【書評/要約】ロングゲーム(ドリー・クラーク 著)(★5) 今、自分にとっていちばん意味のある事をして生きるための良書。年末年始に読みたい本

人生はロングゲーム。目先の仕事で忙しいだけでは何も手に入らない。
企業のように、個人にも「長期戦略」は重要だ―

目先の利益に追われ、次から次へと仕事をさばくだけでは、「自分が望む人生」を送ることはできません。10年、20年、さらには一生といった長期視点で人生をどう歩むか考え、行動することが求められます。

ドリー・クラークさんの「ロングゲーム」は、自分の本当にしたいことを見つけ、その実現に向けて、戦略的かつ着実に成功のプロセスを歩むための指南書です。年末年始、自分の人生を見つめ直すためにも最良の本です。

今回は、ロングゲームからの学びを紹介します。

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長期戦略で人生を生きるために

【書評/要約】ロングゲーム(ドリー・クラーク 著):長期戦略で人生を生きるために

見知らぬ場所に旅行に行くには、どの場所をどのルートで回るか計画が必要です。人生も同じ。望む人生があったとしても、目先の仕事に追われたり、タイパ・コスパ・効率重視で歩んでいては人生は豊かになりません。

人生には、❶「余白」❷「集中」❸「信念」の3つが必要です。

「余白」がなければ、人生で大切なことを見極めることができません。正しい目標を見つけたら「集中」して進むことが大事です。また、人生で必ず訪れる回避不可能な困難・失敗・挫折を乗り越えるには「信念」が必要です。

本書では、長期戦略で人生を設計し進むために必要なことを、❶~❸の3つのパートに分けて解説されます。

読了後には、長い視点でゴールを考えるからこそ、短期的な変化や失敗にも耐え、自分を見失わずに人生というロングゲームを歩み続けることができること、そしてそのためにどうすればいいかが理解できるはずです。

「余白」をつくる

【書評/要約】ロングゲーム(ドリー・クラーク 著):余白を作る

毎日、目が回るほど忙しい日々を過ごしていても、そのほとんどは「真に大事なこと」ではありません。まずは、大事なことを見極め、実行するためにも「余白」が必要です。

「忙しさ」で自分をアピールするな

私たちは日々忙しさに疲弊しつつ、「忙しさ」で自分をアピールしたり、忙しい自分に酔っているところがあります。一方で、忙しさを言い訳に、深く考え、そして行動に移さなければならない「本当に大事こと」を無意識に避けています。

「忙しい人」は「仕事ができる人」ではなく、「自分のスケジュールさえコントロールできない人」と、とらえ直す必要があります。

To Do リスト的な思考を捨てない限り、仕事は減りません。 「まず自分にとって一番大切なものを決め、その予定を真っ先にカレンダーに書き込むこと」が大事です。

「ノー」と言う

ダイエットには「食べる量を減らし、栄養価が高いモノを食べること」が必須です。日々の予定・計画も、「量を減らし、大切なものを選択的に取り組む」必要があります。

私たちは選択すること、断ることを恐れすぎです。「ノー」と言うことが大事です。人生を戦略的に生きるには、取捨選択のスキルは必須です。また、安易な依頼を断るスキルも求められます。

「集中」する

【書評/要約】ロングゲーム(ドリー・クラーク 著):「集中」する

ココからは、確保した「余白」で何をするのかを見ていきます。
よりよい人生を生きるには、不確実な未来に向けた準備が必要です。長い時間をかけて努力を積み重ねていけば、チャンスが訪れたときに最大限に生かすことができます。

正しい目標を設定する

現代社会では何事においても「お金」が最優先にされがち。キャリアについても年収が重視されます。しかし、「お金」ではなく、「意義」「やりがい」でキャリアを最適化しないかぎり、「理想とする人生」を歩むことはできません。

「本当に興味のある」は、「自発的に時間を費やしていること」「面白そうだと思うこと」の中にあります。もし、自発的に行っていたはずなのに、何かが違うと感じる場合は以下も考えてみましょう。

初心を思い出す情熱が薄れてしまっていないか、最初の動機を思い出す
他人の目を気にしない他人を意識し、本当に興味があることが分からなくなっていないか
自分はどんな人間になりたいかどうなりたいか『理想の自分』再確認。それに向かって努力する
目標は大きくてもいい
大きく考える
『現状』を基準に考えると、自分の可能性を制限してしまう
『理想の未来』を基準に考えよ

新しいことに挑戦する

チャンスが向こうからやってくることはありません。チャンスを見つけるために「20%の時間を使って新しい分野に挑戦」をしましょう。

多くの人は事態が悪化し、切羽つまってから「新しいことしなければ…」と探し始めます。しかし、これは遅すぎ。新しい分野に挑戦するベストタイミングは余裕がある「うまくいっているとき」です。そのために、「20%の時間の捻出」が必要なのです。

