たくさん本を読みたい。早く読みたいと思っているビジネスマンは多いですよね。
もちろん速読にも価値があると思いますが、本を速く読むことと、その内容が身につくかは別。最も大切なことは、本で読んだ内容を、自分の中で価値ある情報として活かせるかだと私自身は考えます。こんな考えをお持ちの方におすすめの本が、中島孝志さんの著書「インテリジェンス読書」です。
今は、ググれば情報が得られる今の時代。たくさん本を読んでも知識だけが詰め込まれた「歩くトリビア」になっても仕方がありません。
中島さんは読書には大きく2つのスタイル(読み方)があり、それらを意識し、どう読むかで、本を自分に役立つ価値に変えられるかどうかが変わると指摘します。
今回は、「インテリジェンス読書」から、自分の人生に活かせる、アイデア・着想を得る読書法について紹介します。
目次
読書には2つのスタイルがある
中島さんは、読書のスタイルを大きく2つに大別します。
❶知的消費のリーディング
「ああ、おもしろかった」「頭がよくなった」という知的欲求を満たす読み方です。
❷知的生産のリーディング
「このアイデアは仕事に使えるぞ」「この部分を応用したら、あの問題が解決できるんじゃないかな」「俄然、やる気になったぞ!」というように、具体的な付加価値や行動につなげる読み方です。
どちらが、良い/悪いは別の問題として、どちらの読み方が得かを考えた場合、はっきりと得なのは「知的生産型の読書法」です。
読書には「時間の投資」が必要です。人生の一部を投資することになります。それ故、単なる「暇つぶし」では、なにかしら成果(価値)を生む読書を目指したい。
この知的生産型の読書法を本書では「インテリジェンス読書術」と定義づけて、自分の読書経験からのノウハウをいろいろと本書内で紹介しています。
インテリジェンス読書とは
では、インテリジェンス読書とはどのようなものなのでしょうか?
本からアイデアを発想せよ
速読では、本をどれだけ速く読めるか、その内容を覚えられるかを重視します。しかし、インテリジェンス読書で大事なことは、「本で読んだ内容を、自分の中で価値ある情報として活かせるか」です。
・本を読んでいったいどんなアイデアを 閃くか
・そのアイデアをどうビジネス化するか
・どう事業化するか
など、ビジネスに活かすことが重要で、「本は発想の道具」にすぎません。
それ故、早く読むことも、本の内容を覚える必要もありません。むしろ、読書の途中で立ち止まって「妄想の空間に漂っている時間」を持つことが大事。発想、連想、空想、妄想、夢想……等、アイデアを閃かせるために思考する(考える)読み方が大事です。
読書の真髄は、遊びや趣味、たんなる知識・情報収集などの知的満足=知的消費でよしとすることではなく、そこから仕事のヒントやアイデアが 湧き、人生への教訓などを具体的に得られる、創造的な「知的生産」の場にすることにこそにあります。
速読より即読
速読は不要だけれども、同じ「ソクドク」でも中島さんが勧める「ソクドク」は「即読」です。本からアイデアや発想のヒントを得るためには、さらに後2つを加えて、以下の読書を実行することを、中島さんは勧めます。
❶いますぐ読む(=即読)
❷たくさん読む(=追読)
❸なんでも読む(=縁読)
これにより、読書の幅が広がり、「本からの発想」が加速します。
小説は読む必要がないのか?
