【書評/要約】鋼の自己肯定感(宮崎直子 著)(★4)

ここまで、自己肯定感の高め方・考え方は頭で理解できても、実際に行動に移すことができなければ、現実は変わりません。むしろ、学べば学ぶほど、理想と現実が乖離 してしまい、苦しくなります。

ポジティブループを回す

行動できない原因は、様々ありますが、大事なのは「明確なビジョン」と「段階的な小さなゴール設定」の見える化です。以下のポジティブループが回せるようになりましょう。

■行動のポジティブループ
明確なビジョン → 明確で最小限のゴール → 達成できる自信 → 最大限の努力 → ゴール達成 → 達成できる自信が確信に → ほんの少し上のゴール → さらなる最大限の努力 → ループを繰り返して最終的にはビジョンに到達

明確なビジョンがない=何がしたいかわからないとき

明確なビジョンがない=何がしたいかわからない方は、素直な気持ちで、自分に嘘をつかずに「したいこと、したくないことリスト」を作りましょう。

①したくてしていること
②したくないのにしていること
③したいけれどしていないこと

これを、数日ごとに3日分、書き留め、3日分のリストを見比べましょう。3日分とも、同じ内容が含まれているなら、それは、ホントに大事なことです。
特に注目すべきは、②と③の項目。これらには、あなたの心のブロック、あなたが自己肯定感を育てることを妨げている条件が隠されていることがあります。②はなぜやめられないか、③はなぜしたくてもできないのか、その理由を突きとめましょう。

簡単に自己肯定感を上げられるのは「運動」

運動は簡単に自己肯定感を上げるいい方法です。軽い運動をすると幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやエンドルフィンという脳内物質が分泌されます。セロトニンは精神を安定させたり、頭の回転をよくするなど脳を活発にする物質。エンドルフィンは気分をリラックスさせる物質です。これは自己肯定感・ポジティブ思考にも直結します。

私もこの効果を実感しており、ジムに行くのが楽しい。運動の種類を変えれば、脳にも様々な刺激を与えられます。私の場合は、ダンスで気分をアゲアゲにし、格闘系エクササイズで闘争心をメラメラさせ、ランニングマシンで耳読をし、サウナとお風呂で極楽な気分を味わっています。

最後に

今回は、宮崎直子 さんの『鋼の自己肯定感』から、折れることのない「真の自己肯定感」を手に入れる方法を紹介しました。

全ての人は幸せになるために生まれてきます。苦しむために生まれてきたのではありません。
過去に何があっても、今どんな状態でも、何ができても、できなくても、あるがままの自分を無条件に受け入れ、みんなで幸せになりましょう!