人は欲張りです。特に「お金」に執着します。いくらあっても「満足」することがありません。
しかし、お金があれば幸せか?というとそんなことはありません。むしろ、ありすぎて不幸なお金持ちはたくさんいます。貪欲過ぎは不幸を招きます。
幸せを追求するときに、障害となる「欲」。どう対処したらいいのだろうと思っていた時に目についたのが アルボムッレ・スマナサーラさんの「欲ばらないこと」です。
本書は、『怒らないこと』『怒らないこと2』『バカの理由』につづく「三毒シリーズ」の完結編として2011年に発刊された本です。
仏教では、「三大煩悩」である「貪・瞋・癡(とん・じん・ち)=欲・怒り・無智」を「三毒」といいますが、本書はこの中の「欲」にフォーカスし、お釈迦様による欲の分析と克服法を平素な言葉で説明しています。
自分への戒めを含め、本書「欲ばらないこと」の要点を以下で解説します。
なぜ、「欲」は生まれる?
「欲」のメカニズムを理解する前に、仏教では、「生きることは苦であり、無常」と説きます。
なぜ、「苦」なのかといえば、人は生まれた瞬間から死に向かって歩んでいく存在だから。苦しいから「何か」をし、そこに感情が割り込むことが「欲、貪り」の始まりとなります。
人は身体の維持管理のために「物質・エネルギーを取り入れる」必要がありますが、「おなかが減った」という身体的な「苦」に対し、必要なエネルギーを補充するだけでなく、「豪華な食事がしたい」といった「欲」を持ちます。さらに、欲を幸福・楽しみの素だと勘違いします。
さらに困ったことに、欲にはリミットがありません。追えば追うほど欲は増え、欲がかなわないと、怒りとなる。故に、欲を追い求め過ぎるとかえって不幸になってしまうのです。贅沢で身体が壊れ、欲の妄想で精神が壊れてしまうのです。
欲と怒りは表裏一体。なるほど、納得です。だから、欲深すぎるとダメなのですね。
「欲」をコントロールする技法 -「必要なもの」と「欲しいもの」を区別する
それでは、フツフツと湧き上がってくる欲はどのようにコントロールしたらいいのでしょうか?
そのためには、まず、以下の2つを区別することが大切です。
①欠かせないもの。必要なもの
②欲しいもの
①は誰にとっても必要なもので、程度・量があります。そして、困った際は社会が分け与えてくれます(生活困窮者への支援など)。
一方、②は人によって異なり、限度がありません。故にどんどん、どんどん膨らみ、執着することで「苦」が生じてしまう。そして強欲でなんでも「私のもの」にしたくなります。しかし、なんでも自分のものにするためには、様々な苦労が生じます。
自分にとって本当に必要なものがわかり、本当に必要なものは本当に困ったときに手を差しのべてくれている人がいるとわかれば、人生に安心感が生まれ、欲は抑えられるのです。
「欲」の改善策 – 小欲知足
欲の究極の改善策は「小欲知足」。
ニーズを少なくし、足るを知ること=満足できるようになることです。普段から「余分に使わない」、そんな生き方が大切です。
ケチは煩悩
金銭的余裕があっても使わず「ケチ」に徹するのはよくありません。実は、欲が狂うとケチになります。残ったお金は人のために使うといった、適切な使い方をすべきです。
最後に
今回は、アルボムッレ・スマナサーラさんの「欲ばらないこと」を紹介しました。
なぜ、欲深いと不幸になるのか、そのメカニズムが分かったのは私にとって非常に大きな収穫になりました。貪欲に求めすぎると「怒り」に通ずる。そうならないように、足るを知りたいと思います。
世の中には多くのお金を持つ人がいますが、必ずしも幸福とは限りません。欲深すぎるがために、家族同士がお金をめぐって争う話もあります。それではあまりに人生が寂しすぎます。幸せのために「慈悲の心を持つ」ことを大事にしたいと思います。
三毒シリーズも合わせて読んでみてください。