知的生産型の読書が大事と言われてしまうと、「小説」はあまり価値がないように映ります。しかし、そんなことはありません。読書の魅力は、価値ある情報を入手することだけなく、魂が震えるほどの感動やエネルギーをチャージしてもらえることにもあるからです。
このような観点からは、歴史書や伝記小説、作家の経験に基づく小説などはお勧めです。小説作家・登場人物の人生観・人間観などを学びとることができます。
人は、1回しか人生を経験することができません。しかし、1回の人生を2倍にも3倍にも活かせる効能が読書にはあります。小説を100冊読めば、登場する主人公の数だけの人生を体験できます。
私が本を読んで初めて「魂が震えた!」と感じたのは、高校生の時に読んだ「竜馬が行く」。正直、話を覚えてはいませんが、親・先生の忠告を聞いても全く心に響くことがないのに、本を読んで火が付く経験をしたのは初めてのことで、こんな経験があるのだ!と感動したことを強烈に覚えています。
中島さんも、「夢の壮大さ、しかも実行力、常識にとらわれない豊かな発想、型破りという点で、坂本竜馬の右に出る者は少ない。若い時代に彼の破天荒な生き方に接すれば、ものすごい刺激となることは間違いない」と、太鼓判を押しています。その他、司馬遼太郎ベストスリー3、「坂の上の雲」「花神」もおすすめされています。
読書は夢がないと心に届かない・響かない
中島さんは、読書には「内なる声」がを聴きとれるかどうかも大事だと言います。「内なる声」とは、その一行 に出会ったときに、はたと気づく響きのようなものです。自分が必要としていたときに、何気ない一分でも、非常に心に響くことがあります。
しかし、このような感覚を受け取れない人がいます。
夢がないとダメ
「どんな本を読んでも内なる声など聞こえない」という人もいます。このような方は、「夢アンテナ」に問題があります。
❶「夢アンテナ」がそもそもない
❷「夢アンテナ」が錆びている (感度が悪い)
❸「夢アンテナ」が違う方向を向いている。
決定的に問題が大きいのは❶。そもそも、「夢」がなければ、アンテナも反応しようがありません。夢がなければ、夢が実現するような快体験が訪れることはありません。夢を叶えるにはまず夢を描くこと=夢を持つことが大事です。
なお、ここでいう「夢」とはテーマ・目標・問題意識のことです。曖昧でぼんやりしたものではなく、より鮮明で具体的なものになればなるほど、多種多様で有用な情報=インテリジェンスが集まりやすく、また、求めるものも手に入れやすくなります。本を読んでも情報の洪水に溺れてしまう人は、たぶん「夢が漠然・ぼんやり」としていることが原因です。
インテリジェント読書を加速する方法
情報の整理:情報のキャビネットを持つ
「これ、いただき!」「仕事のヒントになった」「いま抱えているビジネスにも使える!」など本からヒントや発想するには情報の整理しておくことも大切です。
情報は、分野ごとにキャビネットに分けて整理しておくと、発想・着想の引き出しになりやすくなります。中島さんは情報のキャビネットを貴下のように分類しています。
❶マネジメント(経営論・組織論)
❷マネジメント(部下指導)
❸マーケティング(商売・商品開発・セールス)
❹経済・金融(日本経済・国際経済・金融商品・投資法)
❺仕事の発想法(アイデア・商品・サービス・仕事)
❻科学技術(医療・数学・工学)
❼哲学(古典・文学・宗教)
❽成功論(ライフデザイン・経営・スポーツ・マネー)
❾人間関係(人間論・人情・恋愛・親子・教育)
❿エンターテインメント(映画・落語・大衆)
他人事としてでなく自分事として本を読むのに役立つ習慣
たくさん本を読んで、「歩くトリビア」になっても意味はありません。このようになってしまう原因は、「本を読んで仕事に活かそう、なにかを生み出そう」という意識が薄いか、そもそもまったくないかのどちらかです。
では、どうすればいいか? 本を読むときには、他人事ではなく、常に我がこととして取り組むようにして読むことです。そのために大事なのは以下の習慣です。
❶総括する(まとめる)習慣
❷メモする
読みながら付箋をつけ、後でまとめる。この作業が、あなたの発想力・着想力の底力となっています。中島さん流のまとめ方は本書にいろいろ紹介されています。
その他、インテリジェンス読書ノウハウ
その他の、本書で紹介されている「インテリジェンス読書ノウハウ」については、概要のみまとめてきます。
・満足できる本はせいぜい2割
・ページには重要度の濃淡がある。1ページ目から読む必要はなしし、全部読む必要もない。
・まずは、前書き、目次、あとがきを見よ
・本を読む速さは目の動きできまるので、視野を広げ、面で読む癖をつけよう
・本の定着率(覚えているか)を高めるなら、寝る前の読書
・キリの悪いところで読書を中断した方が、定着力はUPする(脳のメモリに残りやすい)
・難解本は入門書・漫画本・図解本などを先に読む
・ダラダラして読まず、集中して読む(制限時間を設けて読むと真剣みが増す)
・読まず嫌いはやめる
・何冊か同時並行で読む
・読むにはタイミングも重要(同じ本でも響くとき/響かないときがある)
最後に
今回は、中島孝志さんの著書「インテリジェンス読書術」を紹介しました。
読書術に関する本は、人それぞれそのノウハウが異なりますが、読んだ本を自分の血肉にするために何かしらの学び・再認識があります。中島さんが読んでよかった本も何冊も紹介されてるので、是非、ご自身で読んでみてください。