毎年8月に発表される都道府県別の地域別最低賃金の改定額。
最低賃金は過去最大の31円引き上げで961円(全国加重平均)とする目安額が、厚生労働省の中央最低賃金審議会の答申で正式に決定。
最も高い東京で1072円、最も低い高知県と沖縄県で850円となります。
安倍政権時代に掲げられた政府の経済財政運営の基本方針(骨太の方針、2019年度)では、早期達成目標として「1000円」が掲げられましたが、いまだ、その額には達していません。
・時給1000円は年収・年収にするといくらに相当するのか
・そもそも、労働者の年収は上がっているのか
今回は、最低賃金について、深堀してみます。
さらに、一時、【年収180万円の若者が「年金300万円の老人」を支える日本の絶望】という記事が話題になりましたが、そこから見える、今後の雇用の現状、そして、取り返しのつかない負け組にならないように何をすべきかについても考えてみます。
最低賃金は上がってきているのか?
上図は、最低賃金の推移です。
最低賃金の引上げ額は、最低賃金が時給で示されるようになった2002年度以降で最も大きいとのことですが、それでたったの31円。
今年春から続く様々な商品価格の上昇が止まらず、物価高が継続中ですが、この物価高を最低賃金にどう反映させるかが焦点となったとのことですが、それでこの引上げ額??中小企業にとっては賃上げは厳しいことはわかりますが、それでも少なすぎやしませんか?
さらに問題なのは、このような最低賃金レベルで働く人が増えているという現実です。あくまで、ここに示されるのは最低賃金なので、実際はそれ以上に高ければいいのですが、むしろ、該当する層が増えているという実態です。
もう少し詳細を把握するため、県別の最低賃金を確認してみます。
都道府県別、最低賃金 2022年
2022年の都道府県別の最低賃金は以下の通り。1000円を超えるのは東京・神奈川・大阪の3つのみです。
実際には未だ、最低賃金が800円台の地域も多く、格差があることが分かります。
なお、この最低賃金の適用は10月から最低賃金 2021年となります。
時給1000円は年収・月収にするといくらに相当か?
さて、アルバイトやパートを決める場合、最も重要な決定要素となるのは「時給」ですよね。
では、時給1000円とは、年収に換算するといくらぐらいに相当するか、考えてみたことはあるでしょうか?
会社員と同様の労働時間をもとに、時給×労働時間がいくらになるか、計算することで比較が可能になります。
時給1000円は正社員並みに働いて年収200万円
今だ平均で最低賃金は「時給1000円」に達していませんが、時給1000円は、正社員と同じように働くことを前提とした場合、年収いくらに該当するのでしょうか。計算してみた結果は以下の通りです。
・時給1000円 は 年収200万円、月収16.7万円レベル ※実働8時間
・実際には、正社員のように1日8時間労働はできないので、その年収は圧倒的に少ない
・会社員なら会社が折半して負担してくれる社会保険がない
・会社員にはある有給もない
上記、時給→年収換算の根拠は、労働基準法の1週間の労働時間をベースに割り出しています。
労働基準法では、1週間の労働時間を原則として40時間。週休2日なら、1日8時間労働で、「年間総労働時間=52週×40時間=2080時間」となりますが、会社員なら、年末年始や夏季休暇などの休みもあるので、端数の80時間=8時間×10日を年間の有給休暇とすれば、正社員の年間労働時間=2000時間となります。
この労働時間をアルバイト時間と仮定すれば、時給1000円の年収は 1000円×2000時間=200万円(月収16.7万円)が導かれます。
最低賃金労働者は正社員並みに働いても平均年収労働者年収の半分以下
「令和2年分 民間給与実態統計調査」(令和3年9月発表)によると、日本の平均年収である約433万円。
これを基準に比較すると、たとえ、給与所得者並みに1日8時間働けたとしても年収200万円は平均の半分にも届かず、46.1%にすぎません。実際は週5×8時間で働くことは働きたくても無理なので、平均4時間だとすれば年収100万円。その他、バイトを掛け持ちせざるを得ません。
バイトの場合は仮に同じ時間働いたとしても、社会保障も有給もありませんから、年収200万円の会社員よりもその生活実態は圧倒的に過酷です。もはや家族が持てる状況ではなく、一人で生きていくのも大変です。
自分の年収は上位から何%に当たるのか
自分の年収が平均に対してどうなのか?自分の年収が上位何%に当たるのか?気になりませんか?
