【書評/要約】つまずきやすい日本語(飯間 浩明 著)(★4) ~会話の行き違いはなぜ起こる?誤解しない・させない、今日から役立つ実践的学びの書
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人は何歳になっても、ことばでつまずきます。ことばが原因でとんでもない勘違いをしたり、人とすれ違ったり、人を傷つけたり、傷つけられたりを繰り返しています。

なぜ、私たちはことばでつまづくのか。著者の飯間さんは、さんざん考えた回答は、「ことばからつまづきの要素を取り払ったら、ことばは実用に耐えなくなる」です。

ことばは時と場合に応じて変化します。そして、時代に合わせてたくさんの言葉が生まれ、廃れていきます。ことばには「絶対的な正解」はないけれど、ことばという道具をなるべく失敗しないように使う方法はあることはいろいろある!いろんな気づきをたっぷり味わえる、日常生活で即役立つ1冊です。

今回は、飯間浩明さんの著書「つまずきやすい日本語」からの学びをポイントを絞って紹介します。

1月末まで:まもなく終了
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言葉は変化する、絶対的正解はない

【書評/要約】つまずきやすい日本語(飯間 浩明 著):言葉は変化する、絶対的正解はない

本書から学ぶにあたって大事なことは、「つまずきやすい日本語」であって、「間違いやすい日本語」ではないという点です。
私たちが日常生活で使うことばには「これを使えば、常に正しい」という「絶対的な正解」がないからです。

ことばの本質

ことばは常に変化するものです。流行語大賞に見られるように、毎年、新語・流行語が生まれ、廃れていきます。また、従来からの言葉ですら、新しい意味が加わり、従来の言葉の方が古くて失礼になったりすることもあります。

ことばは、変化することこそが本質」です。変化をむりやり止めると、ことばは死んでしまうのです。

世の中は常に変化しています。既存の言葉だけでは、新しい変化を表現するのは困難です。そこで、既にあることばを少しずらして表現されたり、新しい言葉が生まれたりします。つまり、1年前のあなたと、今のあなたでは、使うことばは変わっているのです。

変化はあらゆる部分で起こる

言葉の変化は、あらゆる場所で起こります。「ウザイ」「ハンパない」などといった俗語だけではありません。

例えば「かける(掛ける)」といった動詞も変化します。例えば、資料をコピー機にかける、アイロンをかけるなどは、これらの道具がなかった時代には存在しなかった使い方です。このように一般的に使われる「動詞」も意味が変化するのです。

国語辞典を見ると、ひとつの項目にたくさんの意味が並んでいることばがありますが、これは典型的な多義語であり、ほとんどは「大和ことば」です。日本語は「大和ことば」、「漢語」、「外来語」の3層からできていますが、まさに「日本のことば」が変化しているのです。

ことばに「つまずく」

上記のようなことばの変化が「誤解」を生むこともあります。それが、「ことばのつまずき」です。

例えば、「抜け目がない」はあなたにとっていいニュアンスの言葉ですか、悪いニュアンスの言葉ですか?

もともと、「抜け目がない」は、「ずるがしこい」を示す悪いニュアンスのことばだったと考えられます。しかし、現在では、必ずしもそうとは言えなくなりました。現在では「手ぬかりがない」という悪くないニュアンスの言葉としても用いられるからです。そして、このニュアンスの受け取り方には個人差があります。そのため、称賛のつもりで発したことばが、相手を不機嫌にさせ、しかも、なぜそうなったのか理由が分からない、ということが起こるのです。

さらに、「つまずき」には、双方の語彙力の差によって話が通じないとか、ある場面で相手に何と言えばいいのか分からず話ができないといった問題も引き起こします。しかも、ことばの誤解の中には、そこに誤解があることすら分かりわからず、微妙な感情的なしこりを残すことすらあるのです。まさにこれらは「見えないつまずき」です。

ここまでで大事なのは、私たちの頭の中にあることばの辞書は一人一人異なるということです。しかも、国語辞書を見ても、ことばの誤解を防ぐ助けにはなり得ても、万能薬とはなりません。

TPO・時間・場所・場合が原因で起こることばの「つまずき」

【書評/要約】つまずきやすい日本語(飯間 浩明 著):TPO・時間・場所・場合が原因で起こることばの「つまずき」

前章では、脳内辞書の違いによる「ことばのつまずき」を紹介しましたが、ことばのつまづきはこれだけではありません。TPO、time(時間)とplace(場所)、occasion(場合)によっても起こります。。

時間が理由で起こるつまづきの代表は「古文」

時間が理由で起こる「つまずき」の典型が「古文」です。

現代語では「おかしい」はちょっと変わったことです。しかし、古文で「いとおかし」と言えば「とても趣がある」「非常にかわいらしい」の意味で全く違う意味で使われていました。でも、「ことばが刻一刻、時間とともに変化している」と認識されたのは、実は、割と最近です。だから、辞書には定期的な改定がありませんでした。

