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頭がよくなりたい!とは誰もが思うこと。では、頭のいい人ってどんな人でしょうか?

今、書店には、非常に多くの「思考本」が並んでいますが、これらの本では「頭のいい人=抽象化力のある人」と示されることが多いですよね。

確かに、「考えていない」人の多くは、抽象化が明らかに不足しています。具体的なことしか理解できませんし、応用も利きません。

しかし、抽象化力だけが高くてもダメ。本当に人生や社会を変えるのは、具体的な行動です。つまり、抽象的で難しいことだけ語っている人は、頭がいいとは言えません。

今回紹介する著書「賢さをつくる」の著者 谷川さんは「思考とは、《具体》と《抽象》の往復運動であり、《具体》と《抽象》を思考するにあたって、距離・スピード・回数がある人が「頭のいい人」だ」と定義ます。

本書では、よい頭を手に入れるために必要な、インプットとアウトプットはどういうもので、それがどのように思考につながるのか、さらにどのように思考に磨きをかけたらいいのか、非常にわかりやすく教えてくれます。

読み進めるうちに、自分の思考もすっきりしてきます。読み終えた後、自分の思考レベルが一段上がったと感じる良書でした。

今回は本書「賢さをつくる」のポイントをまとめます。

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 「頭がよい」とは、どういうことか?

「頭がよい」とは、どういうことか?

求められる頭の良さは、人生の時期によって異なることをお気づきでしょうか?著者は大きく3つに大別できると言います。

時期によって求められる頭の良さは異なる

小学・中学「知識量がある」「理解力が高い」「飲み込みが早い」というインプットする能力
高校・大学「自分の頭で考える」「頭の回転が速い」「論理的」「応用力がある」といったインプットとアウトプットの能力
大人「発想が豊か」「説明がうまい」「行動が効率的」「判断が的確」といった(社会に役立つ)アウトプット能力

つまり、「学校ではインプット力が重視され、社会に出るとアウトプット力が重視されていく という傾向」があります。故、学校の勉強が社会で役に立たないのは、ある意味、当たり前なのです。

学校と社会では、求められる頭のよさの「方向」が異なります。大人になると、インプット・アウトプット2つの方向をセットにすることで「価値」を生み出すことが大事になります。

インプット力の正体

よいアウトプットに必要なのは、よいインプットです。 インプットが不十分な状態でアウトプットしようとしても、底が浅くて薄っぺらいアウトプットしかできません。故、学校の勉強が社会に役立たなくとも、少中学生の頃よりインプット能力を高めておくことは極めて大事です。

例えば、小中学の時から頭がいい人は、丸暗記は非常に非効率なインプット方法だと知っているのでやりません。彼らは、先生に教わらずとも、知識のピースを整理・体系化し、より抽象度の高い概念にしてからまとめて覚えることで、インプット効率を上げていきます。これが「インプット力の正体」です。

【参考本】

東大を首席で卒業した、7回読み読書法の山口さんも、丸暗記はしないと同じことを述べていました。ポイントは【関連付け】です。覚え方について、本書内で詳しく紹介されています。

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アイデアマンや説明がうまい人、なにがうまいのか

では、社会人の中でヒット商品を生み出すなど、アイデアマンはどのように思考しているのでしょうか?彼らが必ずやっているのが、「抽象化と具体化」です。

ヒット商品を分析し、そこにはどのような傾向があるのか、ヒットの本質を見つけ出し、それをもとに次の商品を生み出す。このように 具体的な商品を抽象化してヒットの本質を掴んだ上で、そのヒットの本質を再び具体化することで次々と商品アイデアを生み出しているのです。

また、説明がうまい人は、よく「たとえ話」をしますが、たとえ話は、まさに、わかりにくい抽象的な概念を具体化して話すことです。

【まとめ】思考とは?頭がよい人とは

ここまでをまとめます。

  • 「思考」とは、具体化と抽象化の往復運動
  • 「頭がよい人」とは、具体化と抽象化の往復運動が得意な人 のこと
  • 学校で頭がよいと言われる人は基本的にインプットが得意であり、それは抽象化が得意
  • 社会で頭がよいと言われるためには、さらにアウトプット能力が必要で、アウトプットするためには具体化が必要

 《右》の世界と、《左》の世界

《右》の世界と、《左》の世界

ここからは、本書のメインとも言える、《右=抽象》の世界と、《左=具体》の世界とは何かを見ていきます。

人間の思考を《右左》で示すと

ロジックツリーでは、一般的に《上》に抽象度が高いもの、《下》=ツリーの末端に向かって具体的なものを配置します。しかし、本書では具体なものを《左》、抽象的なもの 《右》で図示します。すると、「人間の思考」と「右左の世界」は以下のようにまとめることができます。