比べたところでしょうがないデータではありますが、「人間は優劣を比較する生き物」なので、気になるのが当たり前です。
日本人の年収実態がわかるデータ
自分の年収の水準を知るにあたって役立つのが以下の2つの調査データです。
ご自身の年収水準が上位から何%に当たるかなどがおおよそわかります。
国税庁 :民間給与実態統計調査
厚生労働省:国民生活基礎調査(世帯年収調査)
上記データの結果のポイントを以下の記事にまとめているので参考にしてください。
格差はなくならない
上記2つの調査が浮き彫りにするのは、圧倒的な「格差」です。
残念ながら、資本主義下で生きていく限り、「格差」は広がることはあっても縮まることはありません。
たとえ、岸田政権が訴えるように、政府が「富の再分配」の制度の見直しを行ったとしても、格差は資本主義社会は構造上の問題なので、スピードが多少緩くなることがあったとしても、格差の広がりを止めることはできません。また、共産主義を理想としたソビエト連邦が崩壊した通り、今のところ、資本主義以上によいと思われる社会も見つかっていません。
資本主義下では「労働者は資本家に搾取され続ける」という現実を知る
お金は自分で稼ぐ必要がありますが、まずは、資本主義とはどういう世界なのか、することをおすすめします。それを知ると、自分の働き方について考えるきっかけとなるはずです。
ただ、資本主義について学ぶと言っても、難しい本はご勘弁ですよね。そこでおすすめしたいのが、以下のマンガです。
なぜ、労働者は搾取されるのか?「資本論」の第1巻をマンガで分かりやすく解説したのが本。資本家と労働者からなる資本主義下で生きてくにあたって、絶対に読んでおくべき一冊です。
過労死、ブラック企業などが問題視されますが、「労働者(会社員)でいる限り、資本家に搾取され続けるという事実」「資本主義化では格差は必然の流れ」であることが腹落ちしてわかります。
合わせて、同シリーズのマンガで「続・資本論」「蟹工船」も読んでおくとよいです。「資本家と労働者の関係性」がよくわかります。
なお、紹介の3冊は、すべてAmazonの本の読み放題サービス KindleUnlimited の読み放題対象本。はじめてなら30日無料体験で無料で読めます。30日以内に解約すれば費用は掛かりません。
お金に困らない生き方の基本ルール
今現在は、平均年収相当の収入があったとしても、長い生涯の中では何があるかわかりません。リストラ、病気、災害、離婚など、人生を襲う不幸はたくさんあります。
だからこそ、「お金に困らない生き方の基本ルール」に則り、生涯、行動することが求められます。
労働は美徳じゃない。考え方を改めよう
収入を増やすための継続的な努力が欠かせないと言いましたが、「継続的な努力」=「まじめにひたすら働くこと」とは違います。
一部の人からは批判を受けそうですが、私は「労働は美徳」という考えには否定的な考え。楽しいなら、いくらでも仕事すればいい。しかし、糧を得るために大きなストレスを抱えて嫌な仕事をするべきではありません。考え方を転換する必要があります。
単なる作業労働に時間をかけない。そして、要領よく時間を使うために頭を使うことが大切です。
みずから「なまけもの」と自称する弘之さんの本は、「働き方を考える」うえで非常に参考になります。
お金に困らない(お金持ちになる)ために守るべき行動指針
❶「年収」よりも「資産」が大事と認識する
❷まず、貯めるために働く。無駄遣いを省く :家計の見直し
❸サラリーマンでも節税できる仕組みを持つ :iDeCo、ふるさと納税
❹貯めたら一定の範囲内でリスクをとる :投資全般
❺お金を将来価値の上がる何かに変える :長期現物投資 株式・仮想通貨 他
お金持ちの思考・習慣が学べる本
お金持ちの思考・習慣が学べる本も紹介しておきます。
思考・習慣は積み重ねです。1日1日の差が、生涯において圧倒的な差を生みます。まずは、成功者を真似ること!思考・習慣を変えるべく、お金持ちに学びましょう。
最後に
今回は、2022年最低賃金の最低賃金に始まり、少しでも暮らしぶりをよくするために必要だと考えることを私なりにまとめました。
この記事をきっかけに、自分の働き方、そして、理想的な自分・暮らしに近づくために何をしたらいいか、考えるきっかけになれば幸いです。
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