ことばの「間違った使い方」について盛んに指摘されるようになったのも戦後になってからのことです。当時の人々は、書きことばさえきちんとしていれば、話し言葉はどんどん変化してもいいぐらいにしか思っていなかったのです。

ことばの「世代間ギャップ」

もっと短い期間でも、時間が理由で起こる「つまずき」は発生します。それが「世代間のギャップ」です。

年齢が10歳違うと、見ていたテレビ番組やよく歌った歌が異なるように、ことばにも10年分の違いが生じます。そのため、一方の世代は知っていても、他方の世代の人は知らないというパターンがよく起こります。例えば、今の子どもたちにとっては「ワープロって何それ?」です。恥ずかしがらずに質問をすれば、言葉のギャップは狭まりますが、多くの場合はスルーでしょう。なかなか、ギャップは埋まりません。

特に厄介なのが、同じことばの受け取り方が、年上の人と年下の人とで異なる場合です。先に示した「抜け目ない」もその一つです。「せいぜい頑張ってください」「結構です」も、人・世代によって受け取られ方が大きく変わります。これを意識せずに使うと、知らず知らずのうちに、誤解や不快感を与え、時には、その発言がSNSでのバッシングのような、大きな「批判」になってしまうこともあるのです。

つまづきは「場所」「場合」でも起こる

次は「場所」によって起こるつまずき。この典型は「方言」や「所属する団体(背景となる文化)によって使われる言葉」です。方言は他の地域の人には伝わらない言葉もありますし、また、たとえ、同じ会社の中であっても、異なるグループの人同士が対話すると、相手のことばに違和感を持ったり、不愉快な気分になったりすることがあります。また、妙にカタカナが混じった専門用語を多用する人も嫌われます。

ことばの正解はひとつでない

学校のテストに慣れた私たちは、「ことばには唯一の正解がある」と考えがちです。しかし、そうでないことは、ここまでの話で理解できたと思います。

本当にことばの使い方が上手と言えるのは、「自分が伝えたい情報や思い、考えを相手にうまく伝えられる人」であり、「相手が伝えたいことを、うまく受け取ることのできる人」です。話す方は、自分本位に話すのではなく、相手にわかる言葉を使い、「伝わるかどうか」を考えて話すことが求められます。

「つまずき」を避ける

【書評/要約】つまずきやすい日本語(飯間 浩明 著):「つまずき」を避ける

さて、ここまでで、私たちの日常生活の中には、ことばでのつまずきが容易に発生しうることがご理解いただけたと思いますが、コミュニケーションでトラブルを起こさないために、どのように「つまずき」を回避したらいいのでしょうか。

ことばは頼りないから役に立つ

まず、大事なのは「ことばは厳密でないからいい」ということを理解することです。例えば、コンピューターでは色をRGBで数字で表したりしますが、厳密に数字で正確に表現されても、むしろ人はわかりません。「青」といっても「水色」から「緑」までなんとも幅広く正確でなくとも、文学表現ではだからこそ良かったりもします。ことばは人により異なるのです。

他人のことばを理解するには

では、どうしたら、「つまづき」「誤解」を減らせるのでしょうか。その有効な方法となるのは「場数を踏む」「いろいろ経験する」ことです。相手に心を開いて話す機会を積極的に増やすことです。

また、おすすめなのが「様々な本を読む」ことで、自分以外の人がどんな脳内辞書を持っているのかの理解が深まります。このことが、誤解の解消に有効なのです。

特に、自分には共感できない、簡単にはその考え方に同意できない人の書いた本を読むことは、勉強になります。「こんな考え方には反対だ」と突き放すのではなく、「なぜこの人はこう考えるようになったのか」と、書き手の立場に立って考えることが、自分のためになります。読書とは、自分とは違うことばを使う多くの書き手と触れ合う営みです。他人のことばを理解し、誤解を防ぐために、読書はきわめて有効です。

誤解回避のための方法あれこれ

他にも、つまづきを減らすには、以下のような方法が有効です。

■前提として
・自分の言葉は伝わらないかもしれないという危機意識を持つ
・他の人の言葉に寛容になる
■話す側の場合
・念を押し、2度言う
・相手が忙しそう(誤解しそう)なときに話をしない
・相手がどこまで理解しているか確認をする
■聞く側の場合
・相づちを打ち、質問する(話し手に安心感も与えられる)
■文章を書くとき
・多義的なことばを排除する(相手の直接的な反応がわからないので、話す以上に注意が必要)
■読むとき
・声に出して読んでみる(音読するとお、元々の文章が読めていないことに気づける。遅読で文章を味わうことで誤読が防げる)

最後に

今回は、飯間浩明さんの著書「つまずきやすい日本語」からの学びを紹介しました。

私たちが、私たちが「日本語でつまづきやすい」、コミュニケーションでミスを犯しやすいことが、様々あることに気づけて、大いに勉強になりました。
特に「自分の言葉は伝わらないかもしれないという意識を持ち」「他人の言葉に寛容になる」というのは大事だと思いました。寛容さがないと、人間関係はギスギスします。誤解でイラっとすることを減らすためにも、注意したいと思います。