クリエイティブな仕事に大事な「アイデア力」。
利益を出すには?集客するには?幸せになるには?と、デスクに座って集中して頭を悩ませたところで、アイデアが降りてくることはありません。
では、どうしたらいいのか?
著書「アイデアのつくり方」の著者 嶋浩一郎さんは、博報堂ケトルというクリエイティブ・エージェンシーで広告制作でアイデアを続ける仕事としてきた方。そんな、嶋さんは日々の仕事を通じて、「アイデアは整理・集中より散漫。散らかった情報からアイデアは生まれる!」と気づいたといいます。
今回は、本書より、アイデアを生み出すためのノウハウを学びます。
目次
メモ活用でアイデアを生み出す3ステップ
マーケティングでは、トレンドなどの市場分析が大切とされます。しかし、理詰めで理屈を積み上げていく方法では、なかなか人を魅了するようなアイデアは生まれません。一見、関係ないものが結びついた方が、斬新・新鮮なアイデアとなります。
このようなアイデアを生み出すにあたって、嶋さんは「情報を整理せずに、手書きでメモるのがよい」と述べます。
アイデアは、「情報の化学変化」です。この化学変化をうまく起こすために使うのが「メモ帳」。メモをアイデアに昇華させるために、3つのステップを踏みます。
❶【情報収集】とにかく集めるてメモる
❷【情報の熟成】寝かせて、並べる
❸【化学変化】メモ帳内での予想外の出会いとアイデアの誕生
【情報収集】情報は整理するな
何もないところからはアイデアは生まれません。そこで自分の感性にヒットした情報をメモ帳に書き留めていきますが、ここで大事なのが「情報を整理しない」ことです。
アイデア出しでは情報整理はNG
「書類・情報は整理せよ」と言われますよね。しかし、アイデアを出す場合、整理・分類はクリエイティビティを阻害する要因なると嶋さんは指摘します。
情報をキチンとファイルなどに入れて管理する方法は、すぐに情報を引き出すことが目的。つまり、検索できることが重要です。
しかし、クリエイティブに求められるのは、情報を目的をもって“引き出す”のではなく、カオスから新しい情報を“生み出す”ことです。
情報をのびのびと、ごちゃ混ぜに飼う。そうすることで一見まったく関わりのないように見える情報と情報とが結びつき、新しい視点・アイデア・ビジネスが生まれます。
分類すると情報にレッテルが貼られてしまう
「ファイルに入れた瞬間に情報は死んでしまう」と述べましたが、これがどういうことなのか深堀りしてみましょう。
まず最初は、ファイルに入れると、多くの情報は再び読み返される機会を失います。そして、より重要なのが、ファイリングという行為により情報にレッテルが貼られてしまうことです。
情報には多面性があり、同じ情報でも、別の角度から見ると別物にもなりますが、一度、ファイリングでレッテルをつけてしまうと、私たち人間はなかなか見方を変えられません。これはアイデア出しを大いに阻害します。
メモ帳にメモる
自分の感性にヒットした情報は手書きでメモりましょう。メモのメリットは「一覧性」「携帯性」「記憶の定着率UP」です。
一軍ノート・二軍ノートの2冊を作り、後日見返したときに重要度の高いと感じた二軍メモは一軍メモに、再び書き留め直す。そして、一日の隙間時間を利用して一軍メモを見直す。
出張など長時間、飛行機や新幹線に乗るときにカバンに数冊の手帳を放り込んでいき持って行って見返したりすれば、さらに、情報の化学反応が加速されやすくなります。
なお、嶋さんはモレスキンのメモを長きにわたって愛用しているそうです。
モレスキンのメモ帳・ノートには様々ものがありますが、最も定番は以下の商品です。
情報ソースは明らかにする
情報をメモる際は、ソース、つまり“情報源”は、収集した情報とともにはっきりと記録置くのが大切です。ここで大事なのは、その情報が本物なのか偽物なのかよりも、たとえば、インターネット総合掲示板「2ちゃんねる」でそう言われたという“事実”が重要です。
【情報の熟成】なぜ、情報の熟成が必要なのか
1年前に読んだビジネス書と、今日読んだ小説。まったく関係ない話が突然つながったという経験をしたことはないでしょうか。嶋さんは、情報を交配させる(化学変化を起こす)ためには熟成期間が必要だといいます。
二軍ノートの情報は1か月ぐらい寝かせてから一軍に書き写す
人は忘れやすい生き物です。そのために、メモをとったりしますが、そのメモさえ、1か月後に見返すと、「これなんだったっけ?」と思うことはよくあります。
こんな時に、「もう一度思い出してみる」考えてみる。」このプロセスが非常に大事です。思い出すという行為により、脳内のシナプスは結合され、記憶として定着していくからです。二軍ノートの情報を1か月ぐらい寝かせてから一軍ノートに書き写すすのがお勧めです。
書き写しの際に+αの情報を加える
一軍ノートに書き写す際に、おまけ情報として追加で調べたことを書き込むと、より記憶に残りやすくなります。
情報や思考をまとめるに当たっては、ノート選びも重要です。
外資系コンサルタントが、使っているのが「方眼ノート」。私も賢人に学んで方眼ノートを使っています。数百円の投資で仕事のパフォーマンスが上がると考えれば、とてもリーズナブルな自己投資と言えるのではないでしょうか。
以下ではおすすめの方眼ノートを紹介しています。
【化学変化】アイデアを加速するには
情報は時が来て突然化学反応を起こす=アイデアとなることもありますが、これを加速するにはどのような点を意識しておくとよいのでしょうか。
関係なさそうな情報に「筋」を見出す「異種交配」は一つの方法です。着眼点を変えて「一つのコトバでまとめる」「上位概念を作り出す」を意識的に行ってみましょう。積んでいくと、そのうちなんとなく、この情報とこの情報をくっつけてみたら一ひねりできるかも、というセンサーが働くようになっていきます。
結びつける情報が乖離していればいるほど、企画にインパクトが出てきます。ただ、単に奇をてらっても失敗します。企画にはキチンとした根拠と、緻密な計算が必要。企画の説得力、実効性を担保するためにもベースになる情報があることが前提であることを忘れてはいけません。
最後に
今回は、嶋浩一郎さんの「アイデアのつくり方」のポイントを紹介しました。
メモを取るにはノート・ペンの書き味も重要です。以下も参考にしてみてください。