【書評/要約】世界「新」経済戦争~なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか(川口マーン惠美 著)(★4) Tesla/GAFAM/エネルギー業界も巻き込む覇権争い
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アップルが韓国の自動車メーカー、起亜(Kia)に36億ドル(約3800億円)をするとかしないとかで、Kiaの株価は乱高下しています。
この報道が本当かどうかは別問題としても、自動車覇権に敗れれば、自動車メーカーがプラットフォーマーの単なる1つの下請けメーカーになり下がる可能性もあるのが、現在の新しい経済戦争の一つとなっていることは間違いありません。

電気自動車のテスラが驚くほどの株価上昇、EU圏のみならず、米国・日本で一気に変化した「脱炭素化」の動きで、これまでドイツ・日本勢が強かった自動車産業ピラミッドが一気に変わっていきそうな雰囲気があります。

本書「世界「新」経済戦争」は、自動車を通して過去から未来にわたる世界経済を俯瞰した一冊。
1950年代、技術力と購買力を武器に世界の80%の車を生産していたアメリカ。しかし、その覇権は、ドイツ・日本、中国に移り、今、また、巨大な産業の構図が塗り替えられようとしています。世界は電気自動車に完全に舵を切ったからです。

世界「新」経済戦争を勝ち抜くのはどの国なのか?

今まさに進行している、自動車戦争を、電気自動車、エネルギー、脱酸素化、MaaSなどの動きも踏まえながら明らかにしています。

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実は電気自動車の方がガソリン車より歴史は古い

電気自動車(EV)は、21世紀の新しい自動車というイメージがありますが、実は、EVの方が歴史は古いって、ご存知でしょうか。

1830年代にはその原型が作られていましたが、ガソリン自動車の技術も発展し、1907年発売のT型フォードが爆発的に売れ、価格も低下したことから、自動車はガソリンエンジンが主流となり、電気自動車は姿を消しました。

ここには、もちろん、石油メジャー ロックフェラー帝国の存在も大きく関わっています。ロックフェラー家は、反トラスト法には逆らえず、1911年に連邦最高裁から解体命令が下り、富が集中を防ぐために34社に分割されましたが、現在の石油メジャーの始祖となるエクソン、モービル、シェブロンなどとして生まれ変わりました。しかし、それ以後、彼らは、未来永劫の富を手に入れんがために、一致団結してガソリン車を推進することになるのです。

自動車産業の移り変わりの歴史は、本書で読んでいただくとして、本書を読んでいると、自動車で覇権を握るということは、単に自動車産業にとどまらない覇権争いであることがよくわかります。

時代はEV車へシフト

1台のガソリン車には、2万から3万の部品が使われており、それら1つ1つに、この百年、ほとんどミクロと思える規模の改良が果てしなく加えられてきました。
特にこれまで、車づくりで古今の技術者が情熱を傾けてきたのは、「エンジン」という心臓部ですが、電気自動車にはこの心臓部がありません。

一方、電気自動車はおそろしく加速がよく、無音で、振動がなく、しかも、最小まで出力を落とせ、さらに、排気ガスも出さない。さらに、ガソリン車の技術者たちが百年余り、あらゆるテクノロジーを投入し、大いなる情熱を傾けて積上げた技術・ノウハウは必要としません。

これが、テスラなど新興自動車メーカーが急激に注目されている一つの理由です。

脱炭素化は本当に「地球」のためなのか?

さらにガソリン車には追い打ちをかけるように21世紀になって大きく取り上げられるようになった「地球温暖化問題」はこれまでの自動車メーカーにとっては、完全なる足枷となりました。

真っ先に温暖化対策を推進したのはヨーロッパ。「ヨーロピアン・グリーン・ディール」をもとに2030年に向けたEU気候目標の引き上げやそれに伴う関連規制の見直しなど行動計画しています。

でも、そもそも、現状ではCO2のの排出大国はEUではなく、中国とアメリカ。アメリカに至っては、CO2の排出は、将来、減ることはあっても、大きく増えることはないと思われ、中国やインドは、まだまだ爆発的に増えるという予測が立っています。

欧州ん環境規制政策に垣間見える違和感

そんな中、厳しい規制のもとで行われる欧州のグリーンディール政策に、著者は違和感を唱えます。

「惑星のため」だと思ってデモをし、ガソリン車の打倒に励んでいる市井の人たちと、やはり「惑星のため」と言いつつ、電気自動車を促進している産業界や政界の人たちは、本当に同じ目標を見ているのだろうか。過去の自動車覇権争いがそうだったように、覇権のトップに立ちたい人たちの思惑「利益追求」が働いているのではないのかと…

環境問題に熱心なのは、思惑を持つ都会のエリート

事実、環境運動が盛んなのは、ほぼ都会。要するに、中心になっているのは都会のエリートです。底には、EV車普及のための「補助金」が絡み、そこには税金が投入されます。

むしろ、一般庶民は、高価な電気自動車に買い替えるなど、冗談じゃないと思っているはずです。しかし、それを口に出せば、環境に対する意識が低いと蔑まれそうで口を噤んでいます。

