2023年9月8日から公開が始まる ホラー映画「禁じられた遊び」。橋本環奈さん・重岡大毅さんの二人がダブル主演を務めます。
原作は、清水カルマさんの「禁じられた遊び」。第4回「本のサナギ賞」大賞を受賞した作品です。
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文学賞「本のサナギ賞」は、「本の虫」である書店員が「世に出したい」小説=「本のサナギ」を見つけ、ベストセラーという「蝶」に育て羽ばたかせたい、という思いから生まれた文学賞。
筋金入りの本好きが選んだ作品だから、面白くない訳がない。恐怖しながらも、ページをめくる手が止まらず、一気読みしました。
本作で描かれる、あまりに異様、かつ、恐怖の光景が、どう、映画で表現されるのか!?期待が高まります(私はホラー映画が苦手なので、見たくても見れないかも…なのですが。少なくとも映画館では無理です)。
今回は、清水カルマさんのホラー小説「禁じられた遊び」のあらすじと感想を紹介します。
目次
禁じられた遊び:あらすじ
しかし、念願のマイホームを購入した矢先、美雪が交通事故で命を落とす。
絶望する直人のかたわらで、春翔は「ママを生き返らせる」と、美雪の死体の指を庭に埋め、
毎日熱心に祈りを捧げ出す。
同じころ、フリーのビデオ記者、倉沢比呂子の周囲では「誰も乗っていないエレベーターが動き出す」「部屋の中にカラスの死骸が突然あらわれる」など、奇怪な出来事が次々に起こり始めた。
直人の元同僚である比呂子はかつて、美雪から直人との不倫を疑われていた。
その当時、奇怪な現象に悩まされた比呂子は、その原因を美雪の持つ不思議な力のせいだと確信していた。
今回も再び美雪が自分に対してその力を使っていると考える比呂子だったが、美雪はすでに亡くなっていることを知った。
真相を知るために直人の家を訪ねた比呂子は、そこであまりにも異様な光景を目にする…。
恐怖が身に迫る本格Jホラー。
―――― Amazon 解説
尻尾からトカゲさんは生えてくるの?
最初に登場する、郊外に念願のマイホームを購入し、引っ越した矢先の 主人公 伊原直人の家庭は、まさに幸せな家庭 そのもの。美しい妻に、かわいい子供。
引越して間もない日曜日の昼下がり。息子の春翔は庭でトカゲを捕まえようとしたところ、尻尾だけ切って逃げ逃げてしまう。
驚く春翔に直人は、「トカゲは危機を感じると尻尾を切って身を守る」と教えたところ、春翔は「この尻尾からトカゲさんが生えてくるの?」と尋ねます。
この質問に、息子の好奇心を裏切りたくないという気持ちと、ちょっとした悪戯心が芽生え、「尻尾を土に埋めてあげると、尻尾からもトカゲが生えてくるんだよ」「お花とは違って、水をあげるだけじゃ駄目で、えろいむえっさいむ、えろいむえっさいむ……って呪文を唱えないといけないよ」と教えてしまったのです。
その直人の言葉を信じた春翔は、その日から、毎日、熱心に「トカゲさんが生えてくるように」と教えられた呪文を唱えます。そんな春翔を不憫に思った直人は、真実を教える代わりに、少し胸を痛めつつも、こっそりトカゲを捕まえ、土に埋め、本当に尻尾からトカゲが再生したように見せてしまったのでした…
妻の突然の死
そんな矢先、妻の美雪が、交通事故ではねられて死亡。警察署に向かうと、そこには、赤黒い肉の塊となった妻が… 春翔と共に自宅に帰ると、固く握られた春翔の小さな拳の中には、美雪の指が..
「これ埋めていい?」 春翔の声で我に返った直人は、トカゲの尻尾を庭に埋めた時の、背中に悪寒が走るようなあの感覚が蘇ってくるのでした…
この後、何が起こるかは、なんとなく想像できますね。
母親が亡くなったことを受け止めきれずにいる春翔は、トカゲと同じように、お母さんを再生させようとするのです。まさに、「禁じられた遊び」にのめりこんでしまうのです。
でも、本のサナギ賞を受賞した作品。そんな単純なストーリーだけで、話は終わりません。
怨念、火事、繰り返し試みられる再生…
続きは、是非、本書を手により読んでみてください。
禁じられた遊び:感想+α
最もセンセーショナルなシーン
「禁じられた遊び」を映像化するのは、「リング」「スマホを落としただけなのに」「事故物件 恐い間取り」の中田秀夫監督。
本作の「ホラー映像化」の最大の見せ場となるのは、間違いなく、「土から蘇った美しい美雪、そして、焦りのあまり早熟で海出てきてしまったがために、みるみる、崩れていくグロテスクな肉体…」。
まるで、本を読んでいる自分のところまで、異臭が漂ってくるような表現は、是非、本書で味わってほしいです。
小説と映画の見比べが小説をより面白くする
最近、映画化された小説の原書を読んで、映画と小説の違いを楽しんだりしています。両方を味わうと、小説の得意とするところと、映画の得意とするところの差がわかって面白い。
描写の細かさ、登場人物の心の揺れ動きは、当然ながら小説が上。想像力豊かなら、さらに、小説の世界観が広がります。
一方、映画は、圧倒的なビジュアルで人を魅了。映像の迫力やディテールまで表現されたビジュアルは、映画ならでわ。一方で、力に欠ける監督が映像化すると、「う~ん、何か、小説の世界観が表現できていない。登場人物の雰囲気も、会ってなくて、ミスキャスト…」と感じたりすることもあります。
こんな楽しみは、小説・映画、両方を味わってこそできる、楽しみです。
フランス映画の『禁じられた遊び』も見てみよう
「禁じられた遊び」と言えば、1952年のフランス映画「禁じられた遊び」が有名ですね。こちらの作品は、ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞。アカデミー賞名誉賞 他、複数の賞に輝いています。
作品を見たことがない方でも、ナルシソ・イエペス による哀愁に充ちた「愛のロマンス」のギターで聞いたことがあるはず!私は、父が子供のころ、この曲をギターで弾いてくれたのを思い出します。
フランス映画の「禁じられた遊び」は、かなり切ない物語です。
第二次世界大戦 中のフランス。ドイツ軍によるパリ侵攻からの避難途中、爆撃にあい、両親と愛犬を亡くしてしまった5歳の少女ポーレットが主人公。両親を失った少女を養ってくれる一家に恵まれるのですが、その一家の男の子と、死んだらお墓に埋めて、そこに「十字架」を添えるという「秘密の遊び」にはまります。そして、それが行き過ぎて、事件に至ってしまうのです…。
死んだら土に埋める、(上述していませんが)、愛犬 の2つは、清水カルマさんの作品とも共通しています。
最後に
今回は、清水カルマさんの「禁じられた遊び」を紹介しました。映画化が決まっている話題性のある作品。KindleUnlimited対象で読み放題で読めるうちに読んでおいてはいかがでしょうか。
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