《左》《右》
個別的全体的「ポチ」と「宇宙」 
短期的長期的短期の予定・目標」と「長期の予定・目標」
実用的本質的小手先テクニック と 本当に大事なこと
五感的数値的概念的具体的なものは五感で理解しやすい/概念的なものはわかりにくい
現実的精神的実際的/実践的/客観的事実と倫理的/理念的/主観的事実
一面的低次元多面的高次元

上記のようにまとめると、高次元な《左》が重要に見えますがそうではありません。確かに《右》が物事の「本質」ですが、《右》の世界は理解しにくく伝わりにくい。たとえ、伝わったとしても、具体的に何をすればいいのかわかりません。

例えば、営業するときに知りたいのは、初対面のお客様に何をしゃべればいいかとか、購入を断られたときにどうすればいいかというような、《左》の具体的なテクニックです。

また、現実的な《左》の世界と精神的な《右》の世界は対立することもあります。

大事なのは、《左》と《右》のバランスです。これら2つの世界をつなぐものが、「思考」であり、このバランスのよさが「頭のよさ」なのです。

《右》に行く力が問題設定力、《左》に行く力が問題解決力

ここに「思考の方向」という考えを導入します。すると、目的を考えるときは《右》方向、手段を考えるときは《左》方向です。また、《右》に行く力が問題設定力であり、《左》に行く力が問題解決力です。

抽象的で大きな議論をしているだけでは問題は解決しません。しかし、具体的で細かい方策を検討しているだけでは、大きな問題を見誤ります。慎重に《右》方向に考える問題設定力と、素早く《左》方向に動く問題解決力、両方を使いこなすことが、真の問題解決につながります。

「頭のよさ」を決める、3つの動き

頭がいいとは具体的に何に長けているのでしょうか?

本書では、「頭がよい人」とは、「《左》具体化と《右》抽象化の往復運動が得意な人のこと」と定義しましたが、頭がいい人は、この往復運動が3つの点で優れた人です。

❶「具体」と「抽象」の距離が長い人
❷「具体化」と「抽象化」のスピードが速い人
❸「具体化」と「抽象化」の回数が早い人

❶の得意な人は、全体的で長期的なことを考えてから物事が決められる思慮深い人です。距離が人並み外れて長くなると、良くも悪くも、常人には理解できないアイデアも出てきます。ただし、 《左右》の距離があまりに長いとき、普通の人には意味不明の行動に見えることがあります。

❷は「頭の回転が早い人」です。反応が速くて言われたことにすぐ返答です。 「何も考えていない人」も反応だけは速いですがただ速いだけ。「頭の回転が速い人」は、右左を行き来=具体的な質問に対して、短い時間の中でも本質や全体を考えてから返答しています。

❸は、失敗を恐れず、何度も行動して、軌道を修正するトライ&エラーを積み重ねたことで、問題の正解がわかる人です。実践して確かめた回数は非常に大事です。

自分の「強み」に合わせて3種類を組み合わせる

「距離」「スピード」「回数」のうちどれを重視するのかはその人の個性であるし、自分の強みに合わせて組み合わせるのが最良です。バランスの問題ではありません。

もちろん、弱点を補強してバランスをとることでも頭は良くなります。例えば、「スピード」重視の人はたいてい「距離」を軽視しがちなので、意識的に「距離」を長くすると、より頭のよさに磨きがかかります。

「具体化」と「抽象化」で、自在に働く

具体化」と「抽象化」で、自在に働く

著者は、左右の世界を、人類が何千年も使い続けてきた「ピラミッド型の組織体系」にも展開します。

リーダーほど抽象的、プレイヤーほど具体的

組織ピラミッドは経営者を頂点とする組織のピラミッド構造です。これを、≪右左≫の世界に展開すると、、左側から「プレイヤー」→「マネージャー」→「リーダー」右側に位置づけられ、右に進むほど仕事は抽象的、かつ、長期的な時間軸で成果を出すことが求められる仕事になります。

このように考えると、組織が階層構造になっている理由は、考えるべき抽象度の役割分担であり、上の階層の人が下の階層の人に命令するためではないことがわかります。

ただし、これは「現場のスタッフは自分のことだけ考えていればいい」「経営者は経営理念を語っていればいい」ということにはなりません。

いい組織のメンバは、階層を自由に移動する

組織においては、《右》での出来事は《左》の世界に見える形で現れます。 もし、あなたが経営者の立場なら、「現場がだらけている」とか感じるときがあったら、それはあなたの作っている 経営理念や企業文化が表に出ている ということです。故、大きな組織のリーダーほど「具体的な」現場で起こっていることに気を配ることが大切ですし、現場のプレイヤーほど「抽象的な」理念を理解する必要があります。つまり、階層を超えて考えることが大事なのです。

