マネックス証券で「暗号資産CFD」の取扱い開始。気になる「税率」は?サービスの特徴についても解説

大手証券の1つ「マネックス証券」は7月8日、主要ネット証券で初となる暗号資産CFD(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)の取扱いを開始しました。

マネックス証券といえば、傘下に仮想通貨取引所coincheck(コインチェック)があることで知られていますが、気になるのは、
・どのようにサービス提供されるのか
・税率はどうなるのか?

仮想通貨の税率は、累進課税のため税率は最大55%(住民税含む)、特例がある場合を除き、翌年以降に損失を繰り越すこともできません。

この2点がどうなるのか、調べてみた結果を解説します。

暗号資産CFD:サービス内容

マネックス証券の「暗号資産CFD」サービスは、マネックス証券の証券総合取引口座を開設の上で、別途「暗号資産CFD口座を開設」するとで利用が可能となります。

マネックス証券 暗号通貨CFD口座開設画面

取扱銘柄は4つ

取扱い銘柄は4銘柄通り。取扱銘柄として、最大レバレッジは2倍です。
売りからもエントリーできるので、下げ相場でも利益を狙えます。

・ビットコイン(BTC)
・ビットコインキャッシュ(BCH)
・イーサリアム(ETH)
・リップル(XRP)


土日も含めて原則24時間365日取引可能

他の一般的なCFDと異なるのは、土日も含めて原則24時間365日取引可能な点でしょう。

マネックス証券 暗号通貨CFDの特徴

トレードツール「MONEX TRADER CRYPTO」

暗号資産CFDのトレードツールとして、スマホアプリ「MONEX TRADER CRYPTO」(Android, iOS)が用意されています。
※残念ながら、iOS版は現在アプリ公開準備中
※Web版やインストール型専用ツールはなし

ツールは一般的な暗号通貨トレードツールと同じでストリーミング注文や指値・逆指値注文をはじめ、OCO・IFD、IFOなどの複合注文にも幅広く対応。
よく使われるテクニカル指標も揃っています(少なくとも私には十分)。

トレンド系
・単純移動平均線
・指数平滑移動平均線
・一目均衡表
・ボリンジャーバンド
オシレーター系
・MACD  ・ADX
・RSI   ・RCI
・DMI
・スローストキャスティクス

暗号資産CFD:税率は?

暗号通貨トレーダーにとって気になるのは、暗号資産CFDの利益に対する「税率」なのではないでしょうか。

暗号通貨は現物、レバレッジ取引とも、現在の税率は、稼げば稼ぐほど税率的に不利!最大税率55%の「総合課税の雑所得」です。

おさらい:暗号通貨の税区分

所得は、稼ぎ方によって10種類に分類されますが、暗号通貨の利益は、事業所得や給与所得など、「どの所得にも当てはまらない所得=雑所得」。

総合課税の対象のため、給与所得などほかの収入と合算した額に応じて税率が決まります。所得税率は、所得金額によって5~45%(これに追加して、住民税10%もかかる)です。

所得税:総合課税の税率&控除額一覧

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え330万円以下10%97,500円
330万円を超え695万円以下20%427,500円
695万円を超え900万円以下23%636,000円
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超え45%4,796,000円

     

確定申告が必須でない会社員の方も20万円以上の利益、学生や主婦など扶養家族の方も33万円以上の利益が出た場合に確定申告と納税が必要になります。

参考HP
国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
国税庁「No.2260 所得税の税率」

税の中立性に問題。損失の繰り越しもできない

最大税率55%(住民税含む)が適用されるほど不利な税率が適用されること自体、分離課税が適用される株・FX・CFDと比較した場合、「税の中立性」という観点から問題ですが、それだけ儲けられればそれはよしとしても、更なる問題があります。

特例がある場合を除き、翌年以降に損失を繰り越すことができません

暗号資産CFD:税率は?

おさらいが長くなりましたが、では、マネックス証券の「暗号資産CFDの税率」はどうなるのか?

残念ながら、従来の仮想通貨デリバティブ取引と同様、「累進課税の総合課税」の対象です…
他所得と損益通算することができず、翌年への損失の繰越しもできません。

望まれる暗号資産の分離課税

株・FX、そして一般的なCFDの利益は、「総合課税」ではなく「申告分離課税」が適用。
他の所得金額と合計せず分離して税額を計算でき、累進課税制度が適用されません。

特別措置法によって特例的に税率が20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)に軽減される上に、損失を翌年以後3年間にわたって繰り越しできます。

仮想通貨税制はあまりに不公平。他の投資と比較して、あまりに公平性に書いています。「税制の中立性」を欠いているので早く税制改正が行われてほしいです。

ちなみに、FXは分離課税になるのに10年ぐらいかかったと記憶しています。