著書「勝つための確率思考」の著者である木原さんはプロポーカー師。頭を使って賞金を稼ぐつわものです。

木原さんにとって、ポーカーはギャンブルではなく「ビジネス」や「投資」。

ポーカーは、運任せのギャンブルと思われがちですが、運のみで勝てる世界ではありません。大事なのは「期待値に従った一手」。これが、単なる危ないギャンブラーか、厳しい勝負の世界で勝ちを重ねるプロの違いです。

今回は、プロポーカー士から学ぶ、「ビジネスや投資で勝つためのヒント」、「生き方のヒント」を紹介します。

[スポンサーリンク]

勝負で生きるプロに求められる「確率論」

本書にはポーカーや戦術の記載はありません。以下記載の目次からわかる通り、木原さんがプロになるために磨いてきた「勝つための確率思考」であり、「生き方」の本です。

第1章 本当のリスクマネジメントとは
第2章 チャンスを引き寄せる確率的な思考力
第3章 「お金」との正しいつき合い方
第4章 最大のリスクとは何か
第5章 必要なのは「失敗」か?「挑戦」か?
第6章 自ら選択する生き方
第7章 不安を消し去る方法

投資家にとって大いに役立つ一冊です。

本当のリスクマネジメントとは

本当のリスクマネジメントとは

木原さんは【リスクを管理することは「どう生きるか」と同じことだ】と言います。
理由は、人生は、自分の行動に付随しているリスクとリターンを把握し、自らをどう管理するかの連続だからです。

自分にあったリスクとリターンの関係を理解する

どの程度のリスクを取るかは、人それぞれの価値観によります。

木原さんの場合は、ご自身のあまりリスク分析の元、リスクをあまりとらない派です。1日で全財産の2%程度までしか負けを許さない勝負を遵守しています。リスクを抑える分、勝つ日も全財産の3~4%程度になってしまいますが、もっとレートを上げたほうが得だと分かっていても、破産を避けるために、ルールを守るといいます。

大事なのは、どのくらいのリスクを負って何を取りに行くかを明確にすること。それが、木原さんの考えるリスクマネジメントです。

日常を確率で捉える

できるだけリスクはとらないに越したことはありません。しかし、一方で、リスクをまったくとらずに生きることも不可能です。

私たちは日常生活の中には「偶然」「運」と思うことがたくさんあります。しかし、実は、偶然ではないことが大半であり、それは、確率に基づいた結果です。交通事故・犯罪に遭遇するリスクも、偶然ではなく「確率」です。

日常生活の中で、「その事象がどのくらいの出現率なのか、期待値はどのくらいになりそうか」を考え生きることは、瞬時に判断が求められる投資の判断強化に役立ちます。

「確率と体感」の乖離に注意

確率で考える場合、注意すべきことが2点あります。

❶私たちは、確率を正しく「体感」できない
❷その事象が独立して起こっているのか、連鎖して起こっているのかを見誤る

❶は、例えば、100円と1万円をもらった時の嬉しさの違いは分かりますが、同じ100倍でも、10億円と1000億円の嬉しさの違いは多分、分かりません。また❷についても「コイントス」は独立事象なのに、4回連続して表が出ると、今度は絶対裏!と思ってしまったりします。

このような勘違いの訂正も含め、日常生活の中で確率のセンスを磨いていくこと大事です。そうすれば、そのせんすは、リスクを抑えて幸せに生きる有効な武器になります。

チャンスを引き寄せる確率的な思考力

チャンスを引き寄せる確率的な思考力

確率と運・不運

確率的な思考力の第一歩。それは「試行回数の少ない事象は、幸運・不運に依存する」という認識です。

よく「私ってついてる!」と思うことがありますが、冷静に考えてみると、あくまで短期的な、試行回数が少ない事象の一つではありませんでしたか?

これは、確率的な思考に親しんでいないために、事象を見誤った結果です。このような人は、確率(出現率)から考えてどうなのかという価値判断がないままに、都合のいいことだけを無意識のうちに選び、頭の中にイメージを強く刻んでしまいがち。そのため、次の判断で大きな間違いをすることがあります。

投資の場合、確率的なブレの範囲でツイていただけなのに、それを実力で勝ち取ったものと勘違いしてしまうことがあります。これは、最終的に、大きなリスクを取りすぎて、利益を吹き飛ばしてしまう、破産してしまうという、よくある投資の失敗話に通じます。

幸運・不運は単なる事象であり 将来に影響しない

一方で、考える必要がないこともあります。それは、「自分自身の運・不運」です。

運・不運は確率的な事象です。つまり、将来には影響しません。故、必要以上に考えても無駄です。少ない事象に振り回されすぎないようにしましょう。ブレない強い自分が作れます。

「お金」「努力」との正しいつき合い方

「お金」「努力」との正しいつき合い方

お金との付き合い方

「お金」があれば「幸福」か? 年収がUPすると生活水準が上がり、ますが、年収800万円を過ぎるころから、お金と幸福度は正比例しなくなります。

最大化すべきは「お金」ではなく「幸福」。そのためには、何をしていれば幸せなのか、つまり、「自分にとっての幸福とは何か」が定義できなければなりません。

「努力」との付き合い方:辛い努力はするな

「自分にとっての幸福とは何か」が分かったら、それを求める「努力」が必要です。

しかし、私たちの生きる世の中はアンフェア。持って生まれた能力も違えば、財産も違います。どんなに努力をしても追いつけないこともあります。

だから「辛い努力」はしてはいけません。努力は楽しくあるべきです。人から努力と見られるようなことが楽しいと感じられるのなら、それが自分に向いている/才能があると判断する有力な材料になります。

「好きな気持ちをなくすこと」は大きなリスクです。

必要なのは「失敗」か?「挑戦」か?自ら選択する生き方

勝負をすれば、時には失敗します。ミスはある一定の頻度で必ず起きます。

我々の社会はミスを許さないところがあり、ミスを起こした人を「怠惰だ」「努力が足りない」と決めつけることもよくあります。しかし、失敗は確率的な事象です。失敗することが必要なのではなく、挑戦することが必要で、その中では失敗は避けて通れないものです。挑戦に委縮してはいけません。

中には、失敗が嫌で右にも左にも進めなくなる人もいますが、できれば確率に基づき勝てそうな道を選ぶのが良いですが、森羅万象の世界で起こる出来事には、予測不可能なものも少なくありません。

待値が上がるのなら、少しでもいい結果を得られるのなら、限界まで、ひたすら真剣に努力をする。しかし、その裏返しで、考えたところでどうしようもないことに行き詰ったら、悩むのはやめて、自分にとって「面白そう」「楽しそう」なことを選んでやってみればいい。

人生は自分で選択することが大事なのですから。

最後に

今回は、著書「勝つための確率思考」から、プロポーカー士に学ぶ、”リスク”の取り方・管理の仕方と”確率思考”をまとめました。

人生を不幸にすることの一つが「悩むこと」。確率で考えると物事の判断にかかる時間が短縮化される、つまり、悩む時間が減り、幸福度は増します。

私は昔、ものすごく悩んで動けない人でしたが、本書に見られるような確率思考と、「マキシマイザー(最大化人間)」ではなく、サティスファイサー(満足人間)にシフトした(例えば、モノを買うとき、重箱の隅をつつくように吟味しすぎない。調べ過ぎると選べなくて買えない。今どきの製品はどれでもそこそこ優秀なので、買えば「買ってよかった♪満足」となる)ことで、幸せ度が増しました。