良い組織とは、理想のビジョンである《右》の世界と、現場の《左》の世界がスムーズにつながっている組織です。このような組織では、下の層より上の階層の方が人数が少なくいという人数ピラミッドは必要ありません。むしろ、状況に応じて、右に左に役割移行できる方が組織はうまく働きます。

なぜ、採用では学歴が重視されるのか

前節では、いい組織では人材は行き来すると書きました。しかし、採用の段階ではなぜか学歴が重視されます。

確かに、現場力である《左》の世界の能力は、仕事の出来と学歴は本当に関係がありません。学歴に関係なくできるやつはできるし、できないやつはできません。

ところがです。いざ、抽象的な仕事を担当させる管理職に誰を任命しようか…という段階になると抽象的な思考が身についた高学歴者のほうが、一般的に仕事ができる人材が多くなってしまうのです。これが、「学歴と仕事の出来は関係ないけどやっぱり学歴は大事」という謎の正体です。

いますぐできる、頭をよくする思考方法

いますぐできる、頭をよくする思考方法

さて、ここからは、頭をよくする思考法とは何か、見ていきましょう。

具体化・抽象化の力をつける方法

考えを、抽象的な《右》に寄せたり具体的な《左》に寄せるためにはどうすればよいのでしょうか?
いちばん簡単でかつ強力な方法は、 「質問=5W1H」を自分にすることです。

・When(いつ?)
・Where(どこで?)
・Who(だれが?)
・What(なに?)
・Why(なぜ?)
・How(どのように?/どれくらい?)

ここでのポイントは、 5W1Hのうち「Why(なぜ?)」だけが抽象的な《右》に向かう質問であり、残りの4W1Hはすべて具体的な《左》に向かう質問であるということです。つまり、《右》向きの思考をしたければ「Why(なぜ?)」という質問、《左》向きの思考をしたければ残りの4W1Hの質問をすればよいのです。

もう一歩、抽象化の力を高める方法

一般的に、右に向かうより、左に向かう=抽象化する方が難しいです。
そこで、右に行く場合は、「なぜ?」に加えて、以下の抽象化の質問も行ってみましょう。

・「要するに?」「つまり?」「まとめると?」「本当は?」「目的は?」「そもそも?」

ここで重要なのは、《右》にくるべき項目の正解は、いくつもあることです。一つではないことを覚えておきましょう。

次元を上げる

《左》は低次元の世界で《右》は高次元の世界です。そのため、2つの意見が対立すると、どうしても互いに「相手が間違っている」と思ってしまいます。
しかし、そのように意見が対立しているとき、間違っているのは相手ではありませんし、あなたが間違っているわけでもない。 間違っているのは、今いる次元です。

考える次元を上げることで、自分と相手の意見を矛盾なく解消することがあります。
次元を上げるためには、「両方とも正しいとしたら?」という質問を投げかけましょう。

鳥の目、虫の目で見る

「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではありません。人間は、 現実を見ているつもりになっていても、自分の意識したものしか見ていません。
見えていないものを見るためには、「鳥の目=全体をマクロな視点で俯瞰」と「虫の目=細部をミクロな視点で注視」を使いましょう。

鳥の目
《右》の視点で物事を見る目。全体的、長期的な視点を使う。自分1人のことだけでなく、家族全体、会社全体、地域全体、国全体、さらには地球全体や宇宙全体について考える。あるいは、今日1日でなく、1年単位、100年単位と時間軸を延ばす。

虫の目
《左》の視点で物事を見る目。現実的な細部を注視し、いまこの一瞬を大事にする。

注意としては、《左》の視点では、大きなものを見失い、《右》の視点では目の前の問題が救済できなくなることがよくあります。故、結局のところは、両方の視点をバランスよく使って「考える」しかありません。

最後に

今回は、著書「賢さをつくる」のポイントを紹介しました。

最後に繰り返しになりますが、大切なことは「具体と抽象の往復」。そして、実際に、「人生や社会を変えるために、具体的な行動を起こす」ことです。《左》に動かなければ、現実には何も変わりません。

著者は次のようにまとめます。

知性とは、理想と現実をつなぐ力である。
理想とは常に《右》側にあり、現実とは常に《左》側にある。理想と現実はなかなか一致しない。だから人は迷い、苦しみ、葛藤する。
しかしあなたは、その理想と現実を行き来し、思考することができる。
知性とは、目の前の現実から理想とする自分や社会を描き出す力であり、その理想を現実化する方法を探す力である。

あなたは、自分自身や社会に対し、どんな理想を描いているでしょうか?そして、その理想をどのように実現しようとしているでしょうか?

さあ、今日から私たちも、抽象と具体を往復し、自分の理想を実現しましょう!