新しいことへのチャレンジは、どれが成功するか事前に見極めることはできません。結果につながらないこともあるという事実を受け入れ、チャレンジし続けることが大事です。

また、成果は短期目線にならず、「たとえ今回は負けても、長期目線で見て結果的に勝つにはどうすればいいか」と自分に問い続けることが大事です。このような目線があれば、株の投資と同じように、10年かけて大きな「複利効果」が得られます。

波で考える

仕事には山と谷があります。❶新しい人脈や新しいチャンスを積極的に探す「探すモード」と❷目の前のことに全集中する「集中モード」の2つを戦略的に使い分けることが大事です。そのためにキャリアを「4つの波」で考えましょう。

❶学ぶ知識を身につける
❷創造する自分のアイデアを創造して世の中にシェアする
❸つながる同じ分野の人たちと積極的につながる
正しい人とつながればサポートが得られ、自分の声をも多くの人に届けられる
❹収穫する自分の分野である程度の地位を築いたら、努力の成果をゆっくり楽しむ

ただし、❹収穫は、最終目的地ではありません。ロングゲームは続きます。大切なのは、学ぶのをやめないことです。停滞を避け、今の地位に満足せず、また新しいことに挑戦しましょう。

戦略的レバレッジ

時間は誰にとっても1日24時間です。しかし、質のいいマルチタスクで「1日でやれること」は増えます。オーディオブック✕運動はその一例です。

自分の時間にレバレッジをかけるために、常に、自分に質問を投げかけましょう。

戦略的にレバレッジとをかける「質問」

・自分の時間を何に使うべきか / 何をやめられるか
・自分の行動のうち、 80%の成果を出す、20%の行動は何か
・制約を自分の利益になるように利用するにはどうするか
・想定する未来から逆算して、今日はどんな行動を取るべきか
・1回の行動で 10回の行動と同じ成果を出すにはどうするか
・『ワーク』と『ライフ』を融合させ、どちらもより楽しむにはどうするか
・自分は今の時点でどんな『人的資産』を持っているか
 それにレバレッジを効かせてさらなる資産を手に入れるにはどうしたらいいか

いいネットワークをつくる

成功には、質の高い人・尊敬する人・一緒にいて面白い人と長期の人間関係を構築することが欠かせません。また、それを、それぞれの分野ですでに活躍している人たちと幅広くつなげる「無期限のネットワークに」つなげていくことが大事です。

ビジネスにおいては、人とつながることで何か便宜を期待しがちですが、これではよい関係は作れません。相手からしてもらうことばかり考えるのではなく、相手の立場で喜びそうなことができないか考え、関係を築くことが大事です。

正しい部屋に正しい人たちといれば、やがてチャンスは頃が見込みます。

「信念」を持つ

【書評/要約】ロングゲーム(ドリー・クラーク 著):余白を作る

ロングゲームで最も難しいのが、「信念」です。ここからは、障害や挫折を乗り越え前に進んでいくために必要なことを見ていきます。

戦略的忍耐

成果には時間と努力が必要です。そして、苦難を乗り越える「粘り強さ」が必要です。

必要なのは、「戦略的な忍耐」です。「受け身的な忍耐」ではありません。結果が出なくて意気消沈したときは、自分に次の3つの質問をして最初の目的を思い出しましょう。自分の「核となる原則や価値基準」を明確にし、「長い目」で物事をとらえましょう。

・なぜ私はこれをしているのか?
・ほかの人はどうやって成功したのか?
・信頼できる人は何と言っているか?(アドバイザーを用意しておく)

失敗を再定義する

人生に失敗や挫折はつきものです。しかし、それでも、打席に立ち続け、バットを振る回数を増やせば、ヒットの数は増えます。

打席に立ち続けるためにも、新しいアイデアを小さくに試し続けましょう。挑戦を「実験」と考えれば、どんな結果も失敗ではなく勉強になります。

一つの道がうまくいかなくても、広い視野で見れば、目標に達する道は複数あります。うまくいかなかった計画を別の計画に生かすことを考え、失敗を再定義しましょう。

失敗をスムーズに乗り越えるためにも「長期思考」は大事です。以下を意識して挑みましょう。

長期思考で挫折・失敗を乗り越えるコツ

・小さく始める。とにかく始める。大きな目標も小さく分割して成功体験を積み重ねる
・自分の能力を過信しすぎない(ただしストレッチ目標は必要)
・仕事に使う時間を制限する。制限がよりよいシステムつくる工夫を生む
・他の人よりも長い時間軸で計画を立てる。その間の浮き沈みを耐え抜く覚悟をもつ

努力を続ければ、やがて実を結び、「小さな結果」が断続的に現れるようになります。そして、或る時、指数関数的に成果・成長を実感できます。

最後に

今回は、ドリー・クラークさんの「ロングゲーム」からの学びを紹介しました。

結局のところ、ロングゲームで一番大切なのは「メンタル」です。最初からゴールは見えません。これを乗り越える3つのカギは「独立心」「好奇心」「立ち直る力(レジリエンス)」の3つです。

年末年始も近づき1年を振り返り、かつ、自分の将来を考えるのには適した季節です。人生はロングゲーム。100年を生きるために必要な「長期思考」を身につけるためにも、本書を読んでみることをおすすめします。