第三次産業革命以降に進んだ、集権化、垂直統合化、大組織化。
しかし、今、AI やブロックチェーンの台頭により、世界を動かすビジネスモデルの大転換が起きようとしていると語るのは本書の著者 野口 悠紀雄さん。

タイトル「産業革命以前の未来へ」の通り、今、ビジネスモデルは産業革命以前の大航海時代のモデルに再び転換使用としていると述べます。

常に、世の中の変化を先読みし、ブロックチェーンについても、いち早く著書でその重要性を説いた野口さんが語る未来とはどのようなものか?

遅ればせながら、本書を読んでみましたので紹介します。

組織から個人へ、集権から分権へ、垂直統合から水平分業へ

産業革命をきっかけに進んだ垂直統合化・集権化・組織化。しかし、今、このモデルが衰退、新しい変化が世の中を大きく変える存在として台頭してきています。

その変化のキーワードは、
組織から個人へ、集権から分権へ、垂直統合から水平分業へ。

今、まさに、小さな新興企業が次々、かつ、スピーディーに新しいビジネスを作り出し世の中を変える時代。また、一個人が、SNS、ブログ、Youtubeなどを武器に存在感を増す時代となってきました。

野口さんはこのようなビジネスの仕方は、産業革命以前に当たり前であったスタイルだったと指摘。新しい経済の最先端は、それ以前の時代の分量的ビジネスモデルに先祖返りしつつあると指摘しています。

IT革命の勝者「GAFA」

今、世界のビジネスモデルは大転換しようとしている過程で、この変化を先頭できる国や企業や個人が発展し、変化に対応できない国企業個人が遅れを取り衰退する現状が顕在化しています。

では、今、その変化をリードしているのは誰なのか?

その答えは「GAFA」

Google、 Apple、Facebook、Amazonです。

現代アメリカの経済成長はこれらの企業の成長によって支えられていると言って過言ありません。

GAFAが勝者になり得た理由

ITの進展により、大量のデータが取得可能になった時代。

情報が大量に集まると、そこから経済的な価値が発生します。これが「ビッグデータ」と言われるものの本質に他なりません。

GAFAは、断片だったら特に価値を持たない普通のデータを大量に集めることで、経済的な価値あるものに転換した。つまり、ビジネスモデルを開発したと言えるのです。

彼らは、ITを駆使することでこれまでの大規模組織によるビジネスをがらりと変えたのです。

重要なのは「大きさ」ではなく「素早さ」

上記のような変化をもう一度整理してみます。

1980年代までの技術では、巨大組織による垂直統合型の生産が圧倒的に効率的でした。

しかし現在は省組織ならではの柔軟さが重要な時代。

「大きいこと」でなく「素早いこと」が重要になったのです。

さらなる新しい芽

そして、現在、GAFAに続く新しいユニコーン企業が登場しています。特に、現在はシェアリングエコノミーフィンテックなどの分野での台頭が顕著に見られています。

さらに、AI とブロックチェーンが未来に向かって新しい可能性を切り開きつつあります。

さらには、「資本がいらない資本主義」「フリーランサーの時代」が着実に近づいてきています。

500年間の衰退を一気に巻き返しつつある中国

中国4000年の歴史、という言葉通り、中国は大きな勢力を持っていた国です。しかし、大航海時代ごろから、歴史的転換に乗り遅れ、その後の500年間衰退しました。

しかし、今、中国が、先に発展していた国よりも、新しい技術の恩恵を受けるリープフロッグ(Leapfrog:蛙飛び)で、これまでの先進国を飛び越えようとしています。

中国3大インターネット企業BAT(百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント))が台頭し、さらには、クレジットカードシステムを飛び越えて、電子マネーが急速に伸びている様子からも明らか。

政府自体も、コンピュータサイエンスの分野など世界でトップになることを、計画的に後押ししている側面があります。

Chamiの感想

衰退期に入ったと言われる日本。
IT、AI、シェアリングエコノミー、フィンテック、ブロックチェーン、さまざまな分野で米国・中国に確実に遅れをとっていて、ちょっと寂しくなりました。

世の中の仕組みが変われば、末端の「個人」も大きく揺さぶられることになります。

「個人」でも生計を立てられるようになること、これが、よりストレスなくこれからの社会を生きてく上で大事になると、さらにその考えを強くしました。

「産業革命以前」の未来へ―ビジネスモデルの大転換が始まる