Youtube大学で大成功を果たした、オリラジのあっちゃんこと、オリエンタルラジオの中田敦彦さん

芸人になって早々に「武勇伝」でヒット、音楽活動では「PERFECT HUMAN」などで一気にブレークはするものの、しばらくすると少し活躍が低調になるという、芸能人で生き延びることの大変さをまざまざと感じさせる芸人さんでもありました。しかし、元来勉強好きというご性格の上に成り立つ、Youtube大学ででのイキイキした講義は、まさに、「水を得た魚」のように見えます。

シンガポールに移住してもなお、Youtuberとしている中田さんですが、数年前までは、光と喝采を浴びては沈むという浮き沈み人生に、「仕事がなくなる」という、強い「不安」「焦燥感」「危機感」に苛まれてきたといいます。

仕事は自分で作らなければならない。

本書はそんな芸人としての苦悩な日々を送る中、Youtubeの活躍以前より活動をはじめ、時に大いに悩み、苦しみながらも成長を遂げたオンライン上のコミュニティ「オンラインサロン」との自伝成長ストーリー。

わずか30人から始まったオンラインサロンが5,000人を超えるまでに育つ過程は、まさに「混沌を泳ぐ」。嵐の中をお呼び出した小舟サロン運営で、中田さんが苦悩したこと、トライアンドエラーした姿が小説形式でまとめられています。

本記事では、中田さんが何度も聳え立つ壁としてぶち当たったというオンラインサロン内における「競争」と「お金」の問題について、取り上げご紹介。オンラインサロンという枠にとどまらず、企業などの組織運営、サービスの展開にも十分役立つ内容です。

[スポンサーリンク]
Audible 2か月体験無料
聴き放題対象本:おすすめビジネス書・自己啓発書  おすすめ小説

コミュニティ運営の難しさ

【書評/要約】混沌を泳ぐ -PROGRESS STORY-(1)(中田敦彦 著)(★3)

「コミュニティの重要性」、これは誰もが認識していることです。人は一人では生きていけないし、一人でやれることには限界がある。だからこそ、会社という組織を作り、会社が様々なサービスを作り出すことで、社会は進化してきました。

会社の場合は、雇用される立場である社員は嫌なこと、気に入らないことが重なり、ストレスフルだったとしても、「労働に対する対価=給料=お金」によって、通常、会社と社員の関係は保たれます。

しかし、「オンラインサロン」という月額料金というサービス対価を払うことで所属できるコミュニティです。気に入らなければ即クレームが殺到し、つまらなければ退会されてしまう関係です。

どんなに、主催者が「こんなサロンを作りたい」と思っても、価値観や理念が一致する統率の取れたコミュニティを作ることは、簡単にできることではありません。

特に、中田さんが大切なモットーとし、オンラインのサロン名にもなっている「PROGRESS」、つまり、「進歩・進化・前進・発展」を共に目指せるようなサロン・仲間を作っていくことは大変難しいことです。特に、芸人さんとしての中田さんが好きなファンも含まれていると考えるなら、なお、難しいことでしょう。

コミュニティ運営の壁:競争とお金

【書評/要約】混沌を泳ぐ -PROGRESS STORY-(1)(中田敦彦 著)(★3)

本記事の冒頭に述べた通り、中田さんは、何度もオンラインサロン内における「競争」と「お金」という二つの問題にぶち当たったと言います。

「数値化される競争」問題

サロンの中には様々な人が属しています。中には、コミュニティに属するなら最低限守ってほしいと思うようなルールを乱す人も必ず出てきます。当然、このようなメンバーとどのように付き合ううか、教育するかも大変なことですが、ここでとても、現代的な問題として取り上げるのは、「数値化される競争」です。

簡単に言えば、「数値化される競争」とは「いいね」のこと。

サロンメンバの中で、いい行動や意見をしてくれた人に「いいね=評価」するのは、とても自然な流れです。しかし、この制度を儲けることでよいコミュニティができるかと言えば、そうとも言えません。

理由は、人という生き物は、数値化されると、どうしても人と見比べ、競争意識を持ってしまうから。

たとえ最初は純粋な感謝から始まった「いいね」でも、数値化されると、それは「ランキング」という形で評価されるものとなり、しまいには、「いいねをもらうための競争」へとエスカレートしてしまったりすることがあるからです。

評価を集めることが簡単にお金につながる現代の「評価社会」ならではの問題。よくも悪くも「人は数値化されると競ってしまう」。これは覚えておきたいと思います。

「お金」に対する恐怖感と不快感

中田さん曰く、 競争よりもハードルが高い問題だったと語るのが「お金」の問題です。

お金というものに対する人の恐怖感と不快感は遺伝子レベルでねじ込まれた〝何か〟」によって、メンバー間の感謝の投げ銭、チャリティオークション、サロン内へのお仕事発注 等、お金の絡む問題は、とにかく多くの拒否反応を生んだといいます。

購入者は納得の上、かつ、社会貢献になるチャリティオークションは、見ている人は何も損しない。しかし、金額が高額になれば「注視すべき」との反対意見がよせられたといいます。

本当に「お金」とは難しい存在です。私も、投資に関するブログを書き続けていますが、未だ、「投資」の話は誰にでもできるわけではありません。「仮想通貨投資」ともなればなおさらです。

成功のスタイルはいろいろ~オリラジ中田さんとキンコン西野さんの違い

オンラインサロンと言えば、日本最大ともいえるキンコン西野さんが主宰する「西野亮廣エンタメ研究所」が有名ですね。中田さん自身も、キンコン西野さんにアドバイスを得たり、実際にサロンに参加させてもらい、コミュニティの統率感に圧倒されたと本書で語っています。

私は、西野さんの本も好きで数冊読んでいますが、大成功を収めている二人のビジネスの大元になっているものには、大きな違いがあると感じます。

西野さんと中田さんの違い

西野さん夢ありき。夢を目指して一直線
中田さん焦り・苦悩脱却のための挑戦がスタート地点。寄り道しながら、今のスタイルに到達

西野さんの映画「エントツ町のプペル」のテーマソングにもありますが、「夢を持てば笑われて、声を上げれば叩かれる。」を乗り越えて今があります。

一方、中田さんは「夢が前提」というより「苦悩しながら努力し続けた結果」が今の成功をにつながっています。

正直、世の中には「中田さんタイプ」の人生で今がある方が多いのではないでしょう。お二人が味わった苦悩を読み比べるのも、読書の楽しみかつ、人生の勉強になるのではないでしょうか。

最後に

今回は、中田敦彦さんの自伝小説「混沌を泳ぐ -PROGRESS STORY-(1)」を紹介しました。
タイトルに(1)とありますが、この後のストーリーが今既にまとめられているというわけではありません。

それは、中田さんのオンラインサロンの今後の活躍と進化「Progress」とともに、2巻、3巻、4巻と続いていくことになります。今後の活躍を期待しましょう!