財界・産業界・投資家の思惑

電気自動車の推進は、当然、政治にも影響を与えます。

電気自動車は次世代の産業です。そして、投資家の目は、今、電気自動車に向いている。そこには、再生可能エネルギー、IT、AI(人工知能)などさまざまな先端技術も複合的に関与してきます。

これは、政治家的には、電気自動車推進派につかなければ時勢に乗り遅れることにつながります。そして、時勢に乗り遅れれば、将来的に国の産業は衰退するし、何より自分たちの利権が保てません。つまり、電気自動車へのシフトは、何が何でも自分たち(政治家)の手で推進しなければならないのです。だからこそ、どこの政府も伸び悩む電気自動車の背中を、巨額な補助金で押そうとしています。

政界と産業界がお金という媒体でしっかり結び付いているのは、古今東西の定めです。

過去に何度も起こりかけたEV車の台頭は、米英の石油メジャーによってつぶされてきました。しかし、今、誰かが強力に電気自動車が推進しています。陰謀論敵ではありますが、誰かが強力に、石油メジャーをつぶそうとしているようにも見えてきます。

苦境に立つドイツ・日本。自動車覇権を虎視眈々と狙う米国

今、EV車の台頭で最も苦しい現状にさらされているのはドイツ。日本はEV車、さらには蓄電池の開発で一定の成果を出していますが、ガソリン車時代に築いた体制が逆に足枷となるのは間違いありません。

今、アメリカは、シェールガスというエネルギーを持ち、ガソリン車の製造技術も持ち、さらにテスラなど、電気自動車で先行している多くのスタートアップ企業を持ち、さらには、ネットワークをつなげプラットフォーム化することに長けている大企業を複数有しています。

電気自動車の覇権をめぐる争いは単純ではありません。政府、産業界、市場が三つ巴となり、さらにそこに、投機家、環境保護グループ、そして、斬新なアイデアを提供する風変わりな発明家たちまでが、それぞれの野望を腹に執拗に絡んできます。それどころか、この動きは産業界を超え、間違いなく、国家のエネルギー政策、宇宙開発、何より、安全保障にも重要な影響を及ぼします。

米国は自動車を作る技術ではドイツ・日本に負けました。しかし、今、米国は「自動車産業」の世界制覇を虎視眈々と狙っています。

覇権争いは自動車業界内で起こっているわけではない

昨今、GAFAMという巨大IT企業の繁栄に支えられ、世界を席巻してきた米国。そして、21世紀、最も世の中を変えると言われているのが「自動車革命」です。自動運転にシェアサービス、様々なものがネットワークで統合されていくことになります。

この時、自動車業界のトップにいられるのは「これまでの自動車メーカー」なのでしょうか?例えば音楽のサブスク、動画のサブスクに見られるように、便利なサービスを提供してくれるプラットフォーマーのサービスを使うことが主流となっていくなら、車の車種なんて正直関係なくなる時代が来るかもしれません。

最後に

今回は、川口マーン惠美さんの「世界「新」経済戦争」から、今、自動車業界に起こる大きな変革について紹介しました。
上記まとめは、「覇権」を切り口に、本書の内容の一部を切り取った内容に過ぎません。もっと詳しく将来の自動車産業について知りたい方は、本書にてご確認ください。

【余談】気になる「テスラ社」

仮想通貨界隈にいると、よく名前が出てくるテスラ社のイーロン・マスク
もちろん、電気自動車の覇者候補として注目の企業のCEOですが、それだけでなく、何かと話題になる人物です。

先日はテスラが15億ドル分(約1600億円)のビットコインを購入」したことが話題となり、ビットコインは500万円まで急騰。マイクロストラテジー社の上場企業に続き、テスラ社がビットコインを保有したことで、「テスラ社がさらにビットコインの保有を増やすのではないか」「テスラ以外の大手企業もビットコインをインフレヘッジ、或いは、投資を目的に購入を始めるのではないか」との憶測を呼んでいます。

テスラ社の2020年12月の決算書からみる総資産は267億ドルのため、内15億ドルがビットコインだと仮定するなら全体の資産に占める比率は5.6%となります。

テスラ社株価推移
テスラ社株価推移

イーロンマスクはテスラ株を様々な手法を用いて急激に上昇させてきました。今後、ビットコインを買うのか、それとも金など他のETFを買うのか、それとも、電気自動車、蓄電池に利用するのかわかりませんが、とにかく今後も目が離せない企業であることは間違いありません。

現在の株価は高くで、個人的には手が出せませんが、CFD口座でいつでも買えるようにウォッチは続けています。
米国株式は最高値圏にあり、正直買うのが怖い水準にはありますが、私はまだ上がると思って、米国株をCFD口座で保有しております。

現在保有のCFD銘柄は以下に記載しているので、ご興味のある方